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『助けて!』が言えるために ~Help Seeking(援助要請力)とつながり力の心理学〜|2021/10/31(日)

『助けて!』が言えるために ~Help Seeking(援助要請力)とつながり力の心理学〜

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1)あなたは、「助けて」が、言えますか?

それとも、言いにくいですか?

重要でないことについては「助けて」と言えても、本当にあなたが困っていることに関しては言えない、隠したまま、ということはありませんか?

他の人の力になることは天才的に上手、なのに、他の人に助けてもらうことはとても苦手、ではないでしょうか?

2)たとえば、
・長い間、助けてほしかったことが言い出せず、いつも心の中で躊躇しては諦め、フラストレーションがたまっている。
・「助けて」を小出しにして相手の様子をうかがったことはあったけれど、結局は真剣に聞いてもらえず、スルーされた。
・このままじゃまずいのはわかるけど、「助けて」と言えない。
・「助けて」を言って、弱みを握られたくない、借りを作りたくない。

3)高齢者、若者、子どもを問わず、「助けて!」を言えない人が、少なくありません。困っていても、助けを求められない、SOSを出せない。セラピー、カウンセリング、コーチングを受けているのに、真の悩みは専門家にも、なかなか打ち明けられない。

4)本当の「助けて!」には、どのような状況があるでしょうか?

・失恋
・離婚
・仕事での失敗
・人間関係のこじれ
・孤立
・お家騒動
・不幸の連続
・大切な人の死
・ペットの死
・大病
・借金、破産
・いじめ
・八方ふさがり
・事故
・恥

5)にもかかわらず、「助けて」が言えないのは、どうしてでしょうか? なぜ、助けを求められないのでしょう?

・ひどい状態になったのは自分に責任があるので、自分で何とかしなければならない。
・自分はダメ人間なので、助けを求めるに値しない。
・助けを求めるのは、甘え、弱さ。
・本当に助けてくれるのか、半信半疑。
・助けを求めて、怒られたりバカにされるのが怖い。
・自分1人でやった方が早いし、楽。
・孤高が美。

6)あなたが、助けを求めること、頼ること、甘えることが苦手だとしても大丈夫です。相手が信用できなくても、やり方はあります。

7)それにあたって、なぜ人に「頼れない」「甘えられない」のか、どうして人を「信用できない」のか、まっすぐに考えることが大切です。私たちも、「助けてをいうこと」「頼ること」「甘えること」「信用すること」が、かつて苦手でした。しかし、少しずつ、「援助要請力」「依頼力」「甘え力」「信用する力」を鍛え、身に着けていきました。

8)自己心理学のハインツ・コフートや精神分析家のドナルド・ウィニコットは、自立は、依存関係の中に生まれると考えました。「助けて」を言う、「頼る」「甘える」こと(=依存)があってこそ、自立がかなうというのです。自立と依存とは敵対関係にあるのではなく、依存という基盤の上に、自立が成立すると考えたのです。

9)あなたは、「援助要請」(help-seeking、助けを求めること)という言葉を聞いたことがありますか?セラピー、コーチング、コンサルティング、福祉、医療、教育、ビジネス分野で、近年使われ始めた概念です。

「援助要請(help-seeking)」とは、自分だけでは解決できない問題に直面した個人が、周囲の人に、あるいは自分たちだけでは解決できない問題に直面したカップル、家族、組織が、問題を解決しようと他者に援助を求めることです。それは、問題を他者に丸投げする依存的な行動ではなく、自分(たち)で問題を解決するために、他者に援助を求める自律的な行為です。回避的かつ寄生的な共依存的関係とは異なります。

10)援助要請には、「社会資本(social capital)」が欠かせません。社会資本は、簡単に言うと「つながり」です。援助要請が機能する社会資本を、ユング派のポリーヤング・エイゼンドラスは「相互依存」と呼びます。それは、「共依存」と質的に異なります。

11)豊かな相互依存関係は、「親密なつながり」と、「少し親密なつながり」とからなります。親密なつながりと、少し親密なつながりからなるクモの巣状のネットワーク(web of life)。それは、幾つもの細いクモの糸が折り重なって、分厚くなった糸によって紡がれると、よりいいでしょう。そうしたネットワークが、質のいいセーフティネットを生むといいます。

(注:親密つながりは1つから4、5個まで、少し親密なつながりは多くても10個程度まで、で十分といわれています。なぜでしょうか? セミナーでご説明します。)

12)「親密はつながり」および「少し親密なつながり」とは何でしょうか? あなたは、想像できますか? セミナーで、ご一緒に考えませんか?

