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愛とスピリチュアリティ

◎ 2019年1月25日(金)〜 全10回 対面開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)2019年1月からスタートする、新しい連続講座では、初めて「愛」についてまっすぐ取り上げます。愛は、臨床場面でたびたび話題になります。たくさんの人が、愛に関する悩み、苦しみ、葛藤を語られます。しかし、自分の悩み、苦しみ、葛藤が、愛に関わることだと気づいていない場合も少なくありません。また、いろいろなタイプの愛や、愛にまつわる気持ち、想い、考え方が錯綜し、ごちゃまぜになってしまい、悩みの糸がからまってしまうこともあります。

あなたは、愛に多様性があることを、ご存知でしょうか?それとも、愛は、親密なパートナー間に限ったものなのでしょうか?あるいは、親子の間だけのものでしょうか?いいえ、そうではありません。

2)愛には、たとえば以下のようなものがあります。恋愛(アモール)。友愛(フィリア)。家族愛。キリスト教の神の無限の愛(アガペー)。イスラーム神秘主義の慈愛。哲学者、ニーチェが提唱した運命愛。意志的愛。母子間の愛着。ジェネラティヴィティ(次世代への愛)などなど…。

3)この連続講座では、深層心理学、対象関係論、人間性心理学、トランスパーソナル心理学、発達心理学、神秘主義、といった知見を参照し、多様な「愛」について理解しながら、愛についての混乱や混沌を整理していきます。あなたが対人援助職のプロとして、また日々の暮らしの中で、愛を意識的(コンシャス)に生きるのをサポートします。

4)愛について、意識的になるためには、 次の3点が重要だと考えています。

  • 自己愛障害性から癒えること
  • マインドフルになること
  • その多様性をマンダラ的、ホリスティックにとらえること

5)精神分析の開祖、S.フロイトは、人生において最も大切なのは、「愛と仕事」である、と述べました。またC.G.ユングは、永遠の少年からの治療には、仕事が一番効き目があると考えました。永遠の少年(少女)とは、今日で言う自己愛性(ナルシシスティック)パーソナリティ障害に該当します。愛を考える上で、私たちは自己愛障害性を乗り越える必要があります。

6)過去30年にわたって、欧米における精神分析、人間性・実存心理学、トランスパーソナル心理学の中心課題の1つは、自己愛障害性の克服、治療でした。日本ではあまり知られていませんが、欧米的近代自我の限界は、ナルシシズムとの関連で、熟考されてきました。日本には、欧米によく見られる「顕示型」ナルシシストは少なく、多いのは、「隠れ型」ナルシシストです。隠れ型は、顕示型と同様、心の内面で、自己愛の問題に、大変苦しんでいます。外見上は控えめに見えるのですが、心の中では、羨望や恥、過剰な傷つきやすさ、恨みやつらみを抱えています。隠れ型は、人の顔色や機嫌を気にし、人の期待に応えようとします。他人や世間に対していい人を演じる一方で、報われなさを隠し持っています。愛について考えるうえで、この「隠れ型」自己愛障害(ナルシシズム)を理解し、癒していくことは、不可欠です。

7)精神分析や人間性・実存心理学、ユング心理学、トランスパーソナル心理学における多くの良質な臨床家たちが、愛との関連で、ナルシシズムの癒しを、大変重要視してきました。なぜなら、自己愛障害(ナルシシスト)の状態では、人(他者)を愛することが困難なだけでなく、自分自身を愛することができないからです。それ以前に、愛するということ自体がよくわからない、ということもあります。たとえば「愛、と言われると、実感がわきません。何かが麻痺している感じがします」といった訴えを、たびたび耳にします。ここには、心の「解離」が潜んでいることもあります。このテーマについても、講座でご紹介していきます。

8)近年、上座部仏教や大乗仏教との関連で、ナルシシズムの克服に取り組んでいる心理学者も、増えてきました。愛には、多様性があると述べましたが、その多様な愛、すなわち他者愛や、他者も自分も愛することができる愛、を理解し、体現できるために。今回の講座では、これらスピリチュアリティの知見や実践も取り入れていきます。人生を実りある豊かなものにするために、この講座を活用していただきたいと思っています。

9)もうひとつ、どうしてもおさえておきたいのが発達心理学です。たとえば、J.ピアジェ、L.コールバーグなどの発達心理学者は、パーソナリティが十分に発達してこそ、人はナルシシズムを乗り越え、他者および自分を愛することができるようになる、と述べています。

10)他者を愛する、ということは、決して自分をないがしろにすることではありません。自分をないがしろにせず、他者を愛すること。また、自分が愛される、という受動的な愛だけに執着する子どもの愛ではなく、自ら愛することを意志し、行動できる、大人の能動的な愛を育てていくこと。これは、大乗仏教の縁起や慈悲に通じます。トランスパーソナル心理学の重鎮、K.ウィルバーも、その大切さを述べています。こうしたスピリチュアリティに学び、大人のウィン-ウィン的な愛について考えていきます。

11)私たちは、死ぬまでに一度くらい、真剣に、まっすぐに、愛について考えてもいいのではないか、このテーマを熟考できる年齢に達したのではないかと考え、今回の講座を是非開催したいと思いました。このテーマは、あなたの臨床を深めるとともに、日々の暮らしを豊かにするでしょう。フロイト、ユング、E.フロム、N.シミントン、ピアジェ、コールバーグ、イスラーム神秘主義、仏教などを参照し、愛について、多面的、多角的にじっくりと取りあげ考えます。簡単なエクササイズをご用意していますので、体験を通し、納得しながら学ぶことができます。

愛に関してご関心のあるあなたのご参加を、心からお待ちしています。

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日時■ 2019年1月25日(金)〜全10回 毎月第4金曜日 19:00~20:50

会場■ 都内(お申込みの方に詳細をお伝えいたします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子