◎ 2021年7月8日(木)〜 全10回 オンライン開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます
1)イメージしてみてください。
あなたが亡くなるときに「正しい生き方をした」と考えたいですか?
それとも「自分らしい生き方を十全にした」と納得しながら死にたいですか?
死ぬときにこそ、どう生きてきたか、が問われます。年齢に関係なく、ライフスタイル(生き方)とウェルビーイング(健康、幸せ)についてじっくりと考え、取り組むことは大変有益です。
2)文化人類学者C.ギアーツの著書に『濃厚な記述(thick description)』があります。「濃厚、濃密(thick)」とは、いろいろな文脈、視座、声を取り入れた「奥行き」「深み」「多様性」「ポリフォニー(多声性)」を指します。一方「希薄(thin)」とは、「一面的」「硬直的」「教条的」「型通り」なものを言います。この連続講座は、「濃厚、濃密なウェルビーイング(健康、幸せ)とライフスタイル(生き方)」をめぐるものです。濃厚さは、多様性、多元性、奥行き、深み、多声からなります。
3)内容は、「これが正しいライフスタイル」といった「一面的で硬直した薄いライフスタイル」からの解放、を意図するものです。「正しさ」を求めるのではなく、多様性、差異、多声、想定外に対し”Yes”を言っていきます。「強く大きな1つの声」に従うのではなく、「弱かったり、中くらいだったりするたくさんの声」を聞き取る、「柔軟さと丈夫さを兼ね備えたライフスタイル」を志向します。
4)リベラル・アーツ(liberal arts、教養)とは、「liberal(自由)」のための「arts(技芸)」です。「何から」の自由でしょうか?
「一面性」「薄さ」「正しさ」「強さ」「硬さ」「型通り」からの解放です。
5)多元性、多様性は、正解を求めるものではありません。そこには、矛盾、利益相反、対立、葛藤、不一致が潜在しています。目指すのは、異なる文脈、価値、信念、声の共存共栄(ウィン-ウィン)です。それには、内なるファシリテーターや、内なる新しいタイプのリーダー(指揮者、船長、パイロット)が必要です。(注:内なるファシリテーターや内なる新たなリーダーについては、講座でお伝えします)
6)そのために、寛容さ(ゆったりとした心の容器)、ネガティブ・ケイパビリティ(negative capability)を身につけることも試みます。それは、未知、不確実、”Not-Me”(現在の私にとって想定外の私)、理不尽、不一致、相違に、オープンなマインドです。また、不快さ、イラ立ち、違和感といった情緒に対して微笑む、大らかなハートが求められます。
7)今の時代、混迷と不確実性・不確定性に満ちています。人生に正しさを求めるのではなく、未知、想定外、理不尽さと共存できる寛容さ、大らかな心、丈夫さ、柔軟さが求められます。
8)「正しいライフスタイル」には、どういったものがあるでしょうか?
古くは、立身出世や末は博士か大臣か。
3高(高身長、高学歴、高収入)男子と結婚する女の人生スゴロク。
タワマン高層階での勝ち組人生?
キラキラ・イケイケの輝く人生?
9)ある夫婦セラピーでのやりとり。
夫:「君はキラキラ輝く人生を、タワマンでおくりたいんだろ」
妻:「いいえ、私は温度が低くてジメッとした季節(梅雨冷)がしっとりとして、とても落ち着く。私はあなたの実家のうるおった雰囲気や自然が好き。そこで暮らしたい」
夫:「田舎でいいのか? 輝かなくても?」
妻:「私たちの大事な人生を、なんでキラキラ輝かせないといけないの? そんな少女漫画みたいな人生を送る義務はないし、身体にとても負担。私たちに合ったしっとりとした人生を、あなたの実家で創っていこう」
10)この講座は、あなたらしいライフスタイル(生き方)やウェルビーイング(健康、幸せ)について、「考える」機会を提供するものです。ウェルビーイングに関する研究によると、人が幸せを感じる重要な要件に「オートノミー(autonomy、自律性、自立性、自主性、自己決定権)」をもって「考える」ことがあります。講座では、あなたらしいウェルビーイングやライフスタイルについて、あなたが主体的に考えられるようになることを、精一杯サポートします。(注:「考える」「考えられること」は、ウィルフレッド・ビオンのキーワードの1つです。わかりやすくご説明します)
11)ライフスタイルについて考える上で、以下を参照します。
・ボボズ(Bobos)=ブルジョア(富裕層)とボヘミアン(放浪者、ノマド)を合わせた造語。スティーブ・ジョブズをロールモデルとするライフスタイル。
