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コンステレーションと個人神話|2018/01/28(日)

◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)あなたは、「コンステレーション」という言葉を聞いたことがありますか?

コンステレーションは、ユング派心理臨床の最良の視座であり、切り口です。それは、ユング心理学における「秘伝」といえるものです。今回、久しぶりに、コンステレーションをテーマに、セミナーを開催します。最新の有益な見解や情報をとり入れ、基本から多面的に学びます!

2)コンステレーションは、ユング派(で元文化庁長官だった)河合隼雄さんによって、日本にもたらされました。河合さんが導入されたユング派の考え方、見方、技のなかで、最も実践的、臨床的なものです。

3)しかし、 ユング自身の著書を紐解いても、コンステレーション(constellation)という言葉(名詞)は、ほとんど出てきません。が、コンステレイト(constellate)という動詞は、頻繁に見られます。

コンステレーションという名詞形の言葉は、河合さんが、ユングからではなく、自分の教育分析家であるC.A.マイヤー博士や、アーノルド・ミンデルの教育分析家であったM-L F.フランツから影響を受け、独自に開発して、日本にもたらした言葉です(注:その経緯については、セミナーでお伝えします。コンステレーション理解に、大いに役立つでしょう)。

4)コンステレーションは、ユングやユング派臨床の最良の部分を、上手にまとめ上げた言葉です。そこには、ユングの心理臨床のエッセンスが、凝集されています。また、プロセスワークの本質にも、相通じるところが大です。

5)コンステレーションは、英語で、“constellation” ですが、それは、“con(共に・一緒に)” + “stella(ステラ・星)” = お星さまたちが共に・一緒になってできる「星座」を意味します。その動詞形である、“constellate” は、「星が、星座あるいは 星団を形成する」、「(星座の星のように)集める,散りばめる; 集まる,群がる」を意味します。

ユング心理学、およびクライン派や自己心理学と言った精神分析では、「星座」ではなく、「布置」と訳されます。ユング派で、その意味するところは、一見、何の関係もないさまざまなプロセス、悩み、訴え、(身体)症状、出来事、事象を、一つ一つの星と仮定し、それらが、実は何らかの・ある「星座」を作っている、とする見方・視座・観点です。

6)一見、(合理・理論的には)何の関係もないさまざまなプロセス、悩み、訴え、(身体)症状、病気、出来事、事象に、全体的なつながりを見出す、あるいは、それら全体で、ある「星座」を形成している、とする考え方です。全てで、ある星座が生み出される、と想定しますので、どのようなプロセス、悩み、症状、負の体験(トラウマ)も、排除されることはありません。きわめて、エコロジカルな視点です。

7)その視座・観点・見方は、○○が原因で、××となった、とする因果論とは、全く異なります。コンステレーションの視点は、ユングの共時性の見方と表裏一体です(注:共時性の見方については、セミナーで、具体例をあげて、お伝えします)。

8)コンステレーションの見方は、易に多大な影響を受けています。スイス、チューリッヒのユング研究所では、その見方・切り口を教える手段として、西洋人の学生がより理解しやす いように、易に加えて、タロットや西洋占星術を用います。

このセミナーでは、箱庭療法における一連のプロセスの写真を題材に、コンステレーションについて学びます。箱庭におけるプロセスの流れを追うと、コンステレーションとは何か、どういったことを意味するのか、を、具体的に、手に取るように、理解することが可能だからです。

9)さて、コンステレーションの見方は、一見、内面志向のように思えますが、それは、内面と外面の両方を超え、その両方に等しく影響を与えるプロセスや現象、出来事の「骨子」を見抜く視点です。

コンステレーションにきわめてよく似たクライン—ビオン派の見方に、「コンフィグレーション(configuration)」があります(注:コンフィグレーションについては、セミナーでお話します。コンステレーションについて、よりよく理解する上で有益だからです)。が、コンフィグレーションが、内面志向であるのに対して、コンステレーションは、内外を含んで超える共時性志向です。その意味するところは、セミナーで、詳しく丁寧に、基本からお伝えします。

10)今回、コンステレーションが、どんなふうに臨床実践に有益か、を考えるにあたって、たとえば、重いトラウマのケースを参照する予定です。コンステレーションの視座は、トラウマを直接扱うことなしに、トラウマからの癒しや回復、変容を可能にします。

なぜでしょうか?!

それは、コンステレーションの視点が、トラウマを、多くの星々の1つととらえ直すことをことを可能にし、トラウマだけでなく、トラウマを含む星座全体に働きかけることを推奨するからです。星座全体に取り組んでいる過程で、トラウマが直接扱われなくても、結果としてトラウマが十分に扱われる、ということが可能になるアプローチを、お伝えします!

11)それは、コンステレーションを中心に、自分の人生をリフレーム(reframe)し、(人生の1コマ1コマ、どのプロセスも無駄にすることなく)、より納得いくものに、新しく書き換えることを、応援します。

ユングのコンステレーションの視座は、スピリチュアルな次元とも関係していますので、それは 、単なるナラティブ(物語)の書き換えではなく、あなた個人の神話作りを、真にサポートするでしょう!

12)コンステレーションに欠けている点もあります。

それは、セラピストークライエント関係を、十分に取り入れていないところです。そこが、コンステレーションの視座の弱点です。今日、解離、トラウマ、重篤なパーソナリティ障害や依存症に悩む人が少なくありません。それらと取り組むには、セラピスト─クライエント関係への視座が不可欠です。

このセミナーでは、河合隼雄さんが私たちに贈ってくださった従来のコンステレーションに、セラピストークライエント関係を加味した 、新しく、より臨床的で実践的なコンステレーションの見方について、じっくりと、わかりやすく、一からご説明させていただきます。

このセミナーでは 、コンステレーションの見方、その多次元性や多様性にご関心のあるプロ・カウンセラー、セラピスト、コーチ、ファシリテーターなどの対人援助職の方、また、そうした領域でのプロをめざす方のご参加を心からお待ちしています。

初心者の方、一般の方のご参加も、心から歓迎いたします。

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日時■ 2018年1月28日(日)10:00~17:00

会場■ 東京都内(お申込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子