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1)カウンセリング、コーチング、コンサルティングを実践する上で、クライエントを理解し対応するための最高のツールとは、何だと思いますか?私たちは、「病態水準」だと考えます。あなたは、神経症水準、パーソナリティ障害水準、精神病水準、ASD(自閉スペクトラム症)水準、といった言葉を聞いたことがあるでしょうか?3月のセミナーでは、ASD水準について取り上げました。今回、従来お伝えしてきた、神経症、パーソナリティ障害、精神病の3つに、新たに自閉症スペクトラム症を加え、病態水準について総合的に学びます。これによって、各病態をつながりを持って見通すことができ、病態全体を整理しながら、俯瞰して理解することが可能になります。あなたは、各病態の違い、細部を、よりクリアに知ることができるでしょう。
2)加えて今回、この見通しを、個人だけでなく、カップル、家族、組織、コミュニティに活用し、役立てることを試みます。あなたが病態水準を、組織、企業、学校、コミュニティ、家族に対し、使えるようになることを目指します。組織や集団に病態水準の視座・考え方を活用した1人に、ウイルフレッド・ビオンがいます。このセミナーでは、同様の試みを、最新の知見を交えて、カップル・夫婦、家族、コミュニティ、企業に行っていくことを試みます。
3)病態水準は、「内面」および「深層」からの見立てを可能とする、最良のアセスメント・ツールです。あなたは病態を内側から、また深みから見極めることができるようになり、プロの対人援助職として、自信や効力感、手応えを、確かなものとして感じることができます。
4)病態水準の見立てを身につけると、どんな利点があるでしょうか?1つは、医療専門職・関係者と、自信をもって対話し、連携協働することができます。これによってあなたは、クライエントの人を、よりトータルにサポートできるようになります。
5)ビオンは、グループや組織を、精神病水準と神経症水準との比較から理解しました。結果、それまで見えなかったグループや組織の深層構造や問題が明らかになったのです。グループや組織の病態を理解することで、学校、会社、福祉法人、NPO法人、家族、夫婦などに起きている、扱うことのできなかった問題が、内側や深みから理解でき、アプローチ可能になります。このセミナーでは、こうした病態水準の極意について、事例を交えながら、丁寧にお伝えしていきます。
6)組織、グループ、家族は、個々の参加メンバーを足し算したものではありません。機械のように、命の通っていないものであれば個々の部品の総計から全体を考えることもできます。しかし、組織、グループ、コミュニティ、家族、夫婦は、参加メンバー全体の、合計以上のものです。システム論が想定するように、それらは、ひとつの生命体のようなものだからです。
7)しかし、ここに難題が生まれます。システムとしての組織、グループ、家族の病態と、そのメンバー1人1人の病態とに、違いのある場合が、しばしば生じるためです。たとえば、参加メンバーのそれぞれは神経症水準なのに、集まった組織や家族の病態水準は、精神病である、ということがあります。ユングは、グループや組織を忌み嫌いました。理由は、人が集団を形成すると、たとえその構成員がみんな精神的に健康であっても、精神病的になるからだ、というのです。健康な人たちを足し算していったら、精神病的になったというのです。なぜでしょう?先述したように、グループは、個々のメンバーの総計以上の何か~生命体的システム~だからです。あなたは個々のメンバーを見て、システム全体の病態を正確に把握することはできません。ではこうしたシステムに、どのように介入、対処するといいのでしょうか?
8)私たちはまず、システム(家族や組織)について、病態水準の観点から見極めることが必須だと考えています。病態水準の視座は、従来のグループ療法、組織療法、コーチング、ファシリテーション、コンサルティングを磨き、より機能的で有用なものにするでしょう。
9)病態水準は、発達心理学をベースとしています。それは、各病態を、治りようのない病気や障害ととらえるのではなく、発達上の停止と固着という観点からとらえます。発達心理学は、治療ではなく、発達の再活性化を試みます。
10)かつてトランスパーソナルのケン・ウイルバーは、心理学の各流派を、発達心理学のパラダイムから見直しました。そしてたとえば、古典的精神分析は、神経症水準に、母子関係を志向する新フロイト派は、パーソナリティ障害水準に、ユング心理学は、精神病水準に、と、振り分け、当てはめていきました。この見方は、各心理療法学派のすみ分けと共存を可能にします。同じく、各コーチング、ファシリテーション、組織心理学、コンサルティング流派の協働を促します。
11)私たちは家族療法、組織心理学、コミュニティ心理学を、プロセスワークやワールドワーク的に実践していました。ある時から、病態水準の見方を、それらに採用するようになりました。するとそこには、ビオンやユングの言うように、精神病水準がたびたび顕在化することがわかりました。さらに、産業心理学で注視されるグループ・バイアス(偏見、誤解、勘違い)が、どのように表れているか、よりはっきりと見えるようになったのです。結果、それまで以上に自信をもって、家族、組織、集団、コミュニティにコミットできるようになっています。
12)病態水準は、対人援助職であれば、絶対に身に着けておきたいツールです。時代を超え、流派を超えて役立つ、普遍的なツールです。このツールをいかに使うかは、あなたのクリエイティビティにかかっています。このセミナーでは、病態水準の活用法についても、たくさんの事例を通して学びます。あなたの創意工夫を発揮しながら、病態水準についてご一緒に学びませんか?
病態水準の理解や支援にご関心のある専門家、一般の人、初心者の人のご参加をお待ちしています。
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日時 ■ 2019年4月28日(日) 10:00~17:00
会場■ 都内(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)
費用■ メールマガジンにてご案内しております。
講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子