◎ 2022年10月28日(金)〜 全10回 オンライン開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます
1)あなたには、事件、事故、災害にあい、驚いて混乱し、パニックになって固まってしまった、という経験がありますか? 何が起きたのかわからなくて言葉にできず、棚上げにした、ということはいかがでしょう?
そうした体験は、名づけようがなく、物語ることができません。
この状況を、スピリチュアル・セラピーでは、「魂の暗夜(dark night of the soul)」といいます。
2)魂の暗夜と聞くと、どんなことを想像するでしょうか。
- 苦悩に満ちた理不尽な人生?
- 不運で残酷な日々?
- 無力と無能感でいっぱいの孤独な心の状態?
- 病や怪我だらけの身体や精神のありよう?
- 複雑性トラウマや発達性トラウマ?
- 貧困や暴力からなる家族?
- パワハラが絶えないブラック職場?
- 愛する人と会えない日々?
- 致命傷を負った生活?
- 自殺念慮の絶えない毎日?
- 家族、夫婦、カップルにおける紛争状態?
3)魂の暗夜は、たとえて言うと「さなぎ(蛹)」の無い状態です。だからプロセスが進みません。変容が起きません。どういうことでしょう?
4)青虫から、蝶になりたいのになれない。『中間』のさなぎが無いためです。そのため、いまの状態、状況に留まったままです。プロセスが進展しないのです。
5)出来事があまりにショックで混乱し、物事が進まない、時が止まった状態を、セラピーでは通常「トラウマ」「PTSD」「解離」から考えます。それをスピリチュアル・セラピーや深層心理学は、「魂の暗夜」ととらえます。それは、プロセスや状態が剥(む)き身で、方向性が定まらず、右に行っていいのか左に行っていいのかわらない無秩序な状態です。
6)トラウマは治すもの、回復すべきものと考えられる一方、魂の暗夜は通り抜けるもの、変容すべきものです。トラウマは過去志向、一方、魂の暗夜は未来志向です。私たちは、日々のセラピーで、過去と未来と両方の志向性を尊んでいます。
7)が、この講座では、未来志向に基づいたスピリチュアルで深層心理学的な視座をベースに、心、身体、夢、人間関係、家族関係の課題や悩みや症状、および夢、想定外の事件、事故、災害、共時性と取り組みます。未来志向は、神秘主義的なパースペクティヴ(まなざし)の特徴です。
8)あなたは、「青虫」が「蝶」になりたいのに、「さなぎ」の無い状態を想像できますか?
さなぎは変容の「要(かなめ)」です。変容を志向するのは、大人向けの成熟したセラピーです。C.G.ユングは、中高年向けのセラピーを「変容」を基軸に行いました。変容は、プロセスや状態(中身)を促進したり、展開することによってではなく、プロセスや状態にふさわしい「外身」「フレーム(枠組み)」「コンテイナー(容器)」が提供されることで、展開します。
9)「適切な」さなぎが見つかると、放っておいても青虫は蝶になります。なぜならプロセスが、変化のための力を『内在』しているからです。でもその力が発揮されるには、さなぎが「絶対に」必要です。さなぎがあると、青虫は自分の力で蝶になっていきます。さなぎがあるなら、セラピストは余計な手出しをせず、ただ見守ることが大事です。あとは、タイミング(時熟)が、プロセスを進展させるでしょう。
10)しかし問題は、その過程を応援するために、プロセスや状態(中身)にフィットするさなぎ(外身)を、どうすれば(how))見つけることができるかです。さなぎを、ユングのように、セラピストあるいはクライエントの「内面」に発見するのか? あるいは、W.ビオン、S.ミッチェル、R.ストロロウのように、セラピストとクライエントとの「やり取り」や「関係」に見出すのか? 今回、その両方の可能性を、じっくりと見ていきます。
11)この連続講座は、変容のための「さなぎ」を、スピリチュアル・セラピーや深層心理学の観点に立って見い出すことを大切にします。そのために、古今東西の神秘主義やスピリチュアルなナラティヴ(物語・神話)を参照します。
ナラティブ(物語・神話)とは、たとえば以下のようなものです。連続講座では、毎回、さまざまなナラティブを扱っていきます。
- 青虫から蝶へ
- 内なる炎による浄化
- 幻想の覆い(ベール)の撤去
- 夢見からの覚醒とは?
