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1) 今月のセミナーは、心の深奥の豊かさ、真の豊かさである「アバンダンスabundance」をテーマにします。「アバンダンス(真の豊かさ)」とは何でしょうか? お金があって、ほしいものを買えて、食べたいものを食べ、行きたいところに行かれることでしょうか? 敗戦後の日本は、高度経済成長、バブル経済を経て、バブル崩壊後の失われた30年を経験してきましたが、時代を超え一貫して目指されたのは、「豊かな消費者」になることでした。消費は表向き、私たちに豊かさを感じさせます。でも、消費者であることで、私たちは本当にアバンダンス(ありあまるほどの豊かさ)を感じ、経験できるのでしょうか?
2) いま、お金や投資、ウェルネスに関する情報が、あふれています。しかし、そこに共通するのは、あなたを「消費者」とみなしている点です。私たち自身も消費者としての観点からのみ、豊かさについて考える傾向にあります。お金がいっぱいあれば、たとえば引退後に、世界中を旅行できる。田舎に引っ越して悠々自適に暮らせる。昔ほしかったハーレー・ダビットソンのバイクが買える。
3) フランス人社会学者のJ.ボードリヤールによると、現代人の自己実現は、「豊かな消費者」になることです。彼によると、消費者は「意味を生み出す能動的主体」ではなく、「他人の作った意味を消費する受け身の人」です。私たちは、高度資本主義社会の中で、消費者という「枠組み」に誘われ、幽閉されて、その中で他人との違いを競い、自分らしさを追求する気になってきたといいます。人より良いモノ、高級品、特別な一点ものを購入することが、自分らしさや自己実現になる、と勘違いしてきた、というのです。
4) 私たちは、消費者である限り、”真に豊か”になることは困難です。なぜなら消費者は、満たされることのないあくなき欠乏、不足、欠落、不満足 (scarcity) を抱えているからです。英語の”consumer(消費者)”は、語源的には「完全に喰い尽くす / 破壊する人」です。他人の作った生産物を喰い尽くしても、決して満たされないその姿は、仏教の「餓鬼(がき)」を彷彿とさせます。消費者の去った後に残るのは、破壊後の欠乏 、不足、荒野です。
5) セミナーでは、「真の豊かさ」をテーマとします。本当の豊かさとは、何でしょうか?それには、能動的なマインドと、その実装が求められます。能動的なマインドとその実装とは、具体的には、生産する。創造する。発明し、建設し、供給する。意味や意義を産出し、改善、工夫をする、といったマインドの実践です。一方、消費者の欠乏マインドは、受動的です。自ら生産、創造、発明、改善、意味の創出、を実践することがありません。この2つには、質的違い、ギャップがあります。どうすれば受け身の欠乏マインドから、能動的アバンダンス・マインドへ移行できるでしょうか?それには、心のパラダイムシフトや質的変化(=変容)が、必要です。今回、以上の全ての問いに具体的に応えるノウハウを、わかりやすくお伝えします。あなたは真の豊かさ、アバンダンスを自分のものとする糸口に立つことができます。
6) セミナーでは、個人の心身や関係性、家族や組織における、さらには生活や経済、社会における豊かさについて、ホログラフィック(鏡合わせ的)に、調和的、循環的に考えます。あなたは日々の暮らしの中で、人間関係やファミリーの中で、また引退後に、「消費」では決して味わえない、深いアバンダンスを発見するでしょう。
7) 昨年出版されアメリカで45万部を売り上げた本に、クライン&トンプソン著『アバンダンス「豊かな時代」を呼びさませ』があります。アバンダンス(豊かさ)は、今と未来に向けたアメリカの政治や経済、社会を読み解くキーワードです。
8) 著者たちによると、アメリカの精神は、本来”abundance(豊かさ)”であるのに、近年のアメリカ経済、政治、社会は”scarcity(欠乏、不足、数量の制限)”に支配されている、といいます。特に、民主党政権下において。念のため付け加えておくと、著者の2人は民主党支持のリベラル派で、80年代に生まれたミレニアル世代です。さらに批判の的の1人である民主党のオバマ元大統領は、2人のこの著書を絶賛しています。真の豊かさ(アバンダンス)の実現のために、保守かリベラルか、の垣根を超えた新たな試み。それが、45万部という売り上げによって支持されているゆえんなのでしょう。
9) 経済学の中核に「需要」と「供給」という概念があります。「供給」は、〈何が、どれだけ提供されるか〉をいいます。「需要」は、〈人々が、どれだけほしがるか〉です。従来アメリカでは、共和党(保守)側は「供給」や「生産」を推し進め、一方、民主党(リベラル)側は「需要」「消費」を推進してきた、と考えられてきました。そのうえで、民主党は、「消費者」が必要なモノを購入できるよう彼 / 彼女に金銭を渡すことに気を配ってきました。「パイ(資源)は限定的で希少だから、合理的、平等に分配せよ」が、スローガンです。しかし、民主党支持者の多いサンフランシスコでは、不動産の「供給」を制限し、消費者に補助金をばらまいたことで、不動産価格が暴騰。その結果、民主党を応援する消費者でなく、不動産投資家、家主、資本家を大儲けさせる、ということが生じました。さらに、住宅供給の少なさから、住む場所のないホームレスが増え、たくさんの若い労働者が、共和党知事のいる州~たとえばテキサス~へ移住しました。こうした民主党政策の失敗が、クライン&トンプソンに、この著書の執筆を促したそうです。
