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1)今月のセミナーは、カップル・セラピーとファイナンシャル・セラピーの相乗効果(シナジー)、および好循環を意図した内容です。あなたは、カップル・セラピーのまなざしが、あなたのお金との関係を健康で幸せにすること、またファイナンシャル・セラピーの観点が、あなたのカップル関係を豊かにすることをご存じですか?
2)日々のセラピーでは、お金とカップル関係についての訴えが絶えません。たとえば、
・お金のことを考え始めたら心配で、夫婦2人とも安心して眠ることができなくなった。
・借金返済のことを話題にしたら、言い争いになった(カップル間の衝突・戦争)。
・ファミリービジネスを営む夫婦で、パートナーに「Aさんをひいきしているのではないか」と質問したら、2人の間に会話がなくなり、家庭内離婚状態(夫婦間冷戦)が続いている。
・投資の失敗について互いにいがみあい、相手を「敵化(enemyfying)」した状態にハマっていると、子どものアトピーが悪化する気がする。
・貧乏な状況に対して無力な両親を見て、進学をあきらめたが、それが劣等感となって、恋愛を回避してしまう。
・父親がギャンブル依存、母親が買い物依存という家庭で育った自分が、結婚したら相手を不幸にするのではないかと心配している。
3)このセミナーは、敵対的関係、葛藤関係にあるカップルが、ファイナンス(お金)の話題を起点に、生産的、クリエイティブ、そして親密な関係になる支援について取り上げます。お金についてオープンに語ることのできるセラピーの現場は、今でもほとんどありません。セラピストやカウンセラーが、お金に対するタブー意識や偏見をいだいているためです。
が、お金との健康で豊かな関係は、カップル関係の健康さや幸福に、密接に関連しています。
ですので、セラピー、カウンセリング、コーチングでは、カップルや夫婦関係におけるお金について、積極的に取り上げ話題にし、取り扱うことが求められます。
4)このセミナーは、そうしたニーズを潜在的にもっているあなた、またファイナンス(お金)に関する感情、考え、気持ち、思いを主体的、能動的に取り扱いたい、と希望するセラピスト、カウンセラー、コーチ、そしてファイナンシャル・プランナーやアドバイザーに向けたものです。
さらに、カップル・セラピーの実践に興味があるあなたにも有益です。
5)さて、いま着目されている”well-being (ウェルビーイング)”は、「健康」や「幸せ」と訳されます 。
well-beingを 、分解して見直すと、” well “は「良く」、”being” は「存在すること」。つまりwell-being とは「良く存在すること」となります。すると、well-beingが、西洋的なあり方、存在の仕方であることがわかります。なぜなら、東洋思想にはbeingという単独的存在はなく、あるのは”inter-being(間的存在あるいは関係的存在)”だからです。
間(あいだ)的存在とは、「間(の)人」つまり「人間」です。東洋的には、私たちは、自分独りでbeing(存在すること)はできません。そうではなく、人と人との「関係」や「間」によって存在します。であるならば、well-beingを、”well-inter-being(ウェル・インタービーイング)”と書き直すと、いいのではないでしょうか? ウェル・インタービーイングは、私たちに、よりぴったり、しっくりと来るように思われます。
6)ウェル・インタービーイングとは、「あなたの健康で幸せなことが、私の健康や幸せ」あるいは「あなたと私の『関係』や『間』が健康で幸せなことが、あなたと私の健康や幸せ」とするありようです。今月のセミナーでは、カップルの健康や幸福と、カップルのお金との関係の健康と幸福とが、補完しあい、反映しあっている、とする点に着目します。
ファイナンシャル・セラピーによると、お金との健康で幸せな関係を持っている人は、健康で幸せなカップル関係の育成を意図しています。お金との豊かな関係には、カップル間の信頼、誠実、絶え間ないコミュニケーションが見られるといいます。
7)カップルにおけるお金の健康や幸福をはばむものに、「ファイナンシャル・トラウマ」があります。ファイナンシャル・トラウマは、お金について、親から受けた小さなトラウマの積み重ねによる場合もあれば、自分に影響を及ぼす対人関係で被った大きなトラウマのことによる場合もあります。ファイナンシャル・トラウマは、カップルの健康や幸福と、お金との健康で幸福な関係の両方に、重大なマイナス影響をもたらします。その癒しは欠かせません。
8)ファイナンシャル・セラピーによると、私たちのお金についての行動は、私たちの健康な考え、あるいは幸せを願った望みからではなく、過去に経験したファイナンシャル・トラウマを回避する「防衛」のためであることが少なくありません。