- 囚われからの解放と自由
- 闇に潜む光
- 断片化(解離)から全体性へ
- ヴィジョンと力の場所へのシャーマンの旅
- 源泉への回帰
- 死と再生の過程
- 命の樹とカバラ(ユダヤ教神秘主義)
- 慈愛の息吹(イスラム教神秘主義、スーフィズム)
- 開花する自己
- 内なる可能性
12)さなぎがないと、心の状態やプロセスは、魂の暗夜の中で方向性を見失い、行き場を定めることができません。いや、より正確に言うと、魂の暗夜の「中」に(そもそも)入ることができません。魂の暗夜に「入る」には、さなぎが必要です。さなぎが見つかると、そこから錬金術でいう「二グレド(黒化)」が始まり、変容に不可欠な「抑うつ」が始まります。二グレドおよび抑うつの始まる端緒が、魂の暗夜です。
13)その抑うつを認めない着目しないのが、いわゆる精神世界系、ニューエイジ、スピ系です。
一方、黒化や抑うつを変容の第一段階として肯定し尊重するのが、真のスピリチュアル・セラピー、深層心理学、神秘主義的心理療法です。二グレドを、神秘主義では「イニシエーション(秘儀参入)」といいます。それは、魂の暗夜の第一段階です。
(注:適切な抑うつのないプロセスは、自己愛的で、病的な躁的防衛です。講座で説明します)
14)ここで欠かせないのが、「イマジネーション(想像力)」「インスピレーション(霊感)」「インテューイション(直観/直覚)」です。その3つを後押しするのが、世界に広がるスピリチュアルで元型的なナラティブや神話です。ナラティブや神話がなければ、豊かで良質なイマジネーション、インスピレーション、インテューイションは賦活されません。
15)この講座では、一見マイナスに映る魂の暗夜を糸口に、スピリチュアルな魂の変容過程と取り組みます。それに当たって、多様なナラティブや神話を参照します。多様なナラティブや神話の中に、異なる「さなぎ」を見出して行きます。あなたの変容、成長、成熟ににぴったりのさなぎを、探すことができるでしょう。
16)目的は、魂の変容過程を明らかにし、精神と身体を含んだ心の全体性を応援することです。そのことで、心に、繊細な多義性からなる分厚さをもたらすことです。また、変容過程を手触り感や臨場感をもって、味わっていただくことです。それはあなたの日々の暮らしに、豊かさや充足感をもたらすものとなるでしょう。
17)講座では、世界中の、そして古今東西の多様なスピリチュアリティ、神秘主義、深層心理学のナラティブや神話から、変容のためのいろいろな「さなぎ」をご紹介します。アートセラピーの技巧を取り入れて、講座をていにねいに、じっくりと、楽しく進めていきます。
18)今回、心の変容とその過程、またスピリチュアリティや神秘主義的な物語や神話の神髄にご関心のあるセラピスト、コーチ、ファミリービジネス・コンサルタント、またそうした専門家を目指す方、一般の方、初めての方、そしてあなたの連続講座へのご参加を心からお待ちしています。
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日時■ 2022年10月28日(金)〜 全10回 毎月第4金曜日 19:00~20:50
会場■ 初回はzoomオンライン会議にて開催いたします。第2回以降、状況に合わせ、zoomオンライン会議および東京都内会場の並行開催へと随時移行していく予定です。
費用■ メールマガジンにてご案内しております。
講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子