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真の自己や人生と関係性の育成と創造 ~アニマ / アニムスとの出会い、理解と取り組み~|2023/5/28(日)

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1)今月は、心の内的異性である「アニマ(anima)」と「アニムス(animus)」がテーマです。

アニマやアニムスとの取り組みは、私たちの内面を豊かにし、人との関係を良好にします。個性化(自己実現)の過程を推し進めます。人生が不思議さや神秘を取り入れたイキイキとしたものになります。

あなたは、アニマやアニムスとの出会い、接触、関係の中に、「真の自分」を発見するでしょう。

2)C.G.ユングによると、アニマは、男性の内なる女性性。アニムスは、女性の内なる男性性です。2つとも「シャドウ(shadow)」の一種ですが、中でも取り扱いが大変難しい影(shadow)です。アニマとアニムスとは、内的存在の中で最も「自律的」で、自我のコントロールがきかないからです。

人生の前半で、人は社会的アイデンティティ(=ペルソナ)を形成しますが、その過程でアニマとアニムスとは、抑圧あるいは解離されるからです。

3)河合隼雄氏によると、私たちの心の深部には、男性性と女性性とが一つになった「男女両性具有(=心の全体性)」が潜在します。秋山さと子氏は、男性性にも女性性にも限定されない、あるいはその両方を超えて含んだ心の全体性を「シュジュギュイ(suzygy)」といっています。

それは、「メタ・セクシュアリティ」です。

シュジュギュイ・イメージには、たとえば『風の谷のナウシカ』のナウシカが、当たります。

哲学者プラトンは、人間の魂の原型には、ヘテロセクシャルの「男女」と、ホモセクシャルの「男男」および「女女」の3つがあると考えました。ユングは、この中の「内なる男女両性具有」に着目し、そこからアニマとアニムスとを考えたのです。

4)人は、前半生で、男性あるいは女性という社会的ペルソナ(=ジェンダー)を、身につけます。しかし、心の全体性からすると、これは一面的で偏ったアイデンティティ、「偽りの私」です。後半生では、前半生で生きてこなかった全体性の、もう半面を生きなければなりません。それを、魂が内面から強要します。この半面が、男性にとってのアニマであり、女性にとってのアニムスです。

5)男性にとってのアニマと、女性にとってのアニムスとは、世間、社会、両親に、そして未成熟な自分に承認され難い、想定外の “not-me” です。そのため、取り組みが大変です。

が、中高年期における夫婦関係や職場関係の悩み、更年期における急性または慢性的な心身症状や鬱(うつ)の背景に 、この “not-me” が潜んでいたりします。

私たちは人生前半で、社会に適応するために、期待される男性役割や女性役割を身につけます。ペルソナを確立するために、女性は男性的なものを、男性は女性的なものを、切り捨てなければなりません。

しかし、後半生には、その逆を行う必要があります。男性はアニマ的なものを、女性はアニムス的なものを見つめ、それらとの関係を育成する必要があります。が、それには私たちの従来のペルソナ(アイデンティティ)の破壊をもたらす、とても困難な内的作業が求められます。

6)心の深層の男女両性具有からすると、男性性または女性性のみを生きる前半生は、「防衛」的で半端な生き方です。それはあなたを、心の「半分」に、閉じ込め限定します。これは人生を、早晩、味気ないものにします。

深層心理学にとって、人生の後半は、前半生のその幽閉状態から、あなたに解放と自由とをもたらす時期です。あなたを心の真の自己 ~男女両性具有やシュジュギュイ~ へと促すチャンスです。

7)男性の内なる女性性(アニマ)は、「ムード」「感性」「情緒」「いのち」「つながり」「創造性」の源です。

一方、女性の内なる男性性(アニムス)は、「論理」「合理」「分析」「客観性」「利害」「切断」に関係します。

8)女性性を生きていない男性は、それを「現実の女性」に、男性性を抑圧している女性は、それを「現実の男性」に、勝手に『投影』します。あるいは、その男性は「女性性」に、その女性は「男性性」に、いつの間にか無自覚に『憑依(possesion)』されます。

9)それは、中高年期の夫婦関係の危機、不倫、DV、依存症、共依存症、職場や生活圏での親密な人間関係における難題を生じさせかねません。

たとえば、昭和の男性は、「純潔で、控えめで、優しい」アニマ・イメージを「現実の女性」に一方的に投影し、それがかなわないと、勝手に「失望」しました。そうかと思うと、アニマに憑依されて、妙にムードたっぷり、過剰に涙もろく、ヒステリックで、ネチネチし、相手にベットリと依存したりしました。

逆に昭和の女性も、「現実の男性」に勝手に失望したり、アニムスに憑依されて過度に批判的、否定的になり、相手を断罪したりしました。

そんなことが積み重なって、中高年期の夫婦関係は、寒々としたものになりました。

10)これは、独りよがりの自己愛的期待 / 思い込みです。現実のパートナーは、たまったものではありません。

それの生じる理由は次のふたつ。
(a)自我が成熟していなため、
(b)アニマやアニムスとの関係が培われていないため、です。

11)独りよがりの自己愛的思い込みから解放されて自由になるために、またパートナーとの関係を良質なものとするために、私たちはアニマやアニムスとの関係の質を、変化させなければなりません。

