に投稿

トランジション・マネージメント ~変容を応援するセラピー、コーチング、コンサルティングの核心~|2022/12/25(日)

◎ オンライン開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)あなたは、人生で自分の意図とは関係なく、変化を強要される経験をしたことがありますか?

まだ子どもでいたいのに、体が勝手に大きくなっていくように感じ、違和を覚えたことはあるでしょうか?

愛する家族やペットが死んでしまって、この先どう生きたらいいかわからず、混乱したことはないですか?

跡継ぎがいないために他社とM&A(合弁)をしたら、従業員の間に争いが生じたり、うつになるエグゼクティブが増えたりして慌てた、という経験はありませんか?

社会的に評価され、経営面でも良好なファミリービジネスを所有し経営しているのに、自分の会社にいると空しさが止まらない、ということはないでしょうか?

2)そうしたことは、すべて「トランジション(transition、移行、節目)」と関係しています。トランジションについて知らないと、人は人生の節目で受け身になり、また被害者的になりかねません。

3)心理学は英語で”psychology(サイコロジー)”ですが、その語源的意味は、”psycho(魂)”+”logy(論理)=「魂の論理」です。魂の論理は、人生の節目でトランジションを強要します。

「唐突に」「何の予告も、前触れもなしに」
私たちの心は、トランジションを理不尽で、不条理、非合理とのみ解します。

もし、トランジションについて理解していなければ。またそこに「魂の論理」という観点がなければ。

(注:「魂」と「心」との違いは、何でしょうか?セミナーで、ご説明します。)

4)トランジションは、深層心理セラピーの核心的なフレーム(frame)、枠組みです。

“transition” は、ラテン語 の “tansitio(通過)” や “transeo(越えて行く)” からなる言葉で、「別の場所へ移行すること」です。「別の場所」とは『想定外の場所』のこと。そこに到着した時、あなたは以前とは質の違うあなたになっていることでしょう。

その変化を強制するのがトランジションです。

5)トランジションは、一見「チェンジ(change、変化)」と似ています。

が、中身はまったく異なります。

変化は「表面的」で、トランジションは「深層的」だからです。

6)Aさんは、恋人を何度か変え(change)ました。理想的な相手にめぐり合うためです。

しかし、今の恋人ともこれまでと同様の躓(つまづ)きを経験し、心の中では早々に、別の理想的な相手を見つけようと夢を見始めています。こうしてAさんは、同じ恋愛の失敗を繰り返します。恋人を変えても、Aさんの心や関係の持ち方は、依然と変わらない。同じだから、です。

でも、自分ではどうすればいいのか、わかりません。

深層のトランジションに目を向けていないからです。トランジションについて、知らないためです。

7)トランジションは、「表面的」あるいは「量的」な「変化」ではなく、「深層的な移行」「質的変化」をもたらすものです。セラピーに、より有益で具体的な示唆を与えてくれるのが、今回のセミナーで扱うトランジションです。なぜなら、トランジションは、深層的変化を3段階に分けて「見える化」するからです。

8)トランジションについて、最初に述べたのは、文化人類学者のアーノルド・ファン・へネップです。人類学者ヴィクター・ターナーは、へネップの考えを深め磨き、広く知られるようになりました。一方で、宗教学者ミルチャ・エリアーデや精神科分析医ドナルド・ウィニコットも、トランジションついて詳しく論じています。

9)ファン・へネップは、深層的変化を「分離」「移行」「統合」の3段階からなる「移行過程(transitional process)」、あるいは「通過儀礼(rites of passage)」から考えました。

人間性心理学者のウィリアム・ブリッジスは、この3段階を「何かが終わる時期」「混乱や苦悩の時期」「新しい始まりの時期」と言い換えています。

10)さて、宗教学者のエリアーデは、トランジションを「参入」というところから見ています。“transition(トランジション)” は、「参入」や「儀礼」を意味する “initiation(イニシエーション)” と同じ語源を持ちます。彼は、トランジションを、人間の実存を根本から変えてしまう宗教的、神秘主義的、神話的儀礼への参画(イニシエーション)、という点からとらえました。

11)トランジションの最初の段階である「分離期」は、人がそれまでいた状態から分離し、終わりや崩壊を強要される時期です。そこでは、象徴的、神話的な、心の「終わり」「死」「殺人」「崩壊」が求められます。肉体的死ではありませんが、尋常ならぬリアルさが伴い、生々しい恐怖や不安に苦しむことがよくあります。

また、「喪の作業(mourning work)」が必要とされます。

12)分離期は終わりの時ですが、トランジションの始まりの時でもあります。死の恐怖および喪の悲哀が伴います。心理的、精神的にとても困難で苦悩を伴うので、トランジションの出発点である分離期を避けたとしても、不思議ではありません。現代では、大半の人が分離期を回避したまま、人生を送っています。

