に投稿

『心のある道』としての《ケア》の実践 ~あなたを真に開花させるセラピーの中核~|2024/10/27(日)

◎ オンライン開催
◎ 配布資料+音声データをご購入いただけます

1)元型的心理学のトマス・ムーアは、“psychotherapy”(サイコセラピー、心理療法)を、その語源から、“psycho”(魂の) + “therapy”(ケア)と読み直しています。

“therapy”(セラピー)には、元来「治療(cure)」という意味も、「癒し(heal)」という意味もありませんでした。本来の意味は、“care”(ケア、世話、奉仕、配慮、気配り、気にかけること)です。

ギリシャ哲学者のソクラテスは、セラピーとケアを、同じ言葉として使っています。

2)今回のセミナーは、ケア(care)を、メインテーマとします。ケアに、良質なセラピー、カウンセリング、コーチングの鍵や核心があるからです。セミナーでは、世話、奉仕、配慮、気配りなどケアの大事さと、セラピーにおけるその機能について学びます。

3)私たちは、ケアの精神と実践が、人間性の中核にあると考えます。ケアの精神を身につけ、実践することは、人間性や可能性の開花をもたらします。それは、私たちの倫理感や道徳意識を高め、私たちの日常や暮らしを確かで幸せな、豊かなものとするでしょう。ケアの精神が、C. カスタネダが紹介した「心のある道(path with the heart)」に連なるからです。

4)ケアとは、何でしょうか?

『ディズニーランド流心理学』の著者で、元新聞記者の山田眞氏が紹介する次の例から、考えます。

ディズニーランドのレストランを若い夫婦が訪れ、2人分の料理に加えて、「お子様ランチ」を注文しました。が、そのレストランでは、お子様ランチを大人には提供していません。不思議に思ったスタッフは、お子様ランチを注文した理由について訊いてみます。

すると、若い夫婦から、その日が亡き娘の誕生日であること、娘がディズニーランドを大好きだったこと、が語られたのです。心打たれたスタッフは、お子様ランチの注文を受け、さらに夫婦を2人用のテーブルから4人用のテーブルに移したといいます。

夫婦は感激し、その後、感謝の手紙をレストランとスタッフに送ったそうです。

レストランの規約を破って、唯一無二の気配り、配慮を客に提供する。このホスピタリティの姿勢には、ケアの精神、ケアの本質があらわれているように思われます。

5)重症心身障碍(しょうがい)者の支援に携わってきた精神科医の武井満氏は、療育の目的は、患者が「いい顔のできること」と述べています。自らが障碍を負っているユング派の精神科医グッゲンビュール・クレイグは、障碍は、病気と違い治ることがない、また、子どもと違い成長変化することがない、と述べています。

治ることも、成長することもない人に、どのようなサポートが可能なのでしょうか?

あなたは、どう思いますか?

6)武井医師は、「いい顔のできること」は、治るか治らないか、良くなったか悪くなったかといった次元を超えたところにある、と述べています。また健常者に、「いい顔」をしている人があまりにも少ない、と嘆いています。ケアの本質は、その人が治る治らない、良くなる悪くなる、成長する成長しない、変化する変化しない、といったこととは別次元の世話、奉仕、配慮、気配り、にあります。

7)それは、治療や癒しとは違います。ケアは、医療や心理療法と異なりますが、医療も心理療法も、絶対に必要とするものです。

8)医療人類学の第一人者であるアーサー・クラインマンは、長年、アルツハイマーに苦しむ妻のケアに、専心しました。そのクラインマンは、ケアについて、「心を込めて全身全霊で、関係と、関係の場に参与すること」、と語っています。

『ケアの本質』の著者ミルトン・メイヤロフは、ケアを「心からなされる献身(devotion)」、『ケアリング』の著者ネル・ノディングスは、「心を込めること(engrossment)」と述べています。

9)クラインマンは、ケアは、療育、介護、看護にはもちろんのこと、セラピー、コーチング、医療において絶対に必要であるのに、経済(金銭)的に、最も低く評価され、近年余計なものとされてきた、といいます。あなたは、ケアのない、あるいはないがしろにされている療育、介護、看護や、セラピー、コーチング、医療を、受けたいと思いますか?

10)クラインマンは、人類学を参照し、ケアを「贈与(gift)」の視座から、とらえ直します。人類学によると、贈与には、ギブ・アンド・テイク(give & take)やギブ・アンド・ギブ(give & give)の「互恵的贈与」と、一方がギブ(give)するだけの「純粋贈与」とがあります。

互恵的贈与としてのケアや、純粋贈与としてのケアとは、どのようなものでしょうか?

治ることも、良くなることも、成長変化することもない人へのケアの提供から、支援者は、何をギブ(贈与)されるのでしょうか?

この2つは、