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Money Talks(金がものを言う)|2020/11/29(日)

Money Talks

◎ オンライン開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)あなたは、関係療法の最先端、特に対人関係精神分析で、お金について熱い議論が交わされているのを、ご存知ですか?

今回、『Money Talks(金がものを言う)』というラディカルで刺激的なタイトルの本を参考に、関係療法とお金の関係について学びます。本書では、8名の関係療法の専門家が、セラピーとお金について、卓越した考えを示しています。さらに本セミナーでは、魂や心、体と、お金の関係について、6人のユング派重鎮たちにより執筆された“Soul & Money(『魂&お金』)”を参照します。

2)昨年、「ファイナンシャル・セラピー(金融療法)」の連続講座」を開催させていただきました。そこで、人間性心理学、認知行動療法、フェミニスト・セラピー、アクセプタンス&コミットメント・セラピー、精神分析、解決志向セラピーによるマネー・セラピーの事例を、毎回ていねいに検討していきました。

お金について、心理セラピーの各流派が主体的に取り組んでいる点、また、各流派の具体的実践について、基本と最先端を学びました。ファイナンシャル・プランナー(FP)の視座、およびセラピストとFPと連携の仕方について、お伝えしました。
(注:この連続講座にご関心がある方は、お問い合わせください)

3)今回、そこに神経経済学、文化人類学、魂心理学の知見を加味します。あなたは、「神経経済学」について聞いたことがありますか?それは、生理学、神経科学の歴史を踏まえた、学際的な分野です。

経済学、ゲーム理論、進化論との融合によって、脳がどのように現実世界で意思決定しているかを探る全く新しい方法論を提供する専門領域です。今回、神経経済学、文化人類学、ファイナンシャル・プランニングと心理セラピー(関係療法、ユング心理学や元型心理学)のコラボレーションからも、お金について取り組みます。神経経済学については、基本をお伝えします。

4)日本では、セラピーやカウンセリングの中で、「お金」が話題になることは、ほとんどありません。お金は、セラピーやカウセリングにおける最大のタブーです。お金の話題は無視され、いなされ、ごまかされ、否認され、放置されてきました。

5)一方、ファイナンス(金融)、経済、税務の領域で、セラピーやコーチングへのニーズが高まっています。しかし、そうした領域のプロたちが、自分の専門領域と心理セラピーとを、どうやって統合し連携すればいいのかに関する具体的ノウハウについて、見当がついていません。

6)このセミナーは、セラピーとファイナンス、経済の総合を意図したものでもあります。セラピーについては心にプラスして体や魂、経済については神経経済学を参照します。これまで聞くこと、見ること、触れることのできなかった新しい総合領域について取り組みます。セラピスト、コーチ、ファイナンシャル・プランナー、経営コンサルタントが、潜在的に関心があるにもかかわらず、うまく言葉にできなかった新分野を取り上げます。そのうえで、私たちの本業がセラピーですので、そこに重心を置きます。

7)河合隼雄氏の師匠のC.A.マイヤーによると、古代ギリシャでは「貧困」は、病気と同じ言葉である“penia”で、一方、「富」は癒し、健康、救い、神聖さ、全体性と同義語の“ploutos”で表されていました。貧困を病として、富を健康としてとらえていたとは、どういうことでしょうか?

8)元型心理学のグッゲンビュール-クレイグは、「お金は、魂にとっての最良の投影物」であり、「お金に、人の魂のありようが見事に映し出される」と述べます。グッゲンビュールは、セラピーでお金が積極的に取り上げられ、話題にされること、特に、お金とのワークを通じた「魂の発見(soul-finding)」を推奨しています。

あなたは、「魂の発見」について聞いたことがありますか?

