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境界(バウンダリー)心理学入門|2020/05/31(日)

◎ オンライン開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)ここ最近、「リモートワーク」「テレワーク」が推奨され、拡がるようになっています。そのことで、家で過ごす時間を満喫できたり、安心感が得られる良さがある一方で、「境界」をどう作ったらいいのか、悩み、苦しんでいる人たちも少なくありません。

たとえば、仕事とプライベートの「境界」、同じ家の中で、家と仕事の空間を仕切る「境界」。あるいは家族の時間と、仕事時間の「境界」、などなど。

これまで体験したことのない、「線引き」の難しさ。
いつまで続くのか、という出口の見えないつらさ。

同僚や友人は、リモートでうまくやっているように見えるのに、この息苦しさやしんどさは、ダレニモ、イエナイ・・・

いえ、本当は、人知れず、同じ行き詰まりを抱えている人がいることも、案外耳にしていることです。

2)家と仕事が混然一体、同じ場所で繰り広げられる。実のところ、歴史を振り返ってみると、それは近年まで主流の形態でした。八百屋さんも魚屋さんも、医院も、そば屋や飲み屋も。多くの仕事が、「商店」であり、「家業」だったのです。

お店の奥の扉を開けると、そこに茶の間があり、お昼休みには、そこでご飯を食べたり、昼寝をしていました。患者さんの診察を終えたお母さんやお父さんが、
ガラガラと仕切り戸を開けると、そこからは、休憩と家族の時間になりました。子どもたちも、店番をしたり、奥の部屋で、お手伝いをしたり。

3)現在でも、日本の法人(会社組織)のなんと95%が、家族経営、ファミリービジネスであることを、ご存知でしょうか。その起源は、こうした「家業」であり、そこから発展した「家族経営」「同族経営」企業です。

江戸時代には、それは「商家」として、洗練されたシステムを持っていました。表の店舗用の建物と、奥の家用の建物を分け、土間でつなげて、その両方を切り盛りできる有能な「おかみさん」がいたりしました。

4)それが大きく変化を遂げたのには、いくつかの背景がありますが、そのひとつが、戦後の経済政策によるものです。(そのおかげで、戦後の復興から高度経済成長、世界第2位の経済大国、を日本が実現できたのですが)。

(主に)お父さんは、会社勤めをして働く。有能な従業員として、会社や社会の経済発展に貢献する。

(主に)お母さんが、家で専業主婦として働く。従業員の夫を家で支え、経済発展に貢献できる子どもを育てる。

子どもはといえば、せっせと学校に行って勉強し、いい学校に入って、経済発展に貢献できる未来の社員になる。

5)しかし、バブル崩壊後、右肩上がりの経済成長も衰退し、このモデルはうまく機能しなくなりました。安定した雇用が得られず、さらには超高齢化、超少子化という人口問題が突きつけられていて、上にあげたような家族の循環が、得られにくくなっているからです。

6)さて、私たちは、同族企業(ファミリービジネス)の支援を行っていますが、そのときに重要視するのが、「境界」です。なぜなら、戦後の経済成長期にうえつけられた、従業員を育む「家庭」のシステムと、それ以前の「家業」や「商家」のもとにあった「家庭」のシステムを混同していたのでは、現代のファミリービジネスは応援できないからです。

また、家族のシステムと、経営(ビジネス)のシステムを区別し、境界を入れることができないと、ファミリーとビジネス、家庭と仕事の混同が防げないからです。結果として、ファミリーも不幸になり、またビジネスも永続性を揺るがすことになりかねないからです。

7)ファミリーとビジネスのシステムに境界を入れることができないと、ビジネスも、家族も、早晩うまくいかなくなります。さらに(これは大事なことで見過ごされがちですが)、家族の中で、ほかの家族メンバーに対してうまく「境界」が作れない人が、ビジネスに携わると、そのファミリービジネスの永続性は、難しくなります。

かつてファミリービジネスとして大成功した、ラグジュアリーブランドの「GUCCI(グッチ)」も、さらに、日本が世界に誇る同族経営企業だった「林原」も、家族内で「境界線」をうまく引くことができなかった、その結果、ファミリー企業としては永続できなかった、典型例と言えるでしょう。

8)家族療法の多くの流派では、家族内の「境界」をどう作り、どう大事にできるか、大変重視しています。この家族の「境界」をどう作ることができるか、
「境界」を築いたうえで、家族がどう「ワンチーム」となり、どのように互いを尊重し合える家族力を持つことが可能になるのか。それがファミリーとビジネスの「境界」づくりにどう影響し、また、どのように永続性につながるのか。

今回のセミナーでは、「境界」について入門編としてわかりやすく理解していくとともに、こうした、実践的な応用についても、事例を交えながら、じっくりと取り組んでいく予定です。

このセミナーでは、「境界線(バウンダリー)」にご関心のある専門家の方および一般の方、初心者の方、そしてあなたのご参加をお待ちしています。

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日時 ■ 2020年5月31日(日) 10:00~17:00

会場 ■ オンライン会議室 zoom

参加費 ■ 22,000円(税込)

講師 ■ 富士見ユキオ・岸原千雅子

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子