13)しかし、魂の次元ではトランジションの過程が展開していますので、分離期の回避は人生を行き詰まらせ、不安、恐怖、空しさ、焦燥感、恐怖をもたらします。人生を表面的に変えたり、金品で装い繕っても好転しません。アルコール、ギャンブル、ゲーム、セックス、買い物、摂食などの嗜癖(しへき)でごまかし続けることもできません。

なぜなら、トランジションは、深層(底流)で生じている避けがたい変化だからです。それをコントロール(支配)することはできません。

14)トランジションの2段階目は「移行期」です。今までの自分が死んだ後と、新しい自分が生まれる前との
「間」の「過渡期」です。従来の自己(old self)がいなくなり、しかしまだ新しい自己(new self)が生まれていない「ゼロ状態」の時です。

それは、心理的、精神的に、大変『危険な』時期です。文化人類学や錬金術は、そこを「墓場」であり「子宮」である、と説明します。

15)あなたは、『墓場的子宮』をイメージできるでしょうか?

深層心理セラピーは、墓場的子宮の渦中にいるクライエントの安全を守るために、「マネージメント(management)」を怠りません。マネージメントの重要性は、強調してもしきれません。

16)移行期は、私(self)のいない “not-me” の時期です。その時期は、どこにもない場所(nowhere)です。と同時に、どこにでもあるところ(everywhere)です。そこは、無限定で無境界の宇宙空間です。

・・・どういうことでしょうか?

17)私がいないので、強烈な混乱、困惑、孤立感にさいなまれます。が、同時に、みんなと一緒のコミュニティ感覚をいだきます。ヴィクター・ターナーは、矛盾に満ちたその感覚を「コム二タス(communitas)」と命名しました。彼は、コム二タス経験なくして、良質なコミュニティ形成やコミュニティの変革はできないと述べます。

18)家族、ファミリービジネス、組織、法人の改革、M&A(合弁)に、コム二タスは、必須です。セミナーでは、個人セラピーや個人コーチングはもちろん、組織や法人コンサルティングにとって有益なコム二タスについても、わかりやすくお伝えします。

19)トランジションの3段階目は「統合期」です。これによって、トランジションにおける一連のプロセスは、終わりをむかえます。

しかし、始まりでもあります。

出発ですが、ここにも、死、喪失、悲哀が伴います。

どういうことでしょう?

20)トランジションは、魂の底流に現在でも潜在している不可避のプロセスです。そこでは魂の論理が発動し、個人、家族、組織のありように、深層からの変化を迫ります。魂の論理は、心には不可解で、不快で、不条理で、違和を抱かせます。

21)古代社会は、社会全体でトランジションを安全にやり抜くための「仕掛け」を持っていました。たとえば伝統社会で成人を迎える若者が通らねばならない「通過儀礼」がその代表です。それは、社会と個人とを守り、支援する「社会保障制度」と言ってもいい仕掛け、セッティングでした。

一方で現代社会は、トランジションを古めかしい迷信、無意味な神話などと考えて、葬り去ってきました。

22)が、トランジションは、死んでいませんでした。

カウンセリングやカップルセラピー、家族療法、コーチングやビジネス・コンサルティングを通じて繰り返し見えてくるのは、トランジションが魂の次元(底流)で、しっかりと息づいている点です。その働きが動き出すと、止めることも、コントロール(支配)することもできません。

23)しかし、マネージ(manage)することは、可能です。“manage” は、元来「馬のしつけ」「馬の手さばき」「巧みさ」を意味しました。

セミナーでは、「トランジション」の理解や重要性について、また「トランジション・マネージメント」について、基本から学びます。

フロイトの精神分析はそもそも、「暴れ馬のような」無意識を、マネージするためのセラピーでした。そのまなざしは、トランジション・マネージメントにも有益です。

(注:それは、ビジネスで「管理」「監督」「経営」を意味するマネージメントとは、質的に異なります)

24)トランジションが行き詰まると、人は移行状態に「半永久的に」陥ったままになります。すると、人生と心に区切り(節目)ができず、平板で退屈な毎日を送ることになり、心は空しさを抱えたままとなるでしょう。

その状態の心は、永遠の少年/少女のままで、モラトリアム状態を何年も、いや何十年も引き延ばすでしょう。魂は変容を求めているにもかかわらず、それに寄り添わず、成長/成熟できない苦しみ、空しさ、焦り、不安、恐怖にさいなまれるでしょう。

25)このセミナーは、トランジションとの取り組みを、具体的に学ぶものです。今回、「トランジション・マネージメント~変容を応援するセラピー、コーチング、コンサルティングの核心~」について、初歩からわかりやすく学びます。トランジションへの建設的、生産的、創造的アプローチをお伝えします。

それは、心の予防医学になります。

心、関係性、家族、組織、法人をサスティナブルで豊かにします。

26)このテーマにご関心のあるセラピスト、コーチ、ビジネスコンサルタント、ボディワーカー、ケースワーカー、医師、ナースなど医療関係者、教育関係者、一般の方、初心者の方のセミナーへのご参加をお待ちしています。

* * * * *

日時■ 2022年12月25日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子