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1)あなたは、未成熟、未発達な心を成長、成熟させ、内面で手ごたえ、確かさを感じながら、人生を営むことに、関心がありますか?
C. G. ユングやW. ビオンのいう、心の「器」を深め、拡大し、心の豊かさ、健康、安全、安心、喜びを感じながら、生きることについては、いかがですか?
心の発達がもたらす内的リーダーシップやオーナーシップ(当事者意識)を身につけ、人生にコミットすることに、興味がありますか?
2)私たちは、何歳まで、成長することができるのでしょう? 20歳代前後まででしょうか?
かつて発達心理学は、「肉体」の成長年齢に影響され、「心」の成長を成人前期までと、とらえていました。が、今日では、その考えは間違いであることが理解されています。
3)たとえば、精神分析家のエリク・エリクソンは、人生後半の臨床を重視したユングに影響された後、65歳以上になっても心の発達は続く、と述べています。彼によると、人間の心は、成人前期以降も成長し、高齢期に入ってもその成長・成熟は終わりません。
4)「脳」の成長については、どうでしょうか?
脳についても、成人期・高齢期になってもその成長は止みません。計算力、記憶力、IQなどに関する「流動性知能」は20歳代にピークを迎えます。一方、経験値、判断力、知恵などにかかわる「結晶性知能」は、80歳代まで伸びる可能性があります。
しかしそのためには、心の変容が求められます。
5)トランスパーソナル心理学のケン・ウィルバーは、心の成長や成熟を、「心の変容」からとらえました。心の「変容」とは、単なる「変化」ではありません。心が変容するには、すなわち成長・成熟のためには、《質》的変化が欠かせません。そのためには、心の《構造》の変化が不可欠です。
6)では、心の《構造》の変化とは、どのようなことでしょう。
唯識仏教のものの見方に、「一水四見(いっすいしけん)」があります。これは、同じ「水」が、「人」「天人」「魚」「餓鬼」、という4つの存在の心からは、それぞれ別の見え方をする、という意味です。
「人間」にとっての《水》は、「天人的な心」にとっては、その上を歩くことのできる《水晶の床》に見え、「魚的な心」にとっては《住みか》に映り、「餓鬼的な心」にとっては《燃え上がる膿の流れ》となる、というのです。
7)ひとつの同じ水が、心の「構造」的違いによって、まったく異なる世界に映る。あなたの心の構造が餓鬼のようになっていると、水は、炎の燃え上がる膿の流れ以外のものではなくなります。あなたの心が魚の構造だと、水は、あなたにとって住まいとなるでしょう。
8)一方、病態水準論によると、病態の違いによって「世界」は別のありようとして把握されます。
- 「精神病水準の心」では、世界は、《崩壊するもの》あるいは《迫害的なもの》、
- 「パーソナリティ障害水準の心」では、《不安定なもの》、
- 「神経症水準の心」では、《良いところもあれば、悪いところもあるなかで、生きているもの》、
ととらえられます。ここでいう「水準」も、同様に心の「構造」をさします。
9)心の変容とは、心の構造の変化であり、《質》的変化ですが、それと異なるのが、《量》的変化です。
心の青虫が、蛹(さなぎ)になり、やがて蝶へと孵化するのが、心の構造の変化、質的変化です。一方、心の青虫が、緑の葉をたくさん食べ、体を大きくするのが、心の量的変化です。発達心理学の「成長」や「成熟」は、量的な変化ではなく、心の質的変化、すなわち変容をさします。
10)成長や成熟とは、心が、
- 精神病水準からパーソナリティ障害水準に、
- パーソナリティ障害水準から神経症水準に、
構造的変化を経て、移行することです。
この移行を経験することで、私たちの心の器は拡大し、豊かになります。すると「耐性の窓」も豊かになります。
(注:耐性の窓とは何でしょう。セミナーで学びます)
11)それには、「気づき、自覚、覚醒(waking up)」だけではかないません。気づきは、今までハマっていた世界(=構造)から、一瞬、あなたを解放し、より成長した心が見る世界を垣間見せます。しかし、それだけでは心に構造的変化(=真の変容)は起きません。すぐに元々いた世界に逆戻りする、ということがよくあります。
12)そのことをユング派分析家で、禅仏教徒、フェミニストでもあるポリー・ヤング・エイゼンドラスも、またケン・ウィルバーも、「気づきは十分ではなく、成長が欠かせない(Waking up is not enough, growing up is necessary)」といいます。
13)心の成長(growing up)は、基本的に、自分1人で遂げることはできません。チベット密教の高僧、チョギヤム・トゥルンパ・リンポチェは、精神的・霊的成長には、指導者(という他者)の支援が絶対に必要である、と述べています。伝統社会で、心の真の変容を促す「通過儀礼」の営みに、指導者のいなかったケースは、皆無です。
14)心の成長、成熟の鍵は、「他者」や「関係性」です。あなたが、成長、成熟に関心があるなら、関係性に着目してください。良質な関係性は、あなたが何歳であろうと、あなたの成長を促します。
15)関係性は、成長や成熟を生む「土壌」です。あなたが成長したいのに、あるいは変容を遂げたいのに、または心の器を大きくしたいのに、どうもうまくいかない、進展しない、と感じたり、苦悩したりするなら、その土壌である関係性に、目を向けてください。
16)ユング派のグッゲンビュール=クレイグは、結婚という関係性は、心と魂に、生涯にわたって変容をもたらす良質な土壌である、と述べています。
17)今回、心の成長や成熟を生み、育成する「関係療法」について取り組みます。
「関係療法」とは、何でしょうか?
従来のユング心理学、精神分析、認知行動療法、人間性心理学、トランスパーソナル心理学など(の1人心理学)とは異なるセラピーです。関係療法の基本から、最先端までを学びませんか?
18)英語で「責任」は “responsibility” です。それは語源的には、“response”(応答する)+ “ability”(能力)です。関係療法の中核には、セラピストとクライエントとの間の、“call & response”(コール&レスポンス)、あるいは協働があります。
19)あなたは、関係療法におけるコール&レスポンスを通じて、「責任」を身につけることができます。
今回、あなたが自分自身の未熟さ、幼児さを脱し、責任ある大人になるのを支援します。人生や家族との関係、組織における関係性にコミットできる心の成熟をサポートします。それには、成長、成熟、変容と、また関係療法のパースペクティブ(まなざし)が欠かせません。
20)あなたは現実にコミットし、手ごたえ、確かさ、豊かさ、健康、喜び、クリエイティビティを感じながら、日々の営みをイキイキと楽しむことができるでしょう。
「成長・成熟のための関係療法~人生・家族・組織にコミットする、内なる「土壌」を育む~」にご関心のあるセラピスト、カウンセラー、コーチ、ケースワーカー、医師、看護師、保健師、ボディワーカー、コンサルタント、ファミリービジネスの専門家の方、そして一般の方、初心者の方のご参加をお待ちしています。
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日時■ 2024年7月28日(日)10:00~17:00
会場■ zoomオンライン会議(お申し込みいただいた方に詳細をお伝えします)
費用■ メールマガジンにてご案内しております。
講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子