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愛と純粋贈与のメタスキル ~ACT/マインドフルネスとトランスパーソナル心理学の架け橋~|2020/04/19(日)

愛と純粋贈与のメタスキル~ACT/マインドフルネスとトランスパーソナル心理学の架け橋~

◎ オンライン開催
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1)トランスパーソナル心理学には、大別して、K.ウィルバーやR.アサジオリらの「スピリチュアリティ派」と、M.ウォッシュバーンやC.G.ユングらの「魂(ソウル)派」とがあります。日本では、ユング心理学を土台にしたソウル派が、トランスパーソナル心理臨床の、主流派です。一方、スピリチュアリティ派のトランスパーソナル心理臨床は、マイノリティでした。

2)が、ここにきて、その勢力図は大きく変わってきました。そこには、認知行動療法「第3世代」の発展が関係しています。第3世代には、「マインドフル認知療法(MBCT)」「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)」「弁証法的行動療法(DBT)」などがあります。

第3世代に共通するのは、大乗仏教のマインドフルネス、グルジェフやクリシュナムルティなどのスピリチュアルな視点および技法を、暗に明に、巧みに取り入れ、活用している点です。

3)認知行動療法第3世代の視座や技法は、トランスパーソナル心理学のスピリチュアル派が、過去40年間の間に、学会誌や書籍を通じて、繰り返し主張してきた内容に通じます。実際、第3世代の論文や書籍には、トランスパーソナル心理学関連文献からの引用が少なくありません。

たとえば、ACTの創始者、スティーブン・C・ヘイズらによる『アクセプタンス&コミットメント・セラピー』(星和書店)には、サイコシンセシスの創始者、R.アサジオリが執筆した『意志の働き』(誠信書房)が、参考文献として挙げられています。

4)私たちは、MBCT、ACT、DBTを、トランスパーソナル心理学スピリチュアリティ派の中身を、受け継ぎ、洗練させ、臨床的に、また一般の人にわかりやすくしたものと理解し、評価しています。

5)さて、第3世代の主張を先取りした良質なトランスパーソナル心理学のひとつが、「サイコシンセシス」です。サイコシンセシス、MBCT、ACT、DBTに通じるのは、悩みや症状や問題を変えようとするのではなく、マインドフルに、あるがまま見つめようとする視座です。

6)たとえば、マインドフル認知療法では、自動(脊髄反射)的思考を変えよう、治療しようとするのではなく、自動的思考を含んだ心の状態全体にまんべんなく、あるがままの注意を向けるようにします。

ACTでは、困難な気分、不快感や違和感を取り除くことなく、こうしたマイナスの気分や感情にオープンでいる・あること、過剰反応、脊髄反射することなく、それらの負の状態を引き出す状況、環境、文脈を避けずに、受け入れ、共にいることを目指します。弁証法的行動療法も、大乗仏教のマインドフルな視座をすすんで活用しています。

7)サイコシンセシスでは、こうした観点を、「トランスパーソナルな自己(トランスパーソナル・セルフ)」や「トランスパーソナルな意志(トランスパーソナル・ウィル」という概念で、長く取り扱ってきました。どういうことでしょう?詳しくはセミナーでお伝えします。

8)ACTは、人がマインドあるいはエゴから解放され、精神の自由さを増すことを応援します。ACTによると「マインド」は、たとえば税金の計算や水道光熱費の支払い、車の運転、機械の修理、といった日々の仕事をこなす上で、なくてはならないものです。しかし、愛、今・ここにいること、純粋贈与には十分ではありません。そこには、マインドやエゴが属する日常とは異なる「別次元のマインドおよびエゴ」が必要です。

9)別次元のマインドを「マインドフルネス」、別次元のエゴを「トランスパーソナル・セルフ」と言います。マインドやエゴは、分割された限定的なものです。一方、マインドフルネスやトランスパーソナル・セルフは、非分割、非限定的です。