11)ここで注意すべきは、「相互依存」と「共依存」との違いです。「共依存」は回避的かつ寄生的、孤高を気どりながら甘ったれ、緊張と間抜けさ、からなる関係です。家族療法の言う「ぐちゃぐちゃ(enmeshed)」と「心が離れた(disengaged)」状態とが混在しています。それは、関係というより腐れ縁で、搾取や暴力が蔓延します。アルコール、摂食、ギャンブル、ゲーム、買い物、セックス、ポルノ、ドラッグなど、ありとあらゆる依存症の温床となります。

12)依存症(中毒)者や共依存者が、「助けて」を言うのは難しい。なぜなら、共依存は、真の信頼関係を築かず、本当に困ったときに頼ることができないからです。「助けて」を言おうものなら、ディスられ、バカにされ、切り捨てられかねないためです。

13)依存症は、意外に思われるかもしれませんが、依存できない人、「助けて!」を言えない人が、かかりやすい。「依存症なんて、甘えてる」と誤解されるのですが、実際は甘えられない人が、依存症にとらえられやすいのです。人に依存できないので、アルコール、摂食、ギャンブル、ゲーム、買い物といったモノや行動に依存します。依存できない人同士から作られるのが、共依存(関係)です。

14)それに対して相互依存関係は、「お互い様」「お蔭様」「互恵」がベースとしてあるため、困ったときに、即、「助けて」と言いやすい。相互依存関係では、あなたのプラス面およびマイナス面の全体を肯定する、「居場所」が確保されているためです。

15)「助けて」を言ったり、「弱さ」を見せたりすることが、良質な組織を形成するうえで不可欠な点を、以前のセミナーでお伝えしました。それにあたって、統合心理学のケン・ウィルバーと時に協働するハーバードの発達心理学者、ロバート・キーガンたちの考えを紹介させていただきました。

同じことが、カップル、夫婦関係、家族関係、ファミリービジネスについても当てはまります。事例を通じて学びます。

16)「助けて」を伝えるには、アート(art、技芸)が必要です。たとえば、助けてもらうには、相手を決してコントロール(操作)しないことが肝心です。「私が弱っているので、あなたは私を助けなければならない」という裏側のメッセージを送るやり方は、気をつけなければなりません。

相手には、「弱さを武器に、自分をコントロール(操作)しているのではないか」という不快感や違和感が、暗に明に、伝わります。疑心暗鬼を抱かせます。

17)人は、「助けなければならない」という心理的プレッシャーをかけられた場合、助けたくなくなりかねません。一方、「助けたい」と感じると、自律的、主体的に助けるアクションを起こします。

18)キーワードは、自律/自立性、主体性、自由、自発性です。相手の自立/自律、主体性、自由、自発性を尊重する形で、「助け」を求めることが大切です。難しそうですか?

大丈夫です!なぜなら、それは、トレーニングすれば身につくアート(Art)だからです。”Art”は、「技術」や「芸術」と訳されます。今回、援助要請する上で有益な「技芸」を基本からお伝えします。ご一緒に学びませんか?

19)言いたいのに言えない「助けて!」に関する状況、環境、事情、文脈(コンテキスト)を俯瞰する方法を学び、その上で、そこに働きかけるコミュニケーション、交渉、依頼についてのアートを身につけます。

それは、援助要請力とつながり力を洗練させ、強化するでしょう。

私たちの経験では、「助けて!」と言えるようになった人は、他の人の「助けて!」という声に耳を傾け、行動を起こすことができます。セミナーでは、具体的で有益なエクササイズと事例を通して、「助けて!」を言えない理由と、言えるようになるための技芸を多角的に学びます。

20)今回、「『助けて!』が言えるために ~Help Seeking(援助要請力)とつながり力の心理学)~」にご関心のある対人援助の専門家、専門家を目指す方、初めて聞く内容だけれど、日々の暮らしに、また家族、ビジネスに活かしたいと考えている一般の方、初心者の方、そしてあなたの、セミナーへのご参加・ご購入をお待ちしています。

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日時■ 2021年10月31日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子