はい、その側面があります。
実を言えば、セラピストやカウンセラーの中には、「ビジネス(business / 商業、商売、事業)」や「ビジネス・パーソン(business person / 商人)」という言葉に汚らわしさを感じて、嫌う人が少なくありません。
しかし、考えてみてください。すべてのビジネスが汚いわけでも、悪いわけでもありません。例えば、誰もが知っているような大企業、トヨタ自動車や伊那食品工業の名前を聞いて、汚いビジネスをしていると、感じるでしょうか?
フロイトもユングも、開業セラピストでした。フロイトは、精神分析を通じての「生計」にとても意識的(conscious)でした。生計であれば、真剣で真摯で誠実にならずにはいられません。セラピーにコミットしないことはできません。
開業以外のセラピーには、ビジネス的側面は希薄です。それが、開業とその他 ~教育、産業、医療、福祉、司法など~ の領域との質的相違です。私たちは、優劣を問題にしたいわけではありません。そうではなく、仕事をする文脈(コンテキスト)を問題にしています。
開業においては、セラピストの腕が商品です。開業セラピストには、商品の質をよくする強制力が、常にかかります。この強制力と上手につき合い、心や認知を研磨し続けることが大切です。商売は、顧客の利益や幸福を大切にしなければ、中長期的に継続することはできません。事業主が自己愛的、利己的では、短期間であればうまくやれても、中長期にわたって成功することはできません。