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夫婦・カップル療法の極意を学ぶ ~セラピストのパラダイムシフトとは~|2023/10/29(日)

◎ オンライン開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)今月のセミナー・テーマは、「夫婦・カップル療法」です。近年、夫婦療法やカップルセラピーのニーズが高まっています。しかし、この領域で専門的トレーニングを積んだセラピストはほとんどいません。そのため、セラピストやコーチが、夫婦やカップルの悩み、課題、訴えに、適切に応えることができていません。

個人セラピストやコーチが、従来のやり方の延長や応用で、夫婦・カップル療法を行っても良質な支援を提供できません。かえって、関係性を悪化させてしまうことさえあります。たとえば、個人カウンセリングで当たり前とされてきた傾聴や共感が、夫婦やカップルの関係の分断を助長したりします。

2)なぜでしょうか?

従来の個人を対象としたカウンセリング、セラピー、コーチングとカップルや夫婦を相手にしたセラピー、コーチングとの「枠組み(パラダイム)」や「質」が異なるからです。今までのカウンセリング、セラピー、コーチングのほとんどは、「個人(I)」に向けたものでした。一方、夫婦やカップルに向けたセラピーやコーチングは、「関係性」「システム」「私たち(We)」を対象としたものです。

3)夫婦・カップル療法には、「I」から「We」へのパラダイムシフトが必要です。パラダイムシフトには、「質的」「次元的」「構造的」変化が伴います。

4)それを無視した「個人」セラピーは、「カップル・夫婦関係」を『内側』から崩壊させます。一見、非侵襲的な傾聴や共感であっても、そうです。この点に無知で、善意の個人療法家は少なくありません。

5)なぜ「個人(I)」への眼差しが、「関係性」「システム」「私たち(We)」を破滅させるのでしょうか?

「I」と「We」とに、『次元的』『構造的』違いがあるからです。この違いについて知らないためです。この点を明確に指摘したのが、思想家アーサー・ケストラーの「ホロン(holon)」という切り口です。それは、ケン・ウィルバーが継承したことで知られています。今回、ホロンの切り口を、夫婦・カップル療法に応用します。

6)セミナーでは、まず「個人(I)」と「私たち(We)」との構造、次元、質の違いをはっきりとさせていきます。そして、夫婦やカップルの語りの中で、どの発言が「個人(I)」に基づいたものか、また、どのやりとりが「私たち(We)」をベースとしたものか、見極める方法を具体的に学びます。

7)次に、「私たち(We)」を起点としたコミュニケーションが、「個人(I)」次元のやりとりに陥らない介入法を身につけます。ここでいう「We」は、カップルや夫婦の「肯定的」アイデンティティ、「プラス」のやりとりや交流、「ウィン-ウィン」のコミュニケーションを指します。

「個人(I)」次元にあるのは、やりとりの「行き詰まり」や交流の「不在」、あるいは「ルーズ-ルーズ」のコミュニケーションです。適切な介入がなければ、夫婦やカップルは、「私たち(We)」の次元から「個人(I)」の次元へ(早晩)退行し、関係性は分断、解体されてしまいます。

8)夫婦やカップルの肯定的やりとりや交流、ウィン-ウィンのコミュニケーションを促し、やりとりの行き詰まりや交流の不在、あるいはルーズ-ルーズのコミュニケーションを回避するには、個人療法では用いることの(少)ない「マネージメント」「カットイン」「ブレーキ」といった技法を率先して用いる必要があります。ご一緒に学びましょう。

9)このとき大切なのは、セラピスト側のパラダイムシフトです。パラダイムシフトが叶うならば、従来の個人療法も、個人療法で使われてきた技法 ~たとえば傾聴や共感~ も、みな夫婦・カップル療法の「要素」として有効活用することができます。

この考え方は、セラピーやコーチングの異なる学派を超えて、全ての「個人」療法に当てはまります。ですので、「個人」セラピーやコーチングを実践してきたあなたに、夫婦・カップル療法のパラダイムを、ぜひ学んでいただきたい。

10)が、セラピスト側のパラダイムシフトは簡単ではありません。その理由と対応策は、セミナーでお伝えします。

あなたが個人を対象としたカウンセラー、セラピスト、コーチ、アドバイザーで、これから夫婦やカップルの支援を希望しているなら、セミナーは有益です。

11)今回、夫婦・カップル療法についてのリテラシー(使いこなし活用する能力)とマインド・セットの持ち方の、初歩から最先端までを学びます。楽しみにしていてください。

