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対極性のマネージメント ~相克する内面と世界、関係性への永続的アプローチ~|2023/3/26(日)

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1)あなたは、持続可能な豊かさやバランスの良さに、ご関心がありますか?

今回、私たちは、永続する繁栄、精神のハーモニー、ウェルビーイングをもたらす「対極性(polarity)」とその「マネージメント」について、取り組みます。

対極性のマネージメントは、長期間止まないアルコール、ギャンブル、ゲームなどの依存症、共依存、過剰適応、DV、解離など、慢性化している問題や症状、悩みにも、大変有益です。

2)対極性のシンボルとしては、老荘思想や易経の「陰陽」が有名です。陰と陽の両方を敬うこの視座は、ユングの全体性、すなわち個性化過程を進めます。それは、あなたの精神やライフスタイル、ワークスタイルや関係性に、実のある、かつ柔軟な姿勢を実現します。

ユングは、あなたの内面であろうと、外面であろうと、あなたの関係性、および世界、社会、組織においても、「陰陽の全体性」が、その中心にあると考えました。ですので、もしあなたが「陽」だけを大事にすると、あなたはバランスを崩します。なぜなら、あなたは全体性の一面しか生きておらず、別の一面を排除しているからです。すると全体性がバランスをとろうとして、いつの間にか「陰」を浮上させ、結果、一面的なあなたは崩壊していきます。

陰陽の考え方では「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転じる」を重視します。陽だけを生きると、いずれ流れが極まって、早晩、陰に転じ始めます。

3)陰と陽とは真逆 / 正反対です。その「間」には変わりようのない分裂があります。陰と陽は、分裂を挟んだ対極性です。この対極性は、どうすることもできません。

にもかかわらず、このことを知らない人間は、その分裂 / 対極性を直したり、癒したり、解決しようとします。一見、正しい取り組みに映りますが、不遜な行為である、と老荘は述べます。なぜなら、陰と陽の間の分裂は、永遠であり、人間には、どうにもできないことだからです。

4)陰陽のような対極性への適切なアプローチは、「解決」ではなく、「マネージメント」です。陰陽間の分裂に、癒し、治療、解決はありません。

5)有益なセラピーの核心にも、この対極性の視座があります。たとえば、

元型的心理学の「対極元型」、
ゲシュタルト療法の「前景 vs 後景」、
プロセスワークの「1次 vs 2次プロセス」、
メラニー・クラインの「抑うつポジション」、
トーマス・オグデンの「弁証法」

が、それにあたります。パラドックス(逆説)を活用するブリーフセラピーにも、対極性のまなざしは潜在します。

6)たとえば、ユング心理学がよく取り扱う病理のひとつに、「永遠の少年」があります。元型的心理学のJ.ヒルマンは、ユング派の視座に、異を唱えました。永遠の少年は治療されるべき病理ではなく「老子」元型の片面だと述べたのです。

彼によると、「老子(Lao-tse)」は、「老人」と「子ども(例、永遠の少年)」の二面からなります。老人と永遠の少年とは、対極的な陰陽関係にあるといいます。ヒルマンは、この関係性を大事にするところから、永遠の少年のテーマと、取り組もうとしました。

7)しかし、そこに「マネージメント」の観点が入ることは、ありませんでした。が、マネージメントがあったなら、ヒルマンの視点を、臨床の場でより活かせたでしょう。マネージメントは、老人と子どもから成る全体性を肯定し、心に豊かさ、繁栄、丈夫さをもたらし、永続させるでしょう。

8)ゲシュタルト療法の「前景 vs 後景」にも、プロセスワークの「1次 vs 2次プロセス」にも、マネージメントはありません。あるのは、「ワーク」の視点です。

9)”マネージメント(management)”は、「管理」「調整」、そして語源的に「手綱さばき」を意味します。それは、たとえば老人と子どもとの関係を調整し、バランスを管理することを試みます。

マネージメントは、老人と子どもの全体性、対極性、陰陽を尊び、ワークやセラピー以上に、心の癒し、回復、解放を促します。ワークやセラピーでは取り組み困難な、慢性的問題、悩み、症状に、大変有益なアプローチです。

10)対極性に目を向け、その潜在力を引き出し、セラピーや医療、介護、コーチング、看護、福祉、社会運動、政治、エコロジーなどあらゆる分野に応用可能なパワフルなツールに仕立て上げたのが、バリー・ジョンソンです。彼は、もともとゲシュタルト療法を実践していましたが、いまやさまざまな分野に、彼の創造した対極的ツールを広げるべく奮闘しています。

