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1) あなたは、心に漂うメランコリーを感じることがあるでしょうか。メランコリーは、私たちの誰もが抱く体験です。
心にぽっかりと穴が空いたような、空虚感。
しみじみと哀愁のような気持ちを覚える瞬間。
過去の体験にとらわれ、落ちていくような感覚。
私たちが生きていくうえで、感じないことはない.、といっても過言ではない心持ちです。
しかし、その一方で、もっとも避けられ、忌み嫌われる体験であることも間違いありません。
2)今回のセミナーでは、このメランコリーを正面からまっすぐ取り上げ、そのつきあい方、活かし方、また対処の仕方に取り組みます。今回は、これまでの私たちの実践を発展させ、体験的なワークを中心に、ライブ感覚を大事にしたセミナーを展開していく予定です。
3) メランコリーは最初、重さや疲労、もやもや、疼(うず)きなどとして、心に頭をもたげます。メランコリーは、私たちを内側から“depression(うつ)” へと誘うサインです。
4) depressionは、語源的には、“de(下方)” + “press(プレス、圧力)” + “ion(こと)”、すなわち私たちを深みへと引き込む内圧です。うつは、私たちに「内閉を求める下方からのメッセージ」でもあります。心の深奥へと誘う、魂からのメッセージ、ともいえるでしょう。
5) うつ状態にいると、私たちは疲弊し、エネルギーの枯渇を感じます。
プラトンは著書『パイドン』の中で、次のように述べます。
“魂” は疲弊すると、死んであの世(下方世界)に行き、そこで静養し、精気や生命エネルギーを補充した後、新たな肉体を得てこの世に再生する、と。
セミナーでは、心を穏やかに静め、うつを見つめ、うつへと入り込むことを試みます。うつと向き合い、沈潜することで、私たちの魂や、生命の息吹、エネルギー、精気に触れるワークを試みます。
それはあなたに、深層からの力に満ちる体験をもたらし、魂の声や言葉に、聴き入る好機となるはずです。
6) メランコリーをイメージするとき、それはしばしばグレーや黒、暗い夜などに譬えられます。回避したくなるそのイメージを受け容れ、メランコリーと折り合うことができると、私たちは、グレーや黒、暗い夜の中にある、陰影や濃淡に気づきます。春や夏だけでなく、秋や冬の美しさを発見します。落ち込み暗くなった心に、繊細な深み、豊かさや彩りが感じられます。
7) メランコリーと向き合い、受容するためには、私たちの心に成熟が求められます。「細やかさと強さとを兼ね備えた心」の育成も、鍵となります。
8) メランコリーやうつにおいて、もっとも苦しいのは、実は、「メランコリーやうつに入ることができない」ことがあります。うつに抵抗したり、脇に追いやろうとすることで、むしろ苦しみが長引き、また増してしまう。
9) それに対しサイコシンセシスは、メランコリーやうつの『所有(own)』を試みます。自分とメランコリーとを『紐づける』のです。ユングの心理錬金術では、メランコリーやうつに『イニシエート(参入)』することを勧めます。
セミナーでは、メランコリーやうつを能動的・意識的に所有したり、そこに参入するワークを試みます。
10)やっかいなのは、メランコリーやうつが潜在しているにもかかわらず、それを受動的、犠牲者的に避け続けていると、いつのまにかメランコリーやうつに乗っ取られてしまう、ということです。メランコリーやうつが、自分から『切り離され』ているためです。切り離されたうつが、知らぬ間にそのエネルギーを行使し、私たちの主体を乗っ取ってしまうのです。
作家の五木寛之氏は、うつ(鬱)には、「鬱蒼(うっそう)とした森」に象徴されるように、それ自体の精気、力、エネルギーが備わっている、と指摘しています。このエネルギーを切り離そうとすると、私たちはますます焦燥感、空虚感でいっぱいになり、果てしないメランコリー体験に占有されてしまいます。
11)セミナーでは、メランコリーやうつに秘められたエネルギーや豊かな情緒的体験と、マンドフルに、静謐に取り組むワークを行います。シンプルでありながら深い体験を促すワークです。
それは良質な「影(シャドウ)とのワーク」ともなり、あなたの心を内面から、深く納得のいく確かなものに
してくれます。それは、あなたの「感性」を細やかにし、また強靭にすることでしょう。
12)セミナーではまた、うつに対する支援者にとって必要な、単極性・双極性のうつに関する新しい理解や、
医療とのつきあい方などについて、丁寧にお伝えしていきます。とくに、2023年に改訂版が邦訳された『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5-TR)』をもとに、「抑うつ症」と「双極症」の新しい分類についてご一緒にキャッチアップしたいと考えます。
13)さらに、病態水準と「うつ」との関係、なかでも自己愛性と境界性パーソナリティ障害に関連するうつ、およびトラウマ、PTSD、解離にまつわるうつについても、取り上げます。医療機関との連携の仕方についても、お伝えします。
14)セミナーでは、体験的ワークを通じて、あなたのうつへの感性を磨きます。うつは、セラピーなど支援職にとって、最も接することの多い訴えです。うつへの感性を磨くことによって、あなたのセラピーやコーチングは、一層良質なものとなるでしょう。
15)私たちは誰もが、時に深い喪失感を抱いたり、存在の意味を問い直したりします。そうしたときこそ、メランコリーに深く触れていくチャンスでもあります。メランコリーやうつには、希望の光の隠れていることがあります。
それをどのようにして心の中に発見し、人生の糧として活かすことができるのか?
ご一緒に考えながら、心の奥深くに触れる大切な時間を持ちたいと考えます。
16)このセミナーでは、「メランコリーの深奥に向き合う ~内なる心の静けさに触れる時間~」について学びます。セラピスト、コーチ、ボディワーカー、ケースワーカー、コンサルタント、医師、看護師、その他の医療関係者、弁護士、税理士、教師、ファミリービジネスの専門家に、お勧めの内容です。
このテーマにご関心のある一般の方、初心者の方のご参加も大歓迎です。
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日時■ 2025年2月23日(日)10:00~17:00
会場■ zoomオンライン会議(お申し込みいただいた方に詳細をお伝えします)
費用■ メールマガジンにてご案内しております。
講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子