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妥協の心理学 ~能動的・主体的な人生と、柔軟で軽やかな関係を育むために~|2024/1/28(日)

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1)あなたは「妥協」について、どう思いますか?

ダサイ。
そんなことしたくない。
妥協とは、イコール相手に負けること。

これまで妥協ばかりしてきた。
もうこれ以上妥協したくない。
屈辱的・・・。
でしょうか。

2)では、あなたが「主体的」「能動的」「積極的」に、妥協できたらどうでしょう?

あなたの「自由意志」で、自分の思いをあえてくじき、「率先」して妥協する力を身につけたら、あなたの人生はどう変わるでしょうか?

3)「諦める」は、語源的には「明(あき)らむ」で、あなたができることと、できないこととを、「明らかにする」ことです。「諦念(ていねん)」は、仏教用語で「悟りの境地」を意味します。それは、自分ができないことには執着せず、諦めて手放し、できることに集中して努力することを勧めます。

4)妥協には、諦念が求められます。なぜなら妥協は、あなたができることと、できないこととの見極めを必要とするからです。

妥協は、2方向に向けられます。
1つは、あなたの「内面」へ。
2つは、あなたの「外面」に。

5)私たちは、妥協を、相手、敵、会社、状況、環境、社会、世界といった「外側」に対して行うものと思っています。が、自分「自身」の「内側」に向けて、妥協が必要だとは、考えていないのではないでしょうか?

6)それに対して深層心理学は、「内面」での妥協こそ必要であり大切だ、と考えます。「外面」での妥協は、「内面」での妥協の『投影』であることが少なくない、ととらえるからです。

7)では私たちは、「何」との妥協が必要なのでしょうか?

一例をあげると「内なる理想主義、完璧主義、誇大妄想」です。それらは、精神病水準や自己愛性パーソナリティ障害水準の中核に潜む病理です。永遠の少年・少女が解決していない、宙に浮いた思い込みです。精神分析的には、「健康な父性に、去勢されていない」子どもマインドです。「明らむ=諦める」ために必要な力、すなわち去勢を受け入れる力のない、未成熟な心です。「自分は世界の中心にいる」と考える自己愛障害性(ナルシシズム)にハマり、成長の止まったマインドです。

8)内なる永遠の少年・少女性が、「自分は完璧だ」「自分は理想的な相手とだけつきあう」「世界を救済するような偉大な仕事だけが自分にふさわしい」「相手は自分の見解に従うべきだ。なぜなら、自分の考えはパーフェクトだから」と、あなたにささやき、あなたがその声を真に受けていたとしたら、あなたの人生は、どうなるでしょう?

「自分が本気を出せばスゴイことをやれる。しかし、まだその時ではない。なぜなら、状況が整わないからだ。または私の心の準備が整っていないためだ」と本気で思い込み、あなたが50歳、いや60歳、70歳になって(しまって)いたら、あなたの日々の暮らしは、どのようでしょうか?

こうした人は、「内なる過酷な超自我」にやられていたりします。「やるんなら、完全無欠にやらなければならない」と脅されていたりします。

9)それに対して、あなたに「主体的妥協力」があって、あなたの内なる理想主義、完璧主義、誇大妄想、過酷な超自我を「意識的」にくじくことができたとしたら?

あなたの人生は、身の詰まった、より豊かなものになっているでしょう。あなたは、日々の暮らしに、手ごたえ、確かさ、果実を感じ、得ているでしょう。あなたには生産力があり、物事を成し遂げ、個性を表現しているでしょう。

10)さて、「妥協」を漢字の意味から見てみるとどのように理解できるでしょう?

「妥」は、「やすらか、おだやか、落ち着く」の意味で、象形(物をかたどった漢字の成り立ち)から見ると、「上から落ち着いて、おだやかに、やさしく手をかざして、下にいる女性を抑え座らせること」を示します。

「妥」は、英語で “gentle(ジェントル)” “peace(ピース)” ですが、私たちの「内なるジェントルでピースフルな人が、内なる女性性を抑え座らせる」ところから、真の安らぎ、落ち着き、そして妥協が始まります。ジェントルでピースフルな人とは、深層心理学的には、イニシエーションあるいは去勢を主体的に受け容れ、経験しているリーダーです。

(注:女性性と女性とは異なります。女性性は、セックスやジェンダーに関係なく、誰にでも潜在する働き、可能性です。たとえば、ヒステリックな内なる女性性に乗っ取られ、妥協することができず、行き詰まっている男性がいたりします)

11)一方「協」は、「十(=十全に揃っている)」+「三つの力」で、「十全に力を合わせること」を意味します。

すなわち「妥協」とは、心の内面に存在する
(a)ジェントルでピースフルなリーダー
(b)座して、瞑想したり、熟考する女性性
(c)十全に力を合わせること
の、三要素から成ります。

12)妥協する力がなければ、私たちは物事を終結できません。いや、それ以前に、物事を開始できません。この力を備えていなければ、妄想の中で、理想的で完璧な誇大妄想に耽(ふけ)るだけです。その耽溺(たんでき)に、過酷な超自我から強いられ、長居をさせられてしまいます。

「完璧」主義ではなく、妥協を通じた「完成」主義を心がけては、いかがでしょうか?

