《5》マーケティング・スキルについて、もう少し説明してもらえませんか?

マーケティングで重要なのは、次の3点を把握して集客の仕組みを作ることです。

・顧客のニーズ(needs / 欲求)
・顧客のウォンツ(wants / 手段)
・提供する商品やサービスのシーズ(seeds / 種、潜在可能性)

スクールカウンセリング、クリニックでのセラピー、学生相談などでは、セラピストとしての臨床力があれば、十分です。そこでは、セラピストに代わって、学校、医院、大学がマーケティングをします。

しかし、開業心理療法や開業コーチングの場合は、集客を自分でしなければなりません。だからこそ、マーケティング・スキルを身につける必要があります。

《4》どうすれば、消費者と顧客とを選別できますか?

大事なのは、誰の中にも「消費者」と「顧客」とが居ることへの理解です。

開業心理療法では、誰の心にもある「顧客」に向けてセラピーを行います。トレーニングを受けていない開業セラピストは、誰の中にもある「消費者」的側面を無自覚に刺激し、肥大化させ、リピーターになる可能性を失くしてしまいます。

「開業カウンセリング成功の秘訣」では、心の中の「顧客」的側面とチームを組み、セラピーやコーチングを進める方法について、ご説明しています。

《3》開業で成功するための秘訣を教えていただけますか?

秘訣はたくさんあります。1つ挙げると、「消費者」と「顧客」とを選別することです。

「消費者(consumer / コンシューマー)」の原形である “consume” は、「使い果たす、破壊する、喰い尽くす」と訳されます。「消費者」とは、英単語の意味からすると、セラピストやコーチを喰い尽くし、破壊しかねない人のことです。

一方、「顧客(customer / カスタマー)」の原形である “custome” は、「習慣」を意味します。 「顧客」とは「習慣的・定期的に来てくれる顧客」を意味するといえます。

開業心理療法は、心理療法家と「顧客」との関係から成り立つ事業です。「消費者」をクライエントとするものではないことを覚えておいてください。

ピーター・ドラッガーは、マーケティグは「顧客創造(customer creation)」だと述べました。それには、顧客が来るのを待つのではなく、創造というクリエイティブな作業が伴うといいます。あなたは、「顧客」の創造にご関心がありますか?

「開業カウンセリング成功の秘訣」では、私たちが30年かけて体得してきたことのエッセンスを、凝縮してお伝えします。

《2》開業で成功するには、ビジネス・マインドやマーケティング・スキルが必要ですか?

必要です。腕の良さだけでは開業はうまくいきません。

ビジネスがうまくいかないと、廃業することになりかねません。そこで困るのが、セラピストやコーチ本人だけでなく、クライエント(顧客)です。開業セラピーに来るクライエントの人は、じっくり、ゆっくり、ていねいに自分の問題、悩み、症状と取り組みたい方が少なくありません。もし、セラピストが廃業してしまったなら、クライエントの人に、迷惑をかけることになるでしょう。

ですので、開業心理療法家は、自分のためだけでなくクライエントの人のためにも、ビジネス(事業)としての心理療法を、成功させる必要があります。その時に大切になるのが、ビジネス・マインドやマーケティング(集客)・スキルです。

《1》セラピーは、ビジネス(商業、商売、事業)なのですか?

はい、その側面があります。

実を言えば、セラピストやカウンセラーの中には、「ビジネス(business / 商業、商売、事業)」や「ビジネス・パーソン(business person / 商人)」という言葉に汚らわしさを感じて、嫌う人が少なくありません。

しかし、考えてみてください。すべてのビジネスが汚いわけでも、悪いわけでもありません。例えば、誰もが知っているような大企業、トヨタ自動車や伊那食品工業の名前を聞いて、汚いビジネスをしていると、感じるでしょうか?

フロイトもユングも、開業セラピストでした。フロイトは、精神分析を通じての「生計」にとても意識的(conscious)でした。生計であれば、真剣で真摯で誠実にならずにはいられません。セラピーにコミットしないことはできません。

開業以外のセラピーには、ビジネス的側面は希薄です。それが、開業とその他 ~教育、産業、医療、福祉、司法など~ の領域との質的相違です。私たちは、優劣を問題にしたいわけではありません。そうではなく、仕事をする文脈(コンテキスト)を問題にしています。

開業においては、セラピストの腕が商品です。開業セラピストには、商品の質をよくする強制力が、常にかかります。この強制力と上手につき合い、心や認知を研磨し続けることが大切です。商売は、顧客の利益や幸福を大切にしなければ、中長期的に継続することはできません。事業主が自己愛的、利己的では、短期間であればうまくやれても、中長期にわたって成功することはできません。