・カルチャル・クリエイティブズ(Cultural Creatives)=利潤の追求、自己実現、社会的貢献の3つを総合したライフスタイル。
・インテグラル・ライフ(Integral Life)=ケン・ウイルバーが提唱する統合的ライフスタイル。
・リベラル・エリート(Liberal Elite)=経済的に裕福で社会的力を持った高学歴リベラルのライフスタイル。
・リバータリアン(Libertarian)=政治、経済的自由に加えて、個人的自由を徹底的に尊ぶライフスタイル。
・保守主義(conservatism)=人間の不完全性を受け入れ、不完全さを補うものとして歴史的に積み上げられた伝統、習慣、制度、考え方を、偏見とわかりながら継承し、少しずつ刷新していくライフスタイル。理性と理性にもとずく急進的革新、進歩に懐疑的。
・エコロジスト(Ecologist)=自然環境の保護と共存を唱えるライフスタイル。
・個人神話(Personal Myth)=「私」と「集合的無意識(スピリチュアリティ、神話)」との対話を通じて創造するユング心理学的ライフスタイル。
・コンシャス・リビング(Conscious Living)=コンシャス(意識的)な生き方を、生活全般に活かすマインドフルなライフスタイル。
12)それらについて考える際に、この講座では、社会学者ピエール・ブルデューの「文化資本」を参照します。上に挙げたライフスタイルの中で、あなたに参考になるものはありますか?
あなた独自のライフスタイル創りについて、「考える」ための材料としていただきたいと思っています。たとえば、あなたの内面に、「リベラル」と「保守主義」という相矛盾するライフスタイルが潜在している点についてコンシャス(意識的)になり、その両方を活かす個人神話を紡いでいくキッカケとする、など。「1つの正しいライフスタイル」の発見ではなく、「あなたらしさが濃厚、濃密に生きられるライフスタイル」の「デザイン(design、設計)」に、役立てていただきたいと考えます。(注:「文化資本」については、講座でわかりやすくご説明します)
13)”Well-being(ウェルビーイング、健康、幸せ)”とは、”well(十全に)-being(存在すること)”です。十全にあなたらしく存在することこそ、健康や幸せを意味します。それは、身体的健康だけを対象としたものではありません。心、関係性、職業、環境、社会にも配慮したホリスティックな健康です。それには、「あなたが十全に存在できるライフスタイル」への眼差しが欠かせません。
14)健康は、英語で”health”でもありますが、それはギリシャ語”holos”(全体)を語源とする派生語です。”holos”から派生する他の言葉には、”heal”(癒える)、”holy”(神聖)、”Whole”(全体)などがあります。
15)さて、「全体」「十全」とは何でしょうか?
ユング心理学では、「全体」や「十全」について、「完璧」と比較して考えます。「完璧」は、欠けたところのないことを言います。一方、「全体」は、欠けたところを含んだものです。たとえば、「光だけの世界」は完璧です。一方、「光と闇とからなる世界」は全体です。
16)全体は、完璧な光の世界からすると欠けていて、そこに闇が入り込んでいます。全体は「光+闇」で、それを十全ととらえます。これは、「陰陽」の考え方と同じです。
17)「光+闇」(「陰陽」)は、不一致、矛盾、多様性からなる「全体」です。ギリシャ語の”holos”(全体)は、「健康」の生みの親でした。全体、十全であることが健康、そして幸せに通じます。この講座では、多様性、複雑さ、不一致、矛盾を「濃厚・濃密な健康と幸せ」に欠かせない要素ととらえます。あなたは、濃厚・濃密な健康と幸せをイメージできますか?
それは、深みや奥行きを持った健康であり幸せです。
15)この講座のメインテーマは、「濃密な健康、幸せ、ライフスタイル」です。それは、野性味と繊細さ、丈夫さと柔軟さ、寛容、大らかさ、ネガティブ・ケイパビリティ、レジリエンス(回復力)を土壌とする健康、幸せ、ライフスタイルです。そのデザイン(設計)を支援させていただきます。
あなたの連続講座へのご参加・ご購入を心からお待ちしています。
* * * * *
日時■ 2021年7月8日(木)〜全10回 毎月第2木曜日 19:00~20:50
会場■ 初回はzoomオンライン会議にて開催いたします。第2回以降、状況に合わせ、zoomオンライン会議および東京都内会場の並行開催へと随時移行していく予定です。
費用■ メールマガジンにてご案内しております。
講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子