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コンテイナーと治療構造 ~心の変容をうながす「内的容器(インキュベーター)」と「外的治療構造」作り~|2018/02/25(日)

◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)今から約30年前、私たちがユング心理学や精神分析に魅かれた最大の理由に、心の質的変化、つまり変容や成熟を可能にする心理学、という点がありました。

しかし、なぜその2つが、変容や成熟を促せるのか、その秘訣を見出すのに必死だったことを、昨日のことのように覚えています。

心の質的変化、変容や成熟のために不可欠なもの、それが今回のセミナーで扱う、「コンテイナー(心の容器)」であり、それをプロテクトする、「外的な治療構造」です。

2)ユング心理学も、精神分析も、程度の差はありますが、人為を嫌います。両者ともに、心は治療するもの(cure)、できるものではなく、自ずと治る(heal)ものと考えます。「自然治癒力」、「自己治癒力」を信じ、前提としています。

3)では、内なるヒーリング・パワー(癒しの力)を賦活し、促進するにはどうしたらいいのでしょうか?

さまざまな人、いろいろな流派が、多種多様な意見を述べています。その中で、もっとも腑に落ちたのが、今回セミナーのメイン・テーマである、コンテイナー(心の容器)と治療構造です。

4)その2つを、場(field)と言いかえることもできます。場には、「内的なコンテイナー(心の容器)」と、「外的な治療構造」とがあります。プロ・セラピストは、2つの場をどのように設え、両立させているのでしょうか?

内的コンテイナーと外的治療構造との間に共鳴関係を作ること、またその両者間に好循環を生むようにすることが、とても大切です。

5)内的コンテイナーは、ユングの「不可思議な錬金術的(メルクリウスの)容器」にあたります。それは子宮に似せて作られますが、魂や心のインキュベーター(incubator、孵化器)となるべく形作られています。

魂や心は、ラテン語で”psyche”(プシケー)または英語で”psycho”(サイコ)ですが、その2つの単語には、「蝶」という意味もあります。

私たちは、深層心理学を、心の青虫が蛹を経て蝶になることを促すもの、と考えています。それは、自己実現や個性化の過程などとも呼ばれます。内的コンテイナー(=内的子宮)は、心の青虫が蝶になる上で、必要不可欠なものです。

6)しかし、深層心理学では~多くのユング派の人も含めて~、今日、ユングの内的コンテイナーにフォーカスする人は、多くありません。

なぜでしょうか?

コンテイナーを理解する上で大切な点ですので、理由はセミナーでご説明します。

内的コンテイナーに対するしっかりとした眼差しがなけれな、質的変化を促すのは困難である点を、私たちは実感しています。内的子宮がないと、心のプロセスの孵化や出産が起き得ないからです。

7)ちなみに、内的子宮がかなり崩壊してしまっているのが精神病水準で、一部破壊されているのが、パーソナリティ障害水準です。そうした水準には、中身・内容物ではなく、まずは壊れた「コンテイナー側の修復」を試みるようにします。さもなければ、心のプロセスが常に漏れ出し、心の流産を繰り返すことになりかねません。

それでは、カウセリングやセミナーで、たとえいい体験をしたとしても、それは一時的なものに終始し、心に、変容や成熟が起きることはないでしょう。

8)このセミナーでは、内的コンテイナー、またはメルクリウスの容器とは何かについて、じっくりと学びます。また、その作り方、保持のしかたを、お伝えします。

9)さて、内的コンテイナーと同じように大切なのが、治療構造です。治療構造は、精神分析家の小此木啓吾さんによってまとめられました。それは、外的コンテイナーとして優れたものです。小此木さんは、それを内的コンテイナーとしても想定したのですが、私たちは、治療構造を、外的コンテイナーとして、より評価しています。

10)あなたは、治療構造についてご存知ですか?

それは、内的コンテイナーを、外側から守る枠組みです。またそれは、物理的安全さや安心、信頼、確かさを保証します。治療構造は、内的コンテイナーに比べて、設定が比較的容易です。しかし、その重要性が、精神分析以外の心理療法家には、あまり伝わっていない気がします。

それは、とてももったいない。

11)治療構造は、心理セラピーの場を、設えによって非日常的空間にするものです。その設定を適切に行うと、セラピーは、夢を見やすくなる場、無理のない自然な形で変性意識を喚起する空間、星々を投影できる心のプラネタリウムになります。

そのため、治療構造は、トランスパーソナルや深層心理学、スピリチュアリティに関心のあるカウンセラーやセラピストに、大変参考になります。

12)あなたは、なぜ、治療構造が、セラピーの場を非日常的で、無理のない自然な変性意識を促す仕掛けになるのだと思いますか?

それについてご一緒に、学びませんか?

13)内的コンテイナーおよび外的治療構造には、包含的母性はもちろんですが、切断的父性も必須です。切断力を身に着けていないために、その両者を作れないカウンセラー、セラピスト、コーチが少なくありません。内的コンテイナーと外的治療構造には、その両者を適切に維持する、マネージメント力が必要です。それについても、母性と父性の点からお伝えします。

14)コンテイナーと治療構造には、援助者のカウンセリング、コーチング、コンサルティングに関する哲学や理念が直に反映されます。

そのため、その2つについて取り組む場合、あなたのセラピーやコーチング、コンサルティングに対する信念や価値観を見つめる作業が大事になります。

その点に関して、エクササイズを通して(楽しみながら)取り組む予定です。

※このセミナーでは 、プロが基本として大切にしている2つの場、内的コンテイナー(心の容器)と外的治療構造について、さまざまな角度からていねいに学びます。

プロ・カウンセラー、セラピスト、コーチ、ファシリテーターなどの対人援助職の方、また、そうした領域でのプロをめざす方の、ご参加を心からお待ちしています。

初心者の方、一般の方のご参加も、心から歓迎いたします。

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日時 ■ 2018年2月25日(日) 10:00~17:00

会場■ 都内(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子