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多次元的リベラルアーツと解放の心理療法

多次元的リベラルアーツと解放の心理療法

◎ 2019年11月22日(金)〜 全10回 対面開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)最近「リベラルアーツ(liberal arts)」が話題になっています。あなたは、リベラルアーツについて聞いたことがありますか?

リベラルアーツは、「一般教養」あるいは「教養」と訳されます。しかし、その語源的意味は、”liberal(自由)”になるための”arts(技芸)”です。リベラルアーツは、古代ギリシャに端を発します。それは、人間が精神の奴隷状態から自由になるための技芸でした。

あなたは、心や魂の自由、解放されたスピリチュアリティに関心がありますか?

2)リベラルアーツは、かつて、文法学、修辞学、論理学、算術、幾何、天文学、音楽の7科目を指しました。そして、この7学の上に、哲学がありました。

プラトンやソクラテスは、『パイドン』(岩波文庫)で、「哲学は死ぬことの練習」と述べています。プラトン&ソクラテスにとって、死の練習は、魂の解放を目指したものです。しかし、今流行っているリベラルアーツには、この観点がありません。

3)元型的心理学のトマス・ムーアによると、「精神分析(psychoanalysis、サイコアナリシス)」の語源的意味は、「採集され、ピン止めにされいる蝶を解放して、自由に羽ばたけるようサポートすること」です。

“Psychonalysis”の”psycho(サイコ)”は、「蝶、魂、心」を意味します。精神分析は、語源からすると、蝶に象徴される魂や心の解放、および自由を志向したものです。

4)私たちは、プラトンやソクラテス時代に立ち返って、リベラルアーツを「多次元的」にとらえています。リベラルアーツに、今流行りの教養だけでなく、死あるいは魂の次元を加えています。

5)井筒俊彦氏によると、イスラーム神秘主義のスーフィズムは、神と世界を次のように考えます(『イスラーム哲学の原像』より)。

「私(=神)は隠れた宝物であった。突然、私の中に、そういう自分を知られたいという欲求が起こった。知られんがために私は世界を創造した。」

井筒氏は言います。
「つまり自分の姿をそこに映して眺めるために、神が鏡として世界を創ったということです」

さまざまな神秘主義が、世界を曇りのない目であるがまま目撃することを推奨します。このためのトレーニングの代表的なものに、マインドフル瞑想があります。

6)M.クラインは、たとえ困難で苦しくても、真実をまっすぐに見つめることが、心の癒しを喚起する、と考えました。そのために、私たちは「素面(しらふ)」でなければなりません。酔いから覚める必要があります。

7)この講座では、E.フロムの『自由からの逃走』を参照します。あなたは「自由」からの <逃走>を想像できますか?「奴隷状態」からの、ではなく、「自由」からの。

リベラルアーツや解放の心理療法を実践するには、逃走ではなく、世界や現実と素面で、まっすぐに向き合うことが不可欠です。それが心の解放と自由につながります。

8)そのためには、何が必要でしょうか?

クラインは、私たちが基本欲求の「生理的快-不快」から解放されることを後押しました。A.マズローは、「安全」や「安心」からの自由を応援しました。安全や安心の逆は、危険や不安です。「快-不快」および「安心-不安」の次元から、どうすれば、解放され、自由になれるのでしょうか?

9)ブッダは、「人生は苦(Life is suffering)」と述べました。

快楽や安心欲求に過剰に捕らえられ、その欲求の檻に拘束されないためにはどうすればいいのでしょう?

クラインの戦略は、目の前の不快、不安、苦しみを受け容れることのできるように心を開拓し耕すことです。実存心理学のロロ・メイは、苦しみの過程で、意識の拡大と深化が起きる、と述べました。また、A.アドラーは、苦しみは成長と救いに通じる、と言いました。

10)不快、不安、苦しみをなかったことにしたり、快楽や安全を過剰に求めるところからは、心の解放や自由や救いは生じません。それは、今の心の状態、自分のあり様を不問にして、不快、不安、苦しみを、見捨て、排除、放置しようとするアプローチです。

11)ブッダ、クライン、メイ、アドラーは、不快、不安、苦を無くすのではなく、心や意識を拡大、深化させることで、結果としての解放と自由と救済を志向します。

不快、不安、苦を無くすために、快や変化のない安定や楽のみを追求すると、いつの間にか、それらに嗜癖し囚われ、隷属することになりかねません。快、変化のない安定や楽の過度の追及の行きつく先は、空虚、孤立、絶望、無意味、人格崩壊だったりします。不快、不安、苦悩からの逃走が、人を逆に拘束し、不自由にします。

12)さて、ここまでは、<心あるいは情緒次元>のリベラルアートと解放の心理療法に関するものです。この講座では、加えて<魂次元>にも目を向けます。

13)魂次元のリベラルアートには、古今東西のシャーマニズムが有益です。あなたは、シャーマニズムについてご存知ですか?

たとえば、北米および南米のシャーマニズム。たとえば、西洋のシャーマニズムともいえる錬金術やタロット。たとえば、中国のシャーマニズムであるタオイズム。

今回、魂の解放とタオの自由で自発的な動きを尊び敬うために、深層心理学的アートセラピーの技法を複数活用し、体験を通して魂次元の解放と自由についても取り組みます。それに当たって、プラトンやソクラテスの「死の練習」に関して考えます。

14)ここで不可欠なのは、魂次元におけるコンテイナーです。心の次元におけるコンテイニング(受け容れ)能力と、魂次元におけるコンテイナー作りについて、今回あなたと取り組みます。

15)自由は、選択肢の多様化、多次元化とともに増します。あなたの心や魂の次元が豊かになると、あなたは「生理的な快-不快」に、また、「安心ー不安」に対して、盲目的に脊髄反射しなくなります。「快-不快」や「安心-不安」と「あなた」との<間>に、『心』や『魂』を介在させ、主体的に選択し、意志を発揮できるようになります。ここでいう意志は、サイコシンセシスの「トランスパーソナルな意志」です。

詳しくは、講座でご説明します。

16)「快-不快」や「安心-不安」に対して、あなたが脊髄反射すると、あなたは快や安心だけを、過剰に求めるようになります。それは、躁転(manic defence)であり、退行です。これは、心や魂の自由からの逃走です。

17)この連続講座では、リベラルアーツを多次元的にとらえ、心と魂に関する解放の心理学を学びます。たくさんのアートセラピー技法をご用意しています。あなたのご参加・ご購入を、心からお待ちしています。

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日時■ 2019年11月22日(金)〜全10回 毎月第4金曜日 19:00~20:50

会場■ 都内(お申込みの方に詳細をお伝えいたします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子