10)私たちが考えるスピリチュアリティとは、非分割的であり、非限定的精神のあり方であり、それによってもたらされる意識の方向性や経験です。

11)これに対して、豊かなビジョンや深遠な夢、といったものは魂(ソウル)の体験です。あなたは、スピリチュアルなマインドフル体験と、魂のソウルフル体験の違いに関心がありますか?”Yes”であれば、このセミナーをご活用ください。わかりやすくご説明します。

12)さて、分け隔てのない、あるがままの注意はありとあらゆる気分、機嫌、感情、状況、環境、文脈をオープンに受け入れ、共にいることを可能にする姿勢です。こうした、スキル(技術や技法)の背後にある姿勢や態度を、プロセスワークのエイミー・ミンデルは「メタスキル(meta-skill、通常のスキルを超えたスキル」と呼びました。

今回、マインドフルで受容(アクセプタンス)的な注意が、メタレベルのスキルとして、意識全体にいい形で根づくように、磨き洗練させるトレーニングを試みます。

13)このセミナーでは、マインドフルネス療法、ACT、サイコシンセシスのスピリチュアルな側面を糸口に、愛と純粋贈与について取り組みます。その時、ACTやサイコシンセシスが大切にする「コミットメント」、つまり、偽りのではなく、真の価値~たとえば愛や純粋贈与~に従った目標をセッティングし、確実に実践する点にもフォーカスします。

14)心理療法の実践には、クライエント-セラピスト関係を含み、超えた次元についての視座が不可欠である、と私たちは考えてきました。それが関係療法と共に、トランスパーソナル/スピリチュアリティを重視する所以(ゆえん)でもあります。

クライエント-セラピスト関係を含んで超えた、非限定的、非分割的な次元に存在するのが、愛や純粋贈与の視座です。それは人間(個人)を超えたものです。この視座を活かす鍵が、マインドフルネス、アクセプタンス&コミットメント、およびサイコシンセシスのメタスキルに潜んでいる、と考えます。

15)マインドフルで受容(アクセプタンス)的な注意を、メタレベルのスキル(メタスキル)として、いい形で根づかせることを、このセミナーでは目指します。それは、心理療法やコーチング、コンサルティングなどの対人援助を、実践的でありながら、同時に良質さ、豊かさを秘めた技へと磨く鍵だと考えています。

今回、「愛と純粋贈与のメタスキル~ACT/マインドフルネスとトランスパーソナル心理学の架け橋~」にご関心のある専門家の方および一般の方、初心者の方、ご自身やご家族の理解を深めたい方、そしてあなたのご参加をお待ちしています。

* * * * *

日時 ■ 2020年4月19日(日) 10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子

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HSP(とても敏感な人)と緊張するこころ・からだ・家族へのアプローチ|2020/03/29(日)

HSP(とても敏感な人)と緊張するこころ・からだ・家族へのアプローチ

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1)あなたは「HSP(Highly Sensitive Person、とても敏感な人)」について、聞いたことがありますか?

HSPは、1996年にエレイン・N・アーロン博士によって考案されました。この数年、日本でも、静かに広まっています。

あなたが、「過敏さ、傷つきやすさ、感受性の高さ、刺激の受けやすさ、高すぎる共感性、処理能力の深さ、感情移入のしやすさ、過心配傾向」に関心があったり、そうしたことで悩んだり、苦しんでいたりするとしたら、この概念および今回のセミナーはお勧めです。

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コンテイナーとコンテイニング ~心的&魂的子宮への着床、出産~|2020/02/24(月祝)

コンテイナーとコンテイニング ~心的&魂的子宮への着床、出産~

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1)あなたは、心的子宮あるいは魂的子宮という言葉を聞いたことがありますか?

「心理療法」は、英語でpsychotherapy(サイコセラピー)です。Psycho(サイコ)は、語源的には「蝶、心、魂」を意味し、therapy(セラピー)は「ケア、奉仕、サービス、看護、付き添い」の意です。心理療法は、語源からすると「心の看護、サービス」「魂のケア、奉仕」「(青虫がさなぎを経て)蝶に変態する過程に付き添うこと」です。

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ナルシシズムの4つの型とスピリチュアリティ|2020/01/26(日)

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1)現代心理療法の最重要テーマの1つに、「ナルシシズム(自己愛)」があります。

あなたは、精神分析やトランスパーソナル心理学などが、過去数十年の間に取り組んできた最大の課題の1つが、ナルシシズムであることをご存知ですか?