11)ジョンソンは、根本に解決できない分裂があって進展しない問題、悩み、症状に着目して、マネージメント・アプローチを推奨しています。

たとえば、
「情緒と思考」「量と質」「IQとEQ」「自己と他者」「安定と変化」「ヒエラルキーとネットワーク」「中心と周辺」「リーダーとフォロアー」「自分一人での行動とチームでの協働」「計画と想定外」「短期と長期」「経済発展とエコロジー」「ビジネスとファミリー」「構造とプロセス」「愛と力」・・・
などが、その一例です。

12)ここで、バリー・ジョンソンの開発したツールの一端を見てみましょう。

具体例として、「活動の心身」と「休息の心身」とから考えます。「活動の心身」と「休息の心身」とは対極的ですが、その2つをマネージメント(調整)できている場合と、できていない場合とを見ていきましょう。

13)たとえば「活動の心身」は、「鍛えられていて、シャープで、刺激を受けいれ、チャレンジに前向き」といえます。一方「休息の心身」は、「リラックスしていて、ゆとりがあり、エネルギーが充実している」ことでしょう。

「鍛えられていて、シャープで、チャレンジに前向きな」活動期と、「リラックスし、ゆとりがあり、エネルギーが充実している」休息期との間を、心身がバランスよく行き来できると、生活の質(QOL)は良好で、毎日が楽しく豊かになるでしょう。

これは、「活動」と「休息」(=「陰と陽」)とが、上手くマネージメントされフレキシブルな関係になっている好例です。「活動」と「休息」とが『ウィン-ウィン(Win-Win)』の『好循環』になっています。

14)それに対して、「活動」と「休息」との関係が、マネージされて『いない』と、どんなことが起きるでしょうか?

「活動」が、過度な興奮と過覚醒を生み、心身に不必要な負荷をかけたり、疲労させたり、燃え尽きを生じさせかねません。また「休息」は、心身に、どんよりとしただるさや重さの感覚を引き起こしたり、退屈、やる気のなさ、まとまりのなさを生じさせたりするでしょう。

それは、「活動」と「休息」とがマネージされておらず、バランスが悪かったり、それぞれが「孤立」して、交流がなかったりするためです。

15)ここには、「活動」と「休息」(あるいは「陰と陽」)との『悪循環』、『ルーズ-ルーズ(Lose-Lose)』が生まれています。「活動」が、心身に過度に負荷をかけ、疲労させ、燃え尽きを生じさせ、「休息」しても疲弊がよくならず、心身にだるさや重さの感覚を生み、退屈、やる気のなさ、まとまりのなさを引き起こしたりしています。

あなたは、休息をとっても休まらない、それどころか、かえって体調も気分も落ち込み、それが嫌で活動し始めると、心身が緊張してテンパり、興奮が収まらない、といった悪循環を経験したことがありますか?

16)ジョンソンは、従来の「対極性(ポラリティ)」に、
(A)「好循環」や「ウィン-ウィン」と、
(B)「悪循環」や「ルーズ-ルーズ」とを見い出したのです。

今までの対極的視座は、陰陽の二面性に、着目したものでした。一方、ジョンソンは、その二面性に、「好循環」と「悪循環」とが潜在する点に着目して抽出し、見える化したのです。彼は、そのメカニズムを大変わかりやすい形にして、私たちに提示してくれています。それは、対極性の立体化、多次元化といえるでしょう。

大変良質なイノベーションです!

その核心にあるのは、『マネージメント』です。

17)セミナーでは良質な事例と、エクササイズをご用意して、対極性とそのマネージメントについて取り組みます。事例は、元型的心理学の「対極元型」、ゲシュタルトセラピーの「前景 vs 後景」、ブリーフセラピーの「逆説」などを参照します。

バリー・ジョンソンの対極性とそのマネージメントについては、特に力を入れてお伝えします。

わかりやすくかみ砕いてお話しますので、ぜひ身に着けていってください。

18)対極性の肯定は、持続可能な豊かさ、バランスの良さ、繁栄、心身のハーモニーを生みます。この観点は、現場で実際に使える良質なものです。カウンセリング、コーチング、ボディワーク、コンサルティング、福祉、医療、看護、社会運動、政治、ファミリービジネス、交渉の分野で、活きのいい旬のツールとなるでしょう。

セミナーでは、そうした各分野の専門家の方、初心者の方、一般の方のご参加をお待ちしています。

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日時■ 2023年3月26日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子