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自己愛構造体と恥トラウマからの癒しと変容|2018/7/29

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1)あなたは、トラウマの根幹・根底にある情緒・感情が、「恥」であることをご存知でしょうか?

フロイトは、トラウマにつながる大もとの感情を、性的なもの、あるいは攻撃性と考えました。アルフレッド・アドラーは、権力欲と述べました。が、決して見逃してはならないトラウマにまつわる感情に、羞恥心や屈辱感などがあります。

今回、私たちは、「恥トラウマ」という概念をもとに、<トラウマ>と<自己愛の傷つき>からの癒し、そして<自己愛憤怒(narcissistic rage)>、<自己愛構造体(narcissistic organization)〉からの癒しと変容について、学んでいきたいと思います。

2)古典的名著『菊と刀』を著した、ルース・ベネディクトは、日本人の根本感情に「恥」がある、と述べました。ベネディクトはまた、「恥」に対応する西洋の概念は、「罪」だと言います。が、今日、心理学の最前線では、洋の東西を問わず、人の健康な主体感覚を深く傷つけ、そこなうものとして、「恥」が着目されています。

3)恥トラウマは、「みっともない」「情けない」、「穴があったら入りたい」といった感情・情緒を喚起します。それは、最悪の場合、恥をかかせた、オレ・私の体面をつぶした(と感じる)相手と、恥をかいた、みっともない思いをした自分の両者を、コッパミジンにする「自己愛憤怒」に直結しかねません。

自己愛憤怒とは、面目を失った(と感じる)側が、面目を失わせた(と思われる)側を徹底的に破壊粉砕し、相手の存在を無にすることで、自分の留飲を、何とか下げるたぐいの怖ろしい・病的な怒りです。

4)自己愛憤怒は、外的には、あきらかに攻撃的な行為につながるほどの怒りです。しかし、当の本人にとっては、恥をかかされ、傷ついた自己愛を、何とかすんでのところで立て直そうとする守り、防衛で、攻撃的になっているだけなのです。ですので、当の本人は、自分の方が被害者である、と思っているのです。その被害感を払しょくするために、相手を徹底的に破壊する行動に出たりします。最悪の場合は、自分も犠牲にすることを厭いません。

5)怒りの中でも、なかなか収まりようのない自己愛憤怒は、今回のテーマである「恥トラウマ」に端を発しています。恥トラウマは、現代の最大の心理学的テーマの1つです。心理療法では、うつと並んで最も頻繁に顔を出す話題・課題であるにもかかわらず、心理療法の世界では、これまであまり取り上げられることはありませんでした。

6)しかし近年では、欧米の自己心理学、対象関係論、さらにはトランスパーソナル心理学の、ホットなテーマとして、専門家の注目の的として、取り上げられるようになっています。たとえば、ケン・ウイルバーの未訳本では、自己愛(narcissism)を十数種類に分けて論じていますが、それは、恥トラウマについて考える上で、大変参考になります。今回、トランスパーソナル心理学の論客であるウイルバーの自己愛論との関連からも、恥トラウマや自己愛構造体について取り組みます。

7)さて、自己愛構造体とは何でしょうか?

これは、イギリスの対象関係論学派の最新の成果がぎっしりと詰まった用語です。ジョン・シュタイナーは、自己愛構造体を、「心の退避所(psychic retreat)」と呼んでいます。自己愛構造体は、何を、回避、退避するのでしょうか。

たとえば、あなたが依存症(アディクション)や共依存などから回復し、健康になろうとするとき、依存の気持ちよさによって見ないようにしてきた「抑うつ不安」が、心に浮上してきます。抑うつや不安を感じるのがつらいため、心は「退避所」に逃げ込むのです。

一方で、この「退避所」に逃げ込むことは、あなたにとって、依存症(アディクション)、心の病理がさらに悪化し、「迫害不安」にやっつけられるのを防いでくれます。そこにいる限り、恥トラウマを抱えたあなたは、良くはなりませんが、より悪くなることからは、守られるわけです。

8)心の退避所は、「抑うつ不安」と「迫害不安」の両方から身を護るための「横道にそれた」、いわば「ズルい」やり方です。それは、心の成長や成熟、活性化、個性化、自己実現を阻みます。(注:抑うつ不安と迫害不安については、セミナーで詳しく学びます)

9)自己愛構造体について述べたもう1人のハーバート・ローゼンフェルドは、自己愛構造体の中核には、「マフィア・マインド」が潜んでいる、と述べます。マフィア・マインドとは、どのようなものでしょうか?

それは、一方では、有能感、優越感いっぱいに生きることを奨励します。「そうすれば、あなたの人生は、イケてて、ずっと勝ち組、アゲアゲ、バブル状態で生きられる」と甘い言葉で、空虚さを見ないですむようにしてくれる。その一方で、「さもなければ、お前の人生は、負け組で最低最悪だ」と脅すのです。

10)自己愛構造体は、心を「優越感「有能感」という金メッキでくるんだ、いわば「メッキ・マインド」です。中身はなく、空虚。そのため、それをイケイケ、アゲアゲ、バブル感で一杯にしたい。気合とリア充で満たしたい、という切迫感で強迫、脅迫されたマインドです。

11)こうしたマインドが、女子グループやママ友グループ、会社の派閥、スクール・カースト、マイルドヤンキー的世界などに潜んでいたり、いじめの温床になっていることも、たびたび目にします。そうしたグループ、自己愛構造体の中で隠ぺいされ、扱われることが難しかったのが、恥トラウマ、嘲笑、屈辱、羞恥です。

12)このセミナーでは、トラウマや、生きる上での困難さの背景に潜みながら、自己愛構造体という金メッキ・マインドで隠され、放置されてきた恥トラウマからの癒しと変容について、取り組みます。基本から具体的対処法までを、事例を交えながらわかりやすくお伝えします。

セミナーでは、自己愛のトラウマとスピリチュアリティについても、取り組んでいきたいと考えています。恥トラウマ、自己愛構造体、自己愛の傷つき、自己愛憤怒などにご関心のある専門家の人、専門家をめざす人、また、一般の人、初心者の人のご参加をお待ちしています。

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日時■ 2018年7月29日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子