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贈与(give)の心理学 ~夫婦・結婚・離婚の関係療法~|2019/12/28(土)・29日(日)

贈与(give)の心理学

1)あなたは「贈与(gift、ギフト)」という言葉を聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?

「贈与」は、古くは経済人類学の、近年では経営や交渉術の最先端のキーワードです。
2015年、国連サミットでは、持続可能な開発目標である「SDGs」が採択されました。そこでターゲットとされた、地球規模でのいのちや経済の持続可能性を達成するうえでも、欠かせない概念。それが「贈与論」であり、大変豊かで、また聖なるコンセプトです。

2)あなたは、「贈与論」について聞いたことがありますか?

今年の年末恒例の集中セミナーでは、この「贈与」をベースに置いた夫婦、結婚、離婚、再婚療法セミナーを、1年のまとめとして開催します。私たちの今年1年間の心理臨床や、ファミリービジネス・コンサルティング、コーチング、講座を統合した、1年間のエッセンスが詰まった内容です。

3)贈与は、人と人との関係に、新しいスピリチュアルなパースペクティブ(視座、参照枠)を提供します。贈与が、人と人の間の、また人と超越的存在との間の、円環性、相互依存性、全体性、”give&give”、神聖さなどと、不可分だからです。贈与が神聖さと関係があると聞いて、驚かれたでしょうか?

4)円環性、相互依存性、全体性、神聖さ/スピリチュアリティなどとの関連でとらえる贈与の視点は、人類学、社会学、哲学、経営学、宗教学、交渉術などの各分野で、最先端のテーマとして議論されてきています。しかし、その成果は、不思議なことに心理療法には、ほとんど入っていません。

5)今回は、日本ではほとんど知られていない、ユング心理学的夫婦療法、および関係療法的夫婦療法を参照して、贈与(gift)の観点から、夫婦、結婚、離婚、再婚について学びます。

ユング心理学的夫婦療法とは、ポリー・ヤング=エイゼンドラス(Polly Young-Eisendrath)が創始した「ダイアローグ・セラピー(Dialogue Therapy)」や、ハーヴィル・ヘンドリクス(Harville Hendrix)による
「イマーゴ・リレイションシップ・セラピー(Imago Relationship Therapy)」を指します。両セラピーとも、日本ではほとんど知られていません。加えて、関係療法的夫婦療法については、新しい精神分析を中心にお伝えします。

6)贈与について私たちの目を開かせたのは、社会人類学者のB.マリノフスキと、M.モースでした。彼らは、未開社会や古代社会を研究し、
次のことを見出しました。

モースによると、贈与には
(a)与える義務
(b)受け取る義務
(c)返礼の義務
の3側面があります。

この3つが円環的に進まないと、世界は機能しなくなるといいます。社会が停滞してしまうのです。
停滞は回避されなくてはなりません。したがって、(a)(b)(c)のいずれかをコミュニティのメンバーが拒否すると、社会からの制裁(ex.村八分)が課せられます。

7)あなたは、与えることだけでなく、受け取ることの義務、をイメージできるでしょうか?

理由は、人が受け取ることを拒むと、社会的交流が滞ってしまうからです。モースによると、この3つは、人間社会が交流し、生存&永続するために不可欠な仕掛けです。贈与を元にした円環的交流は、社会における見えない血管とそこを流れる血液であり、社会および人を滋養し、豊かで元気にするもの、力や意味を与えるものです。

8)さて、
(a)与える義務を果たさないのは、戦いを宣言するに等しく、
(b)受け取る義務を拒むのは、返礼への恐れの表明ととられ、さらに、
(c)返礼の義務を果たさないと、権威や社会的な地位や他者からの尊敬を失います。

