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シャドウ(影・陰)との多次元的取り組み|2019/7/28(日)

シャドウ(影・陰)との多次元的取り組み

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1)あなたは「シャドウ(shadow)」と聞いて、どんなことをイメージしますか?シャドウは、人のパーソナリティの、暗い影の側面を言います。光のあるところに、影は必ず存在します。光のもと、あなたが動くと、影もあなたと一緒に動きます。消失することはなく、あなたに付着してきます。

2)シャドウ〜人の暗い影の部分~との取り組みは、人の成長、成熟、変容に欠かすことができません。ユングによって命名された概念です。

3)シャドウは、人の意識によって容認されなかった側面です。容認されなかった部分は、「抑圧」されます。抑圧されても消滅することは決してなく、「投影」を通して生き続け、人にマイナスの影響を及ぼします。投影は、自分の「影(シャドウ)」を、他人に無意識裡に「投げ」、自分の影と他人とを混同し、誤認することです。

4)たとえば、「我慢が大事」と考えてきた会社員がいるとしましょう。その人が、レストランでお構いなしに上座にすわり、大皿に盛られた料理のいいところを、次々つまんで食べてしまう同僚を見たとしたら・・・次のような嫌悪の気持ちがわいてきます。「なんて自己中心的で、子どもっぽいんだ。ダメな奴だ!」と、同僚を嫌悪します。会社員は、ふだんからその同僚のことが気になり、同僚といるとイライラします。

5)精神分析では、この会社員は、同僚に自分の心の「影を投げて」いる、つまり「投影」していると仮説を立てます。ユング心理学では、この同僚のような存在を会社員のシャドウと言います。

6)精神分析もユング派も、同僚に投げているシャドウを自分の方に引き戻し、自分(自我)に「統合」することを試みます。そのためには、会社員の意識によって容認されず、抑圧された暗い側面(同僚に投影された側面)をまずは解き放たなければなりません。あなたは、会社員が同僚に無意識に投げた影(=投影)の中身を、何だと思いますか?自己中心性でしょうか?子どもっぽさ?それとも・・・?

7)シャドウとの取り組みは、あなたの心をより十全なものとします。癒しや回復を喚起し、成長、成熟、変容を促します。

8)一方、シャドウとの取り組みがなされない場合、あなたに付着するシャドウは、あなたにマイナスの影響を及ぼします。あなたは知らないうちに、あなたが嫌悪する同僚のようにふるまっていることでしょう。いや、ふるまわないことはできません。これが、シャドウの負の力です。シャドウは、計り知れないパワーを秘めています。会社員は、自分で気づかないうちに、自己中心的に、また子どもっぽくふるまっているでしょう。たとえば、妻や子どもに対して。あるいは、部下に対して。

9)近年、統合心理学のK.ウィルバーが、シャドウ・ワークに関する新たな試みを行っています。ウィルバーによると、スピリチュアリティに関する伝統的トレーニングは、精神分析やユング心理学が指摘するシャドウを、取り扱うことをしない。しかし、バランスの取れたパーソナリティの発達には、パーソナリティの「ダークサイド(dark side、暗黒面)」との意識的取り組みは欠かせない、とウィルバーは述べます。私たちも、ウィルバーの考えに賛同します。

10)しかし、このウィルバー、ユング、フロイトのシャドウとの取り組みには、課題があります。病態水準の観点がない、ということです。三者のシャドウへの関わりは、実は「神経症」水準を前提としたものです。M.ウォッシュバーンのいう「精神自我(mind ego)」を前提としています。

11)精神自我が確立されている上で試みられる場合、シャドウを「統合」する従来のアプローチは、大変有効です。しかし、「精神病」水準や「パーソナリティ障害」水準に帰属する「身体自我(body ego)」にとっては、従来のシャドウ・ワークは、身体自我を圧倒し、混乱をもたらしたり、解離を生じさせたりしかねません。このセミナーでは、精神自我と身体自我とは何か、またこの2つの違いを、病態水準をベースにわかりやすくお伝えします。シャドウとの適切なワークを行うためです。

12)身体自我にとってのシャドウ・ワークには、「統合」ではなく、「分離・分化」と、「コンテイニング」が適切です。ユング派の精神科医、D.ローゼンは、身体自我にとって、<シャドウ>は自我の〈否定的・病的側面>と「共謀」したり、「地続き」になったりして、パーソナリティ全体を破壊しようとすることがままある、ということを指摘しています。ですので、癒しや回復のためには、シャドウとともに、自我の否定的・病的側面も、分離・分化する必要があります。これは、シャドウとの新しい取り組みの一つです。セミナーで、基本から丁寧に、わかりやすくお伝えします。

13)ローゼンのシャドウへの視座は、自我に<健康な側面>と<病的側面>を見る、新しいクライン派の仮説に呼応します。自我に関するこの見方が加わると、シャドウとの取り組みが刷新されます。今回、こうしたシャドウとのより実践的な視点、および取り組みをお伝えします。

14)さて、シャドウをより広範囲にとらえて、「魂」をシャドウに含める場合があります。魂はラテン語で、”anima”(アニマ)あるいは”animus”(アニムス)です。シャドウとしてのアニマやアニムスとの取り組みは、トランスパーソナル次元・水準におけるものです。この場合必要となるのは、アニマやアニムスとの「関係」や「結合」です。「結合」は、統合と異なります。また「関係」は、「イマジナルな自我(imaginal ego)」と呼ばれる自我によって築かれます。詳しくは、セミナーでご説明します。

15)このセミナーでは、病態に合わせて、
(A)「分離・分化」および「コンテイニング」
(B)「統合」
(C)「関係」や「結合」
の各点から、多次元的に、シャドウとの取り組みを試みます。同時に、
(A)身体自我
(B)精神自我
(C)イマジナルな自我
についてもお伝えします。

16)シャドウ・ワークは、個人に対してだけでなく、関係性、集団、コミュニティに向けても広がっています。たとえば、A.ミンデルには、”City Shadows”(都市の影)といった著書があります。また、ユング派のE.ノイマンや、ユング派に親和的な作家のヴァンデル・ポストは、「民族の影」について述べました。ユング派のグループ療法家のD.コールマンは、「集団の影」を”スケープゴート”としてとらえています。ファミリーセラピーの”IP”は、明らかに「家族の影」です。このセミナーでは、個人に加えて、集団やコミュニティのシャドウについてもお伝えします。

17)今回のセミナーでは、シャドウ(影)との多次元的、全体的取り組みについて、基本から最先端までをお伝えします。シャドウにご関心にある専門家、一般の人、初心者のあなたのご参加をお待ちしています。良質な事例と(簡単な)体験的エクササイズを通じて、セミナーを進めていきます。実践的で有益な内容をご用意して、あなたのご参加をお待ちしています。

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日時 ■ 2019年7月28日(日) 10:00~17:00

会場 ■ 都内(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子