男性の、アニマとの関係は、母子関係に始まります。日本の母親には、男の子に過度に甘く、優しく、過保護なイメージがあります。自我の成長していない男性は、この母親イメージと同じように「自分に甘く、優しく、何でも言うこと聞いてくれて、身体的快楽をもたらしてくれる」といった勝手な期待を、女性に抱きます。

これは、質の最も低い(a)「生物-身体的アニマ」イメージです。アニマには、4つの段階があって、他に(b)「ロマンティック・アニマ」(c)「スピリチュアル・アニマ」(d)「叡智アニマ」があります。

ほとんどの男性のアニマは、生涯にわたって(a)の「生物-身体的アニマ」と(b)の「ロマンティック・アニマ」の段階に留まります。そのため、社会性があって理性的な男性が、中高年期に、急に生物-身体的アニマやロマンティック・アニマ・イメージに溺れて不倫に走り、後半生で人生を台無しにする、といったことが起きたりします。

12)男性が、(c)「スピリチュアル・アニマ」(d)「叡智アニマ」との関係を育むには、どうすればいいでしょうか?

セミナーで、ご一緒に考えませんか?

13)女性の内なるアニムスにも、4つの段階があります。(a)身体-筋肉的アニムス(b)行動-決断力アニムス(c)言語的アニムス(d)意味-目的的アニムスです。

内なる男性性を意識化できていない未成熟な女性も、自分のアニムスを「現実の男性」に「投影」したり、それに「憑依」されたりします。

たとえば、低俗なアニムスに「憑依」された女性は、人との対話を「パワーゲーム」に変えてしまい、相手に負けないために上から目線で罵倒したりします。その人は、自分は可憐でか弱く傷つきやすい女性といった自己イメージを抱いていますが、実際は「パワハラするオッサン」そのものになっていたりします。

女性の内なる4段階、アニムス「投影」と「憑依」の詳細については、セミナーでお伝えします。

14)男性と女性との問題には、次の「4つの関係」が複雑に絡み合って浮上します。

(a)男性の自我と女性の自我
(b)男性の自我と男性のアニマ
(c)女性の自我と女性のアニムス
(d)男性の自我と女性のアニムス
(e)女性の自我と男性のアニマ
(f)男性のアニマと女性のアニムス

この6つを紐解くことが出来なければ、夫婦 / カップル関係の問題や『共依存』への良質なセラピーを、提供できないでしょう。

ちなみに、(d)男性のアニマと女性のアニムスとから成る関係が「ソウルメイト(soul mate)」です。ソウルメイトの一例は、たとえば新海誠監督の映画『君の名は』に描かれています。

15)女性が、質の高いアニムスとの関係を結ぶには、どうすればいいでしょうか? また、女性が後半生で、豊かな形で男性性を生きたり、表現したりするには、どうするといいでしょう?

16)ユングによると、夫婦やカップルは、後半生で内面を見つめ、前半生の性役割を反転させる必要性があります。このテーマについては、童話、神話、小説、映画、アニメ、音楽、演劇に、いろいろな形で描かれています。

17)アニマとアニムスは、人間関係における「投影」や「憑依」、また「投影同一化」や「エナクトメント」を通じて、『マイナスの形」で発現します。ですので、取り組む際には、高度な理解が不可欠です。「夜見る夢」や「心身症」にも、しばしば潜んでいます。

18)セミナーでは、良質なケース(事例)、童話や神話、小説、映画、アニメ、音楽、演劇を通じて、アニマとアニムスについて丁寧に見ていきます。それは、あなたの対人援助職力を深めます。中高年の夫婦、カップル、個人の内的支援の具体的やり方を学ぶことができます。

19)また、私たち自身の内面を充実させ、パートナーや他人との関係の質を良好にします。人生や暮らしが、不思議さや神秘を取り入れた、味わいと実りの多いものになります。

インドやチベットの「タントラ伝統」、中国の「タオイズム」、西洋の「錬金術」は、「真の自分」をアニマやアニムスとの出会い、接触、関係育成の中に、見い出してきました。それは、「男女両性具有」や「シュジュギュイ」への道で、あなたの潜在可能性の開花と表現を後押しします。

簡単な体験的エクササイズをご用意して、あなたのご参加をお待ちしています。

20)あなたは「真の自己や人生と関係性の解放 ~アニマ/アニムスとの出会い、理解と取り組み~」に、ご関心がありますか?

プロの対人援助職の方はもちろん、このテーマに興味のある一般の方、初心者の方のご参加をお待ちしています。

セラピスト、コーチ、コンサルタント、アドバイザー、ケースワーカー、ナース、医師、保健師、ボディワーカー、弁護士、教育関係者の方にも、有益な内容です。

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日時■ 2023年5月28日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子