IPPとは

プロフェッショナル・サイコセラピー研究所(Institute of Professional Psychotherapy, IPP)のホームページへようこそ。

IPPでは「心の多様性(多次元性と多面性)」「関係性」「循環」「想定外/偶然性」をキーワードにセラピーを実践しています。

目次

セラピーの目的

セラピーには、多様な目的、目標があります。IPPが最も大切にするのは、クライエントの方の目的です。加えて、IPP独自の目的も持っています。それは、「多様性」を肯定する心を創造することです。

たとえば、心の中に遺棄された子どもがいるとします。その子どもは、子どもとしての良質な経験を十分にしていないでしょう。子どもであるにもかかわらず、ケアされるのではなく、親やきょうだいの世話をするヤングケアラーになっているかもしれません。その時、子どもの心、気持ち、本音は子ども自身からも遺棄されているでしょう。IPPは、そんなその子どもを丸ごと肯定します。その子どもの気持ち、本音~傷つき、痛み、怒り、悲しみ~、尊厳、誇り、人権を大事にします。そして子どもが、子どもらしさを謳歌できるようになるまで応援します。

ここで、通常のセラピーでは、子どもの成長を期待します。が、それは、子ども(状態/時代)の喪失でもあります。IPPでは、そうしたことは試みません。子どもが、自ら成長を望むのであれば、大切にします。成長に不可避の「喪失」も尊重します。が、それ以上に、子ども性、子ども状態/時代をそのまま敬います。

なぜなら、子どもを心の1つの大切な存在(役割、部分、フィギュア)ととらえるからです。子どもは大人になる単なる「過程」でも「段階」でも「手段」でもなく、それ自体で大切な存在だからです。

その時、心には、子ども以外の、親、きょうだい、友人、動物、植物、鉱物など多様な存在が、一緒にいると考えます。そして、子どもとは違う、たとえば健康な両親や大人の創造を、クライエントの内面で試みます。子どもと、親や大人との共存を育みます。心は、多様で、異質で、想定外の複数の存在たちからなる家族であり、グループであり、コミュニティであると考えるからです。

そこで大切なのは、子どもから大人になる、という直線的な成長ではなく、子ども、両親、きょうだい、大人、友人、外国人、エイリアン、動物、植物、鉱物、妖怪、精霊・・・が共存共栄できる心のあり様です。

それには、多様な存在の一緒にいることのできる「基盤」がなくてはなりません。

IPPは、心の内面における「基盤」と、多種多様な存在(役割、部分、フィギュア)たちの「つながり」「関係」「ネットワーク」の創造を支援します。

そして「個人」の自己実現だけでなく、心の中の「両親、きょうだい、大人、友人、外国人、エイリアン、動物、植物、鉱物、妖怪、精霊・・・」の自己実現も大切にします。その過程と同時に、フィギュア同士の「つながり」「シナジー」「結合」や、そのやり取りを支える「豊穣な基盤」創りを試みます。あなたは、「個人」だけでなく、心の中の「多様な存在」の自己実現にご関心がありますか?

それは、心全体を活性化し、豊かにすることで、自己治癒力、レジリエンス(回復力)、クリエイティビティが十全に発現するのを促すためです。

それは、心の多彩さを内的に生きることです。しかし、外的に多彩さを生きることはできません。なぜなら、私たちには身体は1つしかないからです。
いま与えられている「父親」「母親」「ビジネスパーソン」「学生」といった限定的役割を生きなけれなばらないためです。

心の内面では、多種多様な側面を肯定する。が、外面では、「父親」「夫」「ビジネスパーソン」といった限定された複数の役割を生きる。内面と外面とのギャップを否定しない。こうしたプロセスを応援し、あなたの心の問題、悩み、症状からの回復や癒しに貢献したいと考えます。

IPPは、心の成長を、子どもが大人になる過程というふうに、直線的に考えません。そうではなく、心の成長、成熟を、多様性を受け入れることのできる「心の容器」創り育成、陶冶、また「つながり」「ネットワーク」「関係」の強靭化、洗練化に見ています。あなたは、そんな心の成長、成熟にご関心がありますか?

「心の多様性(多次元性と多面性)」について

「鯉」は、何を食べて生きているでしょうか?

生きるために、何でも食べています。
水草、貝、昆虫、魚卵、小魚、カエル、米、芋、うどん、パスタ、パン、トウモロコシ……とにかく、何でも口にする雑食(ハイブリッド)です。さまざまなものを食べて、栄養にして、野太く、丈夫に、生き(残)る。

私たちは、そのような心の育成を支援します。

たとえば、私たちは、1本の強い紐やロープよりも、何本もの細く柔らかい糸を束ねて生まれる紐やロープを大切にします。短い糸、弱い糸、長い糸を組み合わせての、その人に合った丈夫な心の紐やロープ作り。心理療法(サイコセラピー、カウンセリング)は、セラピストとクライエントが協働し、多種多様の糸から、あなたにあった絨毯を編む心の作業です。

たとえば、陽だけでなく、陰と陽からなる全体性を、光のみを好むのではなく光と影・陰とのバランスを尊重できる心の育成を大事にします。

たとえば、春や夏だけでなく心の春夏秋冬(四季の移り変わり)を、喜や楽のみだけでなく喜怒哀楽全体の情緒を味わえるように、心の感性を磨きます。

たとえば、虹は、一色でできているのではなく、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色からなります。虹は多様な色からできています。