贈与の真逆にあるのは、戦争です。 (a)(b)(c) が適切に展開しないと、戦争が起きても不思議ではないというのです。

構造人類学者のレヴィ・ストロースによると、贈与の典型的な例は結婚であり、結婚は、異なる部族間の、また家と家、人と人の間の戦いを防ぎ、関係を密なものとする最良の仕掛けです。

9)このセミナーでは、結婚、離婚、再婚を、「戦争と平和」というところからもとらえます。結婚を、戦争や平和といった点からとらえるなど、大仰な誇大妄想に聞こえるかもしれません。しかし、戦争や平和を、内的なプロセスととらえ直すと、それらが結婚や夫婦療法に大変有益であることが見えてくるかもしれません。

詳細は、セミナーでお伝えします。

10)モースが述べた贈与(gift)は、物理的貨幣、つまり金銭にまつわるものではありません。物理的貨幣や金銭に還元できない、非物質的価値を伴ったものです。

「甘えの構造」の著者で精神分析家の土居健郎氏は、「日本人は贈り物に<魂>を込める」と述べました。

11)私たちは、良質な夫婦関係、結婚には、金銭では計り知れない、贈与を通じた非物理的次元での相互交流が不可欠だと考えます。

ここで重要なのは、夫(あるいは妻)のパートナーへの贈り物が金銭に還元できないこと、また、夫(あるいは妻)の贈り物がパートナーの贈り物と等価交換できないことです。金銭や等価交換を超えた、想定外の贈与や交換こそが、豊かで意味ある夫婦関係を作り育む血管であり、そこを流れる血液です。

一方、それが金銭に還元でき、等価交換できるとしたら、単なる「ギブ&テイク(give & take)」に帰結してしまいかねません。それでは、夫婦間に、真の意味での円環性、相互依存性、”win-win/give-give”、神聖さ/スピリチュアリティ、全体性を生み出すことはありません。

12)あなたは、数字に表せない、等価交換できない贈与を想像できますか?

そこには、非日常性、魂、奥行きが伴います。それこそが、夫婦や家族関係を真に豊かにします。一方、金銭、等価交換、ギブ&テイクは、それがどんなに素晴らしく高価でも、夫婦関係を日常的次元に留めます。日常的次元には、深みがありません。フラットランド(平板)です。

13)今回取り組む贈与を起点とした夫婦療法は、非日常性、聖なるもの、スピリチュアリティ、魂といった次元にまなざしを向けたものです。

非日常的次元には、情緒、魂、スピリチュアリティが実在します。この次元を大事にしないと、夫婦関係は親密さや絆、豊かさを築くこと、育てること、持続することが難しくなります。

14)では、こうした非日常的次元を包含する夫婦関係や結婚をクリエイト(create)するには、どうすればいいのでしょうか?

あなたはどう思いますか?

現在、夫婦療法、恋愛、結婚、離婚、再婚に関するセラピーのニーズは、ますます高まっています。若い世代だけでなく、中年、高齢者の間でも、恋愛、結婚、不倫、離婚、再婚は、カウンセリングの場面で繰り返し登場する喫緊の最重要テーマの1つです。このセミナーでは、贈与(gift)を中心とした夫婦療法について、基本から最先端までを学びます。

15)今回のセミナーは、私たちのこの一年間の心理臨床、コーチング、コンサルティング、セミナーを統合してお届けするものです。

贈与にもとづく円環的交流をベースにした、豊かで多次元的な結婚や離婚、再婚、家族の支援。また、贈与論をもとにした関係療法的な心理療法。

それらをあなたとご一緒に学べる機会を楽しみしています。

専門家の方および一般の方、初心者の方のご参加を歓迎いたします。

* * * * *

日時 ■ 2019年12月28日(土)・29日(日) 10:00~17:00

会場■ 都内(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子

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分身さがしの心理療法 ~ツインシップ(twinship)とツインソウル(twinsoul) を求めて~|2019/11/24(日)

分身さがしの心理療法

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1)心理療法における「分身」とは何でしょうか?
なぜセミナーで、分身を取り上げるのでしょう?
心理的分身とは何を意味するのでしょう?

