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不完全さのスピリチュアリティ ~過剰適応からの癒しと解放のために~|2022/01/30(日)

不完全さのスピリチュアリティ ~過剰適応からの癒しと解放のために~

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1)「不完全」「欠陥」「限界」と聞いて、あなたはどう思いますか?「ダメだ」「劣っている」「努力やガマンが足りない」などとマイナスのイメージを抱くでしょうか?

今回のセミナーでは、不完全、欠陥、限界に「スピリチュアリティ」を見出すアプローチと取り組みます。それは、あなたに解放や癒し、自己肯定感や自信をもたらし、十全に生きる力を養ってくれます。暮らしに、レジリエンス(粘り強さ、弾力、復活力)や希望を与え、赦(ゆる)しを喚起します。

2)「不完全さのスピリチュアリティ」とは、すなわち、地に足の着いた「素面(sober)」のスピリチュアリティのことです。「スピリチュアル」と聞くと、「完璧」「理想的」「無限」「天国」「光」といったイメージを抱くかもしれません。しかし、それとは質の異なるスピリチュアリティが、古今東西、世界中にあります。

それは、「不完全」「欠陥」「限界」「地獄」「闇」にスピリチュアリティを見るアプローチです。日常に根差した、「素面の」スピリチュアリティです。あなたは、こうしたピリチュアリティにご関心がありますか?

3)「不完全さ」をマイナスなものととらえ、「完璧さ」や「理想」、「光」や「正しさ」「優越」を求めようとすると、私たちの人生や心はどうなるでしょうか。「完璧主義」で、自分も他人もコントロールしようとする。老いも若きも、相手の顔色を読み、期待に応え、人の思いに裏切らない、パーフェクトな自分であろうとする。

そうすべき、そうしなければならない、そうできる、と思い込み、はまってしまうのが、「過剰適応」という生存戦略です。この苦しい生き残り戦略である「過剰適応」からの癒しや回復のカギを、「不完全なスピリチュアリティ」に見出していくのが、今回のセミナーの目的です。

4)あなたは、「金継ぎ」をご存知でしょうか。それは、欠けたり割れたりした器を、漆を使って修復し、金で装飾する伝統的な技法です。「金継ぎ」によって修復することで、陶磁器はよみがえるのみならず、壊れる前より強靭で、美しく、価値あるものへと変容していきます。

欠けや割れがあることによって、元の器に、よりしなやかさ、粘り強さ、強靭さがもたらされる。金継ぎの精神は、人生の失敗や傷つきを、むしろより美しく、価値あるものへと高めるための変容の好機ととらえます。

(注:「千利休」は、金継ぎに象徴される、不完全さや欠け、割れ、欠陥のスピリチュアリティを心から敬い、生きた人物の1人です。千利休を参照し、不完全さや限界、欠陥のスピリチュアリティについて取り組むことも試みます)

5)次に、「ブリコラージュ(bricolage)」から見てみましょう。「ブリコラージュ」とは、すでに手元にあるものを寄せ集めて、組み合わせ、新たな別のものを生み出す、創造的な仕事のことを指します。これは、構造人類学者のレヴィ=ストロースによって紹介された「野生の知恵」です。

「器用仕事」とも訳され、その場で手に入るものを集め、工夫や試行錯誤によって、即興的に作り上げられる設計図のない営み。冷蔵庫にある残り物からありあわせの一品を作ったり、穴の開いたジーンズにパッチワークを施(ほどこ)して、個性的に仕上げたりすることが、その例です。こうした作業をする人を「ブリコルール(bricoleur、職人)」といいます。セミナーでは、精神や生き方の「ブリコルール」について取り組みます。

6)金継ぎ、ブリコラージュ、パッチワークの背景にあるのが不完全、限界、欠陥や短所を受け入れ、肯定するスピリチュアリティです。それは、人間とは生来、不完全で、欠陥や短所のある存在ととらえ、それをあるがまま受容し、肯定するスピリチュアリティです。「もったいない」「物や人を大事にする」「エコロジー」「物を丁寧に扱う、人と丁寧につき合う」といった精神に通じます。