9)あまり知られていませんが、フロイトは当初、心理療法がビジネスとして立ち行かなくなって、貧困になることをとても恐れていました。一方、お金に対するフロイトの問いに対して、若いころのユングは次のように答えています。

「お金儲けが、すべて悪いわけではありません。私はセラピーについてあまり理解しておらず、経験を積むために、たくさんのクライエントを必要としています。私は、この領域でやっていけるか恐怖を抱いており、その恐怖を拭い去るために、実際にお金を稼げることを証明しなければなりません」

ユングもフロイトも、お金に対して現実的でした。特にフロイトは、お金についてかなりしっかりと論じています。
(注:セミナーでは、フロイトとお金についても取り上げる予定です)

10)ジェームズ・ヒルマンによると、ギリシャ神話の神「プロメテウス」は、お金に対する英雄的な自我意識を表しています。一方、「ヘルメス(ローマ神話ではメルクリウス)」は、お金についての魂意識を象徴します。ユング心理学は、しばしばヘルメスを軸にお金について考えます。

ヘルメスやメルクリウスとは、どのような神でしょうか? トリックスター、眠りと夢、地下世界への仲介者、商人、職人、富と幸運、盗人の守護神です。グリム童話「容器の中のスピリット(精霊)」の中で、メルクリウスは、人間に「癒しの技と富」をもたらしました。ヘルメスやメルクリウスは、フロイトとユングが望んでいた、セラピーの技と富をもたらす守護霊です。それは、癒しとビジネスとが一体になった「開業セラピー」にふさわしい守護神です。

11)ヒルマンによると、ヘルメスやメルクリウスは、英雄的、自己愛的な世界からお金を盗んで、それを魂の世界へ運ぶ、といいます。それは、英雄的な自我にとっては喪失です。しかし、魂にとっては獲得です。自我が失ったお金が、魂にとっての獲得になる。

それは、どういう意味でしょうか?
それは、何を意図するのでしょうか?

セミナーで学びます。

12)『Money Talks(金がものを言う)』の編者は、お金はセラピーにおける最後に残されたタブーだと述べています。お金は、ユング派が「魂」の投影物であると言うのに対し、「心や家族の傷つき」の投影物だと述べます。特に、以下についての議論が有益です。

「従来、精神分析は、『貪欲』や『羨望』をマイナスで罪深いものととらえてきた。しかし、『ナルシシズム(自己愛)』と『富』への意識が当たり前となった現代においては、貪欲、羨望への罪悪感が減り、誇大感や特権意識が強まっている。こうした時代の中で、関係療法は何ができるだろうか?」

13)貧困と病を同じ言葉(penia)で表した古代ギリシャでは、「富」は、すなわち「貧困」という心の病の処方箋でした。一方、現代社会では、富はある面で過剰となって、誇大感、特権意識といったナルシシズム(=病理)と表裏一体となっています。ヒルマン的には、過剰な富はいわばプロメテウス的であり、ヘルメスやメリクリウスによって盗まれる運命にあります。今回、対人関係精神分析とユング心理学、元型心理学とを補完的に活用し、セラピーとお金についてホリスティックに見ていきます。

14)セラピストやカウンセラーが、何十年にもわたってお金をタブー視して話題にせず、放置してきた間に、お金に関する外的社会状況と心の内的世界が、大きく変化しました。こうした中で、セラピーは、どうお金と向き合うことができるのでしょうか?

お金について、どのようなサポートを提供できるのでしょう。
お金と、魂、心、体とのつながりや関係をどう考えるといいのでしょうか?

15)セラピストが専門領域において成功すると同時に、経済面、ビジネス的にも成功するにはどうすればいいのか。ユングやフロイトも懸念したこの課題に、私たちはどのように取り組めばいいのでしょうか? セラピーと、ファイナンス、経済、その他の専門領域との連携をどう進めればいいのでしょう?

16)今回、最新の関係療法やユング心理学による、活き活きとした事例、具体的で良質なケースを参照しながら、魂、心、体や関係性と、お金の関係について見ていきます。お金を取り上げ扱うことが、なぜ、関係性、心、体の癒し、回復、成長、成熟、変容に通じるのか、あなたとご一緒に見ていきます。

セラピーにおけるお金にご関心のある心理カウンセラー、コーチ、ボディワーカーなどの援助職や、アドバイザーやコンサルタントといった専門家の方および一般の方、初心者の方、そしてあなたの、このセミナーへのご参加・ご購入をお待ちしています。

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日時■ 2020年11月29日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子