今月のセミナーでは、「心の次元」である<分身(twinship、ツインシップ)>と、「魂の次元」における<分身(twinsoul、ツインソウル)>に着目します。

あなたは、心理療法における心のツインシップや、魂のツインソウルまたはソウルメイト(soul mate)について聞いたことがありますか?

分身が、心や魂の次元で、とても大切な役割を担っていることを、ご存知ですか?

2)ツイン(分身)は、半身となった心、分裂・分断された魂が、全体性を回復し、「自分」になること、人として「 I am OK」感を持つうえで、大変重要です。

3)分身を重要視した心理療法家に、ハインツ・コフートがいます。

コフートは、人が「まとまりをもった自己」感覚を得るには、幼少期に母親に認められ、ほめられることを通して「野心」を健全に発揮したり、また、父親が北極星のような「理想」の存在であることが必要だ、と考えました。野心や理想は、幼児期に「自己」を確立する上で不可欠です。

コフートは、子どもがこの2つをいい形で体験できないと、I am OKの感覚、等身大の自分、自分らしさの土台となる「まとまった自己」を形成できない、と考えました。

4)しかし、他にも自己形成のチャンスはあります。

「分身」です!

エディプス期と言われる3歳以降、潜伏期、そして青年期に、分身を見つけることで、自分にまとまりを作ることができます。

分身とは、何でしょうか?

5)分身は、英語で”twinship(ツインシップ)”ないしは”alter-ego(オルターエゴ)”です。ツインシップには「双子」、オルターエゴには「親友」という意味があります。心理的双子や心理的親友ができると、「自己」はまとまりを得て、安定します。

6)人格形成においてベストは、野心と理想が満たされ、さらに分身を持つこと。少なくとも、野心、理想、分身の3つのうち、2つが充足されていること、だと言われています。

が、ハインツ・コフート自身、幼少期に野心と理想が満たされず、失望と孤立、孤独の中で、さみしい時を過ごしました。そうした中で、彼は、10歳年上の男性の家庭教師に、分身を見出したといいます。

7)コフートは、家庭教師を親友(分身)のように感じ、愛や親密さを経験します。それまで失望し、孤立感にさいなまれていたコフートにとって、家庭教師は救済者のように映り、精神的な同性愛感情を抱いた、といいます。

8)統合失調症治療の第1人者である、ハリー・スタック・サリバンは、青年期の同年代による同性愛的親密性を重視しました。これは、男性も女性も同じです。

古今東西の未開文化には、かつて「通過儀礼」がありましたが、そこでは、人工的にピアグループによる同性愛的親密関係が形成されました。同性愛的親密関係を持つことが、子どもを、大人に変容・成長させるための、不可避の要素だと考えられていたからです。

9)サリバンによると、親友との親密さが欠けると、人~特に青年~は、不安定で安全や保障感や確かさを体験できず、精神病状態に陥りやすくなります。また、ボッチ感や恥の感覚にさいなまれやすくなります。

10)母からの承認、および父親への理想化がかなわない場合、人は「自己」にまとまり、統合感、秩序を得るために、心理的分身を切望する。これが、コフートの考えです。

11)分身は、自分との類似性や同一性を心理的に共有でき、We(私たち)の感覚を持てる相手です。分身は、自分を理解してくれる存在であり、自分にとって理解したい存在です。この体験をベースに、人は、「自分はここにいていいんだ」という、世界に対する所属感や居場所感を持つことができます。

12)分身は、青年期には「親友」として、また、人生後半には「後継者」といった形で、希求されます。自分の事業や生涯を継いでくれる存在を、中年期以降、私たちは求める、というのです。

13)さて、ここまでは、「心ないし主観」の次元における分身について、述べてきました。次に、「魂」の次元の分身について、少し考えます。

たとえば、表面的には仲が悪く、なぜ、長期間にわたって関係を維持しているのか、よくわからない夫婦がいたとします。

夫婦カウンセリングをしていくと見えてきたのが、2人がよく似た傷つきを、人生のメインテーマとして、繰り返してきた、ということだったりします。心のより深い魂の次元で、まるで分身のようであることが2人に理解されると、今までよりも、ずっとまとまり・統合感のある夫婦になっていきました。夫婦カウンセリングをするまで、この点は明らかになっていませんでした。