上記のように、私たちは、心の多様性(多次元性と多面性)を大切にします。その心には、分厚さと深みとがあるでしょう。あなたの心の多様性、人との関係における複雑性を尊重するプロフェッショナルな心理療法を、ご活用ください。そうした心の育成は、傷つきからの回復、癒し、心の成長、変容、成熟を促すでしょう。

変容について詳しく知りたい方は、変容を促す深層セラピー をぜひ参考にしてください。

従来のカウンセリングに、解離、パーソナリティ障害、依存症、ファイナンス、相続、事業承継、リベラルアーツといった現代的テーマを加えた、心理療法を実践します。うつ、躁うつ、共依存、行為依存、不全感、空虚感、言葉にできない不安や恐怖、不登校、不倫、離婚の危機などのご相談も承ります。

必要に応じて精神科医、心療内科医、弁護士、税理士、ファイナンシャル・プランナーといった専門家とのネットワークを活かし、あなたの悩み、苦しみ、痛み、課題、症状について、総合的なサポートを精一杯させていただきます。

「関係性」について

関係性は、人間の基本です。「人間」は「人」と「人」の「間」を意味します。私たちは、「間の人(間人)」であり、「関係」を必要とします。1人では生き(残)ることができません。乳幼児は無力で親の助けを、力を失った高齢者は他人の支えを必要とします。それだけでなく、人は健康で丈夫な時も、人の縁、助けによって生きています。

私たちは、人を、相互依存、縁起といった観点からとらえます。

関係性は、依存症、共依存、不全感、孤立・孤独感、摂食障害、うつ、過剰適応などは、関係性の無さ、相互依存の希薄さに関係しています。特に、解離、精神病水準、各種依存症へのセラピーには、関係性への眼差しが欠かせません。

「循環」について

家族療法では、家族内のあるメンバーに生じた問題は、その個人の問題ではなく、家族というシステム全体の問題である、そしてその問題は、システム内で(悪)循環する、ととらえます。

たとえば、ある家族に不登校の子供がいたとします。その両親は仲が悪く、子供の不登校について話しあうことをしません。不登校は、子供個人の問題でしょうか?子供の不登校が、両親の関係を悪くしたのでしょうか?あるいは、夫がまたは妻が、原因で夫婦の仲が悪くなったのでしょうか?あるいは、両親の中の悪いことが子供の不登校の原因でしょうか?家族療法は、子供の不登校と両親の関係の悪さとを「ニワトリと卵」あるいは「悪循環」ととらえます。どこか1つに悪者を見い出すことをしません。誰か1人を悪者にしません。そうではなく、家族内の悪循環に着目し、セラピーを進めます。

悪循環は、セラピストークライエント関係にしばしば置き換えられます。すると、セラピストは、クライエントあるいはクライエント家族における悪循環の渦中に入ることになります。セラピストは、その体験を逆手にとって内側から悪循環を断つことを試みます。また、悪循環が好循環になるように支援します。

このやり方は、解離、DV(ドメスティック・バイオレンス)、依存症、共依存、うつ、夫婦や家族の課題に有益です。

「想定外/偶然性」について

精神分析は、私たちの心の深み(無意識)は、想定外でいっぱいだと考えます。ユング心理学やプロセス指向心理学は、人生や日々の暮らしも偶然性や未知と隣り合わせだととらえます。私たちは予想外に生まれて、死にたくなくても想定外に死にます。生まれてから死ぬまでの日常も、偶然、運、未知なことにまみれています。誰が、9・11同時テロ、3・11東日本大震災、新型コロナウイルス、21世紀に入ってからの戦争を予想できたでしょうか?

トラウマ(心的外傷)には、想定外/偶然性への不当感や当惑を伴います。IPPは、心の傷つき、悩み、症状、痛みの中核には、心の無意識と人生をとりまく不確実、偶然、未知との取り組みがあると考えます。

なぜ、トラウマ、不幸、症状を避けることができなかったのか、コントロールできなかったのか、とあなたは苦悩したり、自分を責めたりしませんか?
運命に、理不尽さ、不条理を覚え、呪いたくなりませんか?

私たちは、心の傷、悩み、問題、症状からの癒し、回復、改善、レジリエンス、また、痛みや苦しみとの取り組みからのあなたの成長、成熟、変容 を支援します。

IPPでは、「心の多様性(多次元性と多面性)」「関係性」「循環」「想定外/偶然性」をキーワードにセラピーを行います。

— 心理療法(サイコセラピー、カウンセリング)を受けたいと思っている方へ

あなたの心や人間関係における悩み、痛み、不全感、空虚感、生きる実感のなさ、孤独・孤立感などをお聞かせください。
私たちは、あなたの心や人間関係の行き詰まり、言葉に(さえ)できない苦悩をていねいに見出し、着目し、大切に取り扱います。

カップルやご家族での来談も大歓迎です。
お子様から高齢者の方まで、また外国人の方の(英語での)ご対応もさせていただいております。

ご不明な点は、ご遠慮なくお問い合わせください。あなたからのご質問を歓迎いたします。

— 心理臨床家を目指す方、プロとして開業している方、これから開業を目指す方へ

さまざまな困難な状況の中で、何でも食べて、力強く生き残ることのできる「鯉」的専門家になるように、あなたを応援します。

心の「両利き」や「複眼の士」、つまり多様性を尊重するセラピスト像にご関心のある方は、私たちの教育分析、スーパーヴィジョン、開業支援をご活用ください。