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うつの徹底理解と対応 ~単極うつと双極うつ、愛着とうつ、自己愛の傷つきとうつ、パーソナリティ障害とうつ、健康なうつ、中高年期のうつ、悲哀とうつ、トランスパーソナルとうつをめぐって~|2017/12/23(土)&24(日)

◎ 2日間開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)私たちがうつに本格的に関心を抱いたのは、いまから数十年前のことでした。ユング派のジェームズ・ヒルマンによって創始された元型心理学が、うつを、心理学のパラダイムやパースペクティブ(=よって立つ観点)にしていたり、うつをギフト(gift、贈り物)、癒し力(healing power)、アート(art)などととらえていることを知り、その発想に大変驚き、魅かれたのがきっかけです。

2)それまで、うつは、医療によって治療されるべきもの、と早計していました。河合隼雄氏は、うつには自殺・自死が伴いやすく、基本的に、カウンセラーが関わる領域ではない、と書籍などで述べていました。

3)にもかかわらず、河合氏の属するユング心理学の元型学派はうつを積極的にとりあげ、うつに能動的に取り組んでいたのです。それも、彼・彼女ら独特のやりかたで。なぜでしょうか?   それは、どういったことを意味するのでしょうか?

4)元型心理学は、うつは、治すべきものではなく、パラダイムやパースペクティブだと言います。???   それは、発想、視座の大転換を意味します。

5)治されるものとしてのうつは、精神医学の「内容」物です、一方、パラダイムやパースペクティブとは、さまざまな内容物を内に抱える、「コンテキスト(文脈)」ないしは「フレーム(枠組み)」です。元型心理学は、うつを、「内容」物から、何と、「コンテキスト」や「フレーム」へと、大転換させてしまったのです!(注:詳しくは、セミナーで学びます。元型心理学の洗練されたパースペクティブに、感動されると思います)

6)それでは、元型心理学が提唱する「コンテキストとしてのうつ」、「うつのパースペクティブ」とは、何でしょうか?   ここで一言だけ述べると、「深み」です。元型心理学は、心理学に深みを持ち込み、深みという視座から、うつを見直し(re-visioning)、夢、症状、悩み問題、訴えを聴くようになったのです。

7)そのアプローチは、ユング心理学、プロセスワーク、トランスパーソナル心理学に近いところもありますが、決定的な違いもあります。その相違は、ほんのわずかなもののように映ります。が、実際のカウンセリングにおいては、大きな、また質的差異を生みます。このセミナーでは、ユング心理学、プロセスワーク、トランスパーソナル心理学のうつの捉え方と、元型心理学のうつのパラダイムとの違いを明確にお伝えし、うつや躁うつに関して、多次元的、多面的に理解していきます。

8)元型心理学のアプローチは、(心理)錬金術の影響を包含しています。錬金術は、うつを、人間の自己実現・個性化プロセスの、第一段階(ニグレド、黒化)の開始、ととらえます.ニグレド、それは、何を意味するのでしょうか?   (注:ちなみに、自己実現・個性化の過程に不可避の、ニグレド的うつプロセスに参与するのは、容易ではありません。それは、「魂」の成熟が始まった印と言えますが、ニグレド的うつプロセスに加わるために、何年、何十年をも必要とする場合が、少なくありません。特に、永遠の少年・少女タイプの人にとっては、困難です)

9)ニグレド的うつは、魂の成熟、あるいは自己実現・個性化過程の開始を意味します(注:ニグレド的うつの、その他の重要な意味に関しては、セミナーを楽しみにしてください)。うつが、(心理)錬金術や元型心理学的に見直されると、それは、決して病的なものではないことがわかります。

10)メラニー・クラインが提唱した、「抑うつポジション」にまつわるうつも、マイナスなものではなく、むしろ健康・健全なうつです。それは、自我の成熟を意味します(注:うつには、「魂」の成熟を指標するものと、「自我」の成熟のしるしとなるものがあります。その違い、および抑うつポジションについては、セミナーで学びます)。

11)ニグレド的うつ、抑うつポジション的うつは、共に病的なものではありません。むしろ、健康で、深みがあり、成熟に向けたものです。にもかかわらず、うつに変わりはなく、経験としては、大変困難なプロセスです。では、どうすれは、ニグレド的うつ、および抑うつポジション的うつを応援できるのでしょうか?   また、そのプロセスを、安全にやり遂げるには、どのような工夫や仕掛けが不可欠でしょうか?   ご一緒に学びませんか!

12)(私たちが準拠してきた)プロセスワーク、トランスパーソナル心理学、各種人間性心理学は、躁うつ(双極性障害)の認識に、弱いところがあります。弱いと述べたのは、躁うつを見抜く明確な視点を持ち合わせていない、という意味です。いわゆるうつは、単極(一極)のうつであるのに対し、躁うつのうつは、双極(二極)の(中の)うつです。その二つに対する心理学的アプローチは、相当違い、場合によっては、真逆のこともあります。

13)過去5年の間に、NHKで、日本うつ病学会理事長で防衛医大教授の野村総一郎氏が、複数回にわたって、うつと躁うつの違い、またそれら双方に対する治療~特にクスリ~の相違について明確に述べたのをあなたは、ご存知でしょうか?   それに関して、心理カウンセラーやセラピスト、コーチは、絶対に学んでおくべきです。なぜなら、医療だけでなく、心理療法やコーチング、ファシリテーションにおいても、うつと躁うつ(のうつ)に対するアプローチを、変える必要があるためです。うつや躁うつは、心の訴えの中でも、死に最も近いところがあります。その点を踏まえて、謙虚に、誠実にうつや躁うつについて学び、とり組む必要があります。

14)先ほど、述べた躁うつへの見方に弱いところがあると、どういったマイナス面、副作用が伴うでしょうか?   一点だけ簡略に述べます。それは、躁うつの「躁」や、躁的防衛の「躁」を、プラス(肯定的)なプロセスと誤解・誤読してしまう点です。精神科医の笠原嘉氏と木村敏氏は、躁うつの「躁」を、「うつ」が一段悪化したもの、と考えています。私たちは、その見方を、参照し、大事にしています。躁うつは、うつよりも、自死が多い心の訴え、という専門家もいます。今回、あなたとご一緒に、「躁」についても、基本から学びたいと考えています。15)さて、今までのうつの治療法では良くならない現代型うつが紹介されて、随分時がたちました。現代型うつの癒しがなぜ困難なのか、という要因の一つに、それが、自己愛の傷つきや、各種パーソナリティ障害と関わっている点があげられます。パーソナリティ障害とうつの関係についても、学ぶ必要があります。その基本と、最前線に関しても、お伝えしたいと考えています。

16)うつは、大切な人を失った時、(若さを喪失する)中高年期、死が明確に意識される老年期に、(潜在的な)悲哀と共に、早晩必ずやってくるプロセスでもあります。それらは、上に述べた魂の成熟と、自我の成熟の両方に関わる危機の時期でもあります。危機とは、「危」険 + 好「機」です。危険を意識し、どう回避す るのか、また好機 をいかにものにするか、が問われる時です。物語や事例を参考に、うつと、魂および自我の成熟についても、取り組みたいと考えています。

このセミナーでは 、うつの多次元性や多様性にご関心のあるプロ・カウンセラー、セラピスト、コーチ、ファシリテーターなどの対人援助職の方、また、そうした領域でのプロをめざす方の、
ご参加を心からお待ちしています。初心者の方、一般の方のご参加も、心から歓迎いたします。

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日時■ 2022年12月23日(土)&24日(日)10:00~17:00

会場■ 都内(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子