14)魂の深い傷つきを通して、相談者の癒しの作業を行うヒーラーを、「ウンデット・ヒーラー(wounded healer、傷を負った癒し手)」といいます。ユング心理学は、このイメージを大切にして、心理療法を行います。

「あなたもそうだったのですか、私も同じタイプの傷を負っているので、あなたの傷つきに共感できると思います」

「エッ、先生もそんな傷を負ってたのですか?!」

といったやり取りを、深い次元で行い、クライエントの人の癒しを応援するのです。それはまるで、「ツインソウル」をさがす作業のようです。2人が、ソウルメイトであったことを、見出す過程かのようです。

あなたは、ソウルメイトに関心がありますか?

15)「啐啄同時(そったくどうじ)」や「共時性」は、自分と世界とのスピリチュアルな分身体験です。(注:啐啄同時と共時性に関しては、セミナーでお伝えします)

16)このセミナーでは、分身について考えるにあたって、さまざまな視点を多角的に取り入れます。上に述べたこと以外に、河合隼雄氏の「片子(かたこ)」、カルロス・カスタネダの「分身」、土居健郎氏の甘えと同性愛感情との関係、プラトンの「人間球体説」、その他です!

☆今回、心理療法において、とても大切でありながら明確化されてこなかった「分身」について、基本から最先端までをご紹介します。カウンセリング、心理療法、コーチング、コンサルティングの臨床力、実践力を身に着けるうえで有益な機会です。

専門家の方および一般の方、初心者の方のご参加を歓迎いたします。

あなたとご一緒に学べることを楽しみにしています。

りご連絡ください。

* * * * *

日時 ■ 2019年11月24日(日) 10:00~17:00

会場 ■ 都内

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師 ■ 富士見ユキオ・岸原千雅子

会場■ 都内(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子

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父性とリーダーシップの心理療法|2019/10/27(日)

父性とリーダーシップの心理療法

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1)日本人のカウンセリング、セラピー、コーチングには、共通の弱点があります。あなたはそれが何だか想像できますか?

父性の弱さです。

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エナクトメントと関係療法 ~セラピーにおける狂気の智慧~|2019/09/29(日)

エナクトメントと関係療法

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1)困難な心の課題を、クライエントひとりの心で
なんとかしよう、あるいはさせようとするのではなく、
セラピストとクライエント、二つの心を使って、
ふたりの関係の場で、取り扱う。

それが関係療法、二者心理学の取り組みです。
これは今日の心理療法、対人援助において、
注目される、新しい考え方でもあります。

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家族に潜むグレートマザー その多次元的取り組み ~家族療法のパラダイムシフト~|2019/08/25(日)

家族に潜むグレートマザー 家族療法の多次元的取り組み~家族療法のパラダイム・シフト~

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1)家族療法は、システム論をベースに発展してきました。家族メンバー個人を、バラバラに見るのではなく、全体をシステムとみて、アプローチしていく。「木を見て森を見ない」あり方ではなく、体や存在全体を見通す、東洋医学やホリスティック的な観点をもとに、臨床実践が育まれてきました。

2)その一方で、家制度、イエ、ファミリーの深層に潜むのが、「グレートマザー」の働きです。グレートマザーが否定的に働くと、その営みはたとえば、ふとしたこんなセリフの背後にうごめきます。

「言葉にしなくても気持ちはわかっている。だって家族だもの」

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シャドウ(影・陰)との多次元的取り組み|2019/07/28(日)

シャドウ(影・陰)との多次元的取り組み

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1)あなたは「シャドウ(shadow)」と聞いて、どんなことをイメージしますか?シャドウは、人のパーソナリティの、暗い影の側面を言います。光のあるところに、影は必ず存在します。光のもと、あなたが動くと、影もあなたと一緒に動きます。消失することはなく、あなたに付着してきます。

2)シャドウ〜人の暗い影の部分~との取り組みは、人の成長、成熟、変容に欠かすことができません。ユングによって命名された概念です。

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