10) さて、”資源は 限られていて希少”というのは、交渉術の「ゼロサム思考」に当たります。ゼロサム思考とは、私が一枚のパイの3分の1をとったら、あなたに3分の2が残る、といったように、「パイの大きさには限りがある」という考えをもとにした思考です。「誰かの得が、誰かの損になる」、これがゼロサム思考。これは、「欠乏マインド」のうえに成立しています。民主党的平等、公平、分配は、ゼロサムのうえでのことです。上野千鶴子氏風にいえば、それは「学級会民主主義」的です。
11) それに対して、”パイ(資源)の大きさに制限はない”、というのが「豊かさマインド」で、それは供給、創造、発明、イノベーションを促します。といっても豊かさマインドは、「物理的」資源の無限さについて述べているわけではありません。そうではなく、アイディアの構築、創造性、イノベーション、立体的リフレーム、制度の刷新、意味や意義の産出に根ざすものです。クライン&トンプソンは、経済成長には、今とは質的に異なる~ゼロサムとは違う~飛躍、未来の前倒し、制度の刷新が必要であるといいます。
12) 日本社会には、敗戦後から今日まで「欠乏マインド」がずっとはびこってきました。「清貧思想」や「賢い消費者」、世界から絶賛される「もったいない」の背景にも、ゼロサム思考や欠乏マインドがあります。欠乏や不足は、社会だけでなく、個人、ファミリー、関係性、組織の内部に、こびりついてるマインドセットです。
13) さて、哲学者で東洋思想家、神秘主義者の井筒俊彦氏は、心の深奥に「東洋的な無 / 空」を見通しました。この無は「西洋的な欠乏 / 不足」とはまったく異なります。欠乏や不足と真逆の、「充満 / 充足的な無」です。
14) abundanceは、語源的には”ab(外へ / 離れて)”+”undance(波立つ、溢れ出る)で、すなわち「波のように溢れ出ること」「無限に満ちていること」を意味します。先に述べた井筒氏の「無」とは、ありとあらゆる有(形態、意味)になる可能性を秘めた「充満的無」です。これは、「波のように尽きることなく、無限に有の溢れ出る豊かな無」です。つまり、井筒氏の述べた「充満的無」は、豊かなアバンダンスマインドの”源”ともいえるでしょう。それは、仏教や老荘(タオイズム)を通じて、私たちの生活のすみずみに浸透しているはずのものです。にもかかわらず、私たち(の暮らし)は、欠乏や不足マインドに牛耳られています。
15) 深奥にアバンダンス(真の豊かさの源)があるはずのに、なぜ私たちは欠乏感に苦しみ、不足感に不安がり、欲求不満に憤るのでしょうか?どうすれば、深奥のアバンダンスを、心身、関係性、ファミリー、また経済、社会で、表現&供給できるでしょうか?
16) 戦後の日本人は、「マインドは欠乏のまま」「表面的に豊かに金持ちになること」を目指しました。その姿の典型例が、「豊かな消費者」になることでした。その消費者が踊り狂ったのが、バブル時代です。
17) セミナーでは、マインド、心身、関係性が豊かで、家族や組織、行動、経済、社会も豊かさにあふれる可能性について探求します。それはバブル的豊かさではありません。金銭上の富裕とも違います。清貧も異なります。賢い消費者になることでもありません~清貧と賢い消費者は貴重ですが、アバンダンスはそれとは違います~。心身と関係性が、ファミリーとビジネスが、生活と経済が、好循環、ウィン-ウィン、調和した豊かさが、テーマです。
18) そのために、一方では経済や社会を対象としたクライン&トンプソンの書籍を、一方では井筒氏の東洋哲学を、またその間のつなぐ架け橋として、関係療法、家族療法、ファミリービジネス・コンサルティングを参照します。あなたは、心の内や深奥、身体、関係性、暮らし、家族や組織、経済や社会を貫き、また包括するアバンダンス(豊かさ)へのまなざしに、ご関心がありますか。
19) 今回「アバンダンス(真の豊かさ)を生きる~欠乏マインドからのパラダイム・シフト~」にご関心のあるセラピスト、カウンセラー、コーチ、ケースワーカー、アドバイザー、コンサルタント、ファミリービジネスの専門家、福祉や医療関係者のご参加を、お待ちしています。一般の方、初心者の方のご参加も大歓迎です!
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日時■ 2026年2月22日(日)10:00~17:00
会場■ zoomオンライン会議(お申し込みいただいた方に詳細をお伝えします)
費用■ メールマガジンにてご案内しております。
講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子