お金儲けにこだわること、お金を使わず溜め込むこと、見栄を張ること、禁欲的に働くこと、無理な投資すること、宝くじを買い続けること、ギャンブル依存、買い物依存、浪費などは、(実は)「我欲(エゴ)」のためではなく、癒えていないファイナンシャル・トラウマの再燃を「防ぐ」ためだというのです。しかし、防衛がトラウマを真に癒すことは、ありません。
(注:「防衛」は、ファイナンシャル・セラピーの核心の1つです。セミナーで、ゆっくり、じっくり、しっかりと学びます)
9)ファイナンシャル・トラウマの癒しには、外的な人間関係と、心の内なる人間関係の、2側面に着目することが求められます。心の「内的」人間関係へのまなざしは、ファイナンシャル・プランナー、アドバイザー、コーチに、欠落している点です。
10)近年の行動経済学、脳科学、対人関係生物学によると、私たちのファイナンスに関する行動の、何と90%以上は(脳の合理的側面からではなく)、非合理的側面からなされています。
ですので、理性的で数字に強く頭のいい人が、こと自分のお金となると、非合理的に考え振る舞ってしまう、といいます。大切なのは、非合理的側面、たとえば感情、無意識、身体性に、目を向けることです。非合理的側面とファイナンシャル・トラウマとは、意識の水面下で絡み合い、悪循環、悪影響を生みます。
(注:絡み合い、悪循環、悪影響の中身については、セミナーでわかりやすくお伝えします)
11)カップル関係が難しいのは、2人の「過去」に被ったファイナンシャル・トラウマが、(間違いなく)「今」のカップル関係で再演されてしまう点です。お金は、カップルにとって回避できないテーマです。そのため、ファイナンシャル・トラウマとの真摯な取り組みが、2人のウェル・インタービーイング育成に欠かせません。
12)ファイナンシャル・トラウマの癒しには、カップルのそれぞれが、心の内なる人間関係に目を向けることが必要です。また、2人の実際の関係も、取り扱われなければなりません。
13)内なる人間関係の取り扱いには、サイコシンセシス、および内的家族システム(IFS)療法が述べる「サブ・パーソナリティ(心の内面に住む小さな人間たち)」、実際のカップル関係には、プロセスワークやJ.サンドラーの「無意識的ロール(役割)」や「ゴーストロール(幽霊役割)」の取り組みが有益です。さらに、内と外の関係をつなぐには、精神分析の転移と逆転移、投影同一化、エナクトメントへのまなざしが不可欠です。
14)また、アタッチメント(愛着)の4スタイルから、お金とカップルの関連について見ていくといいでしょう。アタッチメントの4スタイルとは、「安定型」「不安定型」「回避型」「無秩序型」です。各スタイルが、どういったお金とカップルとの関係を生じやすいかについて、あなたは関心がありますか?
15)無秩序型アタッチメントにまつわるファイナンシャル・トラウマの中核には、「ファイナンシャル解離」があります。それは、ファイナンシャル・トラウマの中でも、最も取り扱いの難しい、心および関係性のテーマです。セミナーでは、ファイナンシャル解離の生じるメカニズムとその対応、癒しの過程について、ミクロ(細やか)な視点から丁寧に見ていきます。
16)解離からなるファイナンシャル・トラウマのある人は、たとえば「夜、安心して眠れない」と訴えます。そのトラウマは、過去の人間関係にまつわり、また今のカップル関係に悪影響、悪循環を生みます。さらに、あなたとパートナーの心身の健康や幸福を蝕むかもしれません。あなたは、クライエント・カップルのファイナンシャル・トラウマが癒えて、夜、安心して眠るための支援に興味がありますか?
17)お金とカップルという切っても切れない関係、それは複雑さ、想定外、不思議さを(いっぱい)潜在させています。セミナーでは、その不可思議さ(wonder)を尊び、あなたのお金との関係、そして人間関係とから(不思議さがなくなるのではなく)”wonderful(=full of wonder)” 、つまり不思議さでいっぱい、ワンダフルになる支援について学びます。
それは、お金とカップルのウェル・インタービーイングを育成するでしょう。また、カップル・セラピーとファイナンシャル・セラピーの相乗効果、好循環、ウィン-ウィン関係を生むでしょう。
18)今回、「カップル・ファイナンシャル・セラピー ~お金との豊かな関係が育むカップルのウェルビーイング~」にご関心のあるセラピスト、カウンセラー、コーチ、ファイナンシャル・プランナー、金融関係者、ファイナンシャル・アドバイザー、ケースワーカー、医師、保健師、ボディワーカー、弁護士、コンサルタント、ファミリービジネスの専門家の方、そして一般の方、初心者の方のご参加をお待ちしています。
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日時■ 2024年2月25日(日)10:00~17:00
会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)
費用■ メールマガジンにてご案内しております。
講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子