7)これと真逆なのが、先に述べたようにスピリチュアリティを「完璧」「理想」「真」「正」「光」「優越」とするものです。

問題は、「完璧」「理想」「真」「正」「光」「優越」を人間に当てはめようとした場合に生じます。「完璧」「理想」「真」「正」「光」「優越」にふさわしいのは、西洋的な一神教的神だけです。人間にはまったく不適切です。

にもかかわらず、完璧な人間、親、子ども、生徒、弟子、恋人、男性、女性、友人、社員になろうとする人が多い。そして、物事を思いのまま支配(コントロール)しようとしたり、出来ると勘違いしたりする。

8)こうした完璧へのこだわりやコントロール欲求から生まれるのが、「過剰適応」です。そこには「自分らしい自分」はありません。あるのは「偽りの自分」です。偽りの自分は、自分自身の首を絞め、心身を病むキッカケになりやすい。

結果、うつや強迫性障害、ためこみ症、摂食障害、自己愛性パーソナリティ障害、アルコール依存、ギャンブル依存、DV(家庭内暴力)などにもつながりかねません。

9)その背景には、(偽りの)自分への買いかぶりや優越感と、弱さの否定、間違いや不確かさへの耐性の無さおよび嫌悪があります。完璧でなくなったり、コントロールを失うと、(偽りの)自分の価値はなくなり、底なしのブラックホールにどこまでも落ちていく、と妄信し恐れていたりします。

10)それをごまかし、自分が強くて大きくなった気分にしてくれるのが、空騒ぎ、バカ騒ぎ、興奮、刺激、輝き、アルコール、覚せい剤、暴力です。しかしそれらは、真に必要としているものを決して与えません。なぜでしょうか?

11)理由の1つを述べると、「大地」がないからです。そのため、地に足をつけることができません。自分の足で立つことができません。浮わついた気分を落ち着かせることができません(落ちて着地するところがないためです)。

12)「不完全さのスピリチュアリティ」は、人間が生来、またスピリチュアリティそのものが包含する、障害、失敗、短所、傷、ヒビ割れを肯定するものです。また、不確かさ、わからなさ、理不尽さ、不運に開かれたものです。

13)そのためには、詩人ジョン・キーツが述べた「ネガティブ・ケイパビリティ(負の能力)」、ソクラテスやプラトンの言う「無知の知性」が、欠かせません。また「答え」ではなく、「問う」能力を鍛え、洗練させる必要があります。

14)特に大事なのは、不完全、限界、欠陥、中途半端を肯定し、フィットする「コンテイナー(容器)」の創造です。そのことで、あなたは、不完全、限界、欠陥がもたらす「驚き」や「不思議」にオープンになることが可能になります。すると、あなたの人生に、共時性、神秘、奇跡が訪れ始めるでしょう。

15)「不完全さのスピリチュアリティ」は、あなたが不完全さや短所、傷を持っていることに向き合うことから生まれるスピリチュアリティです。さらに、あなたの両親や友人、先生や先輩、知人もみな、不完全でひび割れ、欠けを備えていること、それを受け入れることのできるスピリチュアリティなのです。

それは、あなたの苦しい生存戦略である「過剰適応」や、完璧さへのこだわり、コントロール欲求を和らげ、あなたを解放し、自由をもたらしてくれるでしょう。あなたが、今ここで、粘り強く、十全に生きることを支援するでしょう。

16)あなたは、地に足の着いた「素面(sober)」のスピリチュアリティと、それがもたらす解放、自由、変容にご関心がありますか?

今回、「不完全さのスピリチュアリティ~過剰適応からの癒しと解放のために~」にご関心のある対人援助の専門家、専門家を目指す方、初めて聞く内容だけれど、日々の暮らしに、また家族、ビジネスに活かしたいと考えている一般の方、初心者の方、そして難しいテーマを自己成長や自己実現の糧にしたいあなたの、セミナーへのご参加・ご購入をお待ちしています。

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日時■ 2022年1月30日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子