13)心の内側で妥協できるようになると、あなたは相手、敵、会社、状況、環境、社会、世界とも、妥協しやすくなります。主体的、能動的、意識的に。自由意志で。

14)一見不本意な妥協が、窮地を打開してくれることもあります。妥協できない精神は、「ゼロ・100」思考、「最高か最悪か」「理想と幻滅」でいっぱいです。「ゼロ」と「100」だけがある、それはマインド的に精神病水準や自己愛性パーソナリティ障害水準です。

15)そこに、「1~99」はありません。妥協力が身につくと、あなたは1~99の間を、自由に行き来できます。たくさんの選択肢、柔軟性、軽やかさが生まれます。

16)二人三脚は、うまくいくと、それをするだけで楽しさや喜びが湧きあがります。そのためにあなたは、片側の足を自分の思い通りに使うのではなく、相手の片足と合わせるために、妥協し、相手に預けなければなりません。

17)あなたとあなたの相手とから成る「第三の足」は、プチ・フロー、プチ・ゾーン、プチ変性意識を生みます。そのとき、あなたと相手とは、第三の足を起点に、「夢の意識」を生きています。日常意識に、夢の意識が去来します。この点については、セミナーで詳しくお伝えします。

18)人間が社会で生きていくには、妥協は必須(ひっす)です。「ゼロ・100」思考の人にとって、妥協はゼロで、敗北です。

一方、妥協力のある人にとって、妥協は、人生を能動的、主体的に、また素面(しらふ)で生きていくうえでの、あるいは物事を成し遂げるうえでの良質なスタイルであり、ツールです。ゼロでも、敗北でもありません。

19)私たちはセラピーで、妥協を知らず、内なる理想主義や完璧主義、誇大妄想に煽(あお)られ何もできずに立ち止まり苦しんでいる人に、たくさん接してきました。また、能動的妥協力をもっていないゆえに空しい人、強いられた妥協に受け身で屈服し、被害者意識や屈辱感に悩む人にも、多くお会いしてきました。

セミナーでは、あなたが、
(a)ジェントルでピースフルなリーダーシップと
(b)座して、瞑想したり、熟考する内なる女性性とを身につけ、
(c)心の力を集め、十全に合わせることで、
妥協力を育成することを目指します。

あなたは妥協について再考し、そこに主体性、能動性、積極性が関与していることを発見することでしょう。それは、あなたが生きるうえで、内側から湧きあがる力(パワー)になります。窮地や行き詰まりを打開する柔軟力ともなるでしょう。たくさんの選択肢、柔軟さ、しなやかさが浮上するからです。

20)妥協は、あなたの人生を確かなもの、手ごたえのあるもの、生産性や成果のあるものにします。また他者との率先した妥協が、フローやゾーン体験、満ち足りた喜びや楽しみを生み出すことに気づき、驚くかもしれません。個を超えた(トランスパーソナルな)喜びです。

21)このセミナーでは、あなたに妥協力がなかったばかりに、未完了、未解決なままの体験をピックアップし、それとの簡単なワークを試みます。楽しみにしていてください。

セラピスト、コーチ、コンサルタント、ナース、ドクター、ケースワーカーなどの医療関係者、教師、ビジネスパーソンとしてのあなたに、能動的妥協力が備わっていたなら、あなたの仕事は、どうなっていたか、ご一緒に考えませんか?

自分の内面と主体的に妥協できると、あなたのこれからの暮らしに、どのようなプラスが生まれるでしょう?

あなたのクライエントに意識的に妥協する力がついたなら、そのクライエントに、どんな肯定的変化が起きるでしょう?

良質なケース(事例)をご用意して、あなたのご参加をお待ちしています。

あなたは主体的で意識的な妥協力を実につけたいと思いますか?

22)今回「妥協の心理学~能動的・主体的な人生と、柔軟で軽やかな関係を育むために~」にご関心のあるセラピスト、コーチ、コンサルタント、アドバイザー、ケースワーカー、ナース、医師、保健師、ボディワーカー、弁護士、教育関係者の方、ファミリービジネスの専門家の方、そして一般の方、初心者の方のご参加をお待ちしています。

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日時■ 2024年1月28日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子