12)セラピーに来る夫婦・カップルの多くは、基本的に「信念対立」に陥っています。双方が、それぞれ「私個人(I)」の「信念(belief)」に執着し、「自分は正しい」と思い込んでいます。相手が「正しい」(かもしれない)と思うことはまずありません。

そんな信念対立への処方箋の1つは、『メンタライズ能力』です。

13)メンタライズとは、「相手の目線から自分(の信念)がどう見えるか、リフレクト(熟考・想像)する能力」です。それは、従来の共感や理解の一歩先を行くものです。メンタライズは、「相対化能力」で、関係性を豊かにします。メンタライズ能力は、夫婦やカップルに、「私たち(We)」「関係性」「チーム」の観点を育成します。夫婦・カップル療法の中で、どうすれば2人にメンタライズ能力が身につくか、具体的にお伝えします。

14)さらに、「We」にもまして重要なのは、「Not-We(私たちでない私たち)」です。

これは、ソリューション・フォーカスト・セラピーで『例外』と呼ばれるものであったり、プロセスワークの「カップルの見る夢」であったりします。「Not-We」は、「We」のシャドウ(影)です。Not-Weへの眼差しは、不可思議で、奇跡的で、魔法のような治癒を、時に喚起します。この点についても、あなたとご一緒に学びます。あなたは、畏怖に満ちた、豊かで不可思議な体験をすることでしょう。

15)「Not-We(私たちでない私たち)」を取り扱う上での注意点は、「私たちでない私たち(Not-We)」と「個人(I)」との切り分けです。

たとえば、カップルが喧嘩をして「私たちはもう私たちでない」「私たちの関係は終わった」などと双方が考えた時に、2人は「私は私、あなたはあなた」という「I(個人)」を起点とした思いに駆られていたりします。それは、2人の関係を破滅させかねない「I(個人)」次元で、よく浮上する自動思考です。この自動思考に、脊髄反射しないようにしましょう。

16)夫婦・カップル療法では、クライエントが、「I(個人)」へ行かないように、あるいは「I(個人)」次元へ行って自動思考に耽溺しないように、仕切ることが必要です。仕切った後、「I(個人)」とは次元の異なる「We(私たち)」での、メンタライズを応援するようにします。セミナーでは、そのための具体的介入法や工夫を、お伝えします。

17)「I」は、「We」のシャドウ(影)ではなく、「We」を解体するトリガー(引き金)です。夫婦・カップル療法において、「I(個人)」の観点・切り口は、単にマイナスです。一方、「Not-We」は一見マイナスに映りますが、プラスに変転可能です。なぜなら「Not-We」と「We」とは、(実は)『同じ』次元・地平にあるからです。

18)さて「Not-We」は、夫婦・カップルから『解離』されている場合がほとんどです。そのため、夫婦・カップルの当事者が、自分たちの「Not-We」を発見することは、まずできません。ですので、夫婦・カップル療法の専門家の協力が必要です。今回「Not-We」の見抜き方についてもトレーニングします。ここは、夫婦・カップル療法のプロと素人とを分かつ点です。

19)セミナーでは、システム療法、ナラティブセラピー、メンタライジング・セラピー、プロセスワーク、ファイナンシャル・セラピー(金融療法)の事例を参考に、夫婦・カップル療法について具体的に学びます。

これまで、私たちは夫婦・カップル療法についてのセミナーや講座を提供してきました。今回それらを刷新し、また最先端の知見を与した内容をご用意して、あなたのご参加をお待ちしています。

実践の場で有益な夫婦・カップル療法のエッセンスについてあなたとご一緒に学べる機会を楽しみにしています。

20)セミナーでは、「夫婦・カップル療法の極意を学ぶ ~セラピストのパラダイムシフトとは~」にご関心のあるセラピスト、コーチ、コンサルタント、アドバイザー、ケースワーカー、ナース、医師、保健師、ボディワーカー、弁護士、教育関係者の方、ファミリービジネスの専門家の方、一般の方、初心者の方のご参加をお待ちしています。

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日時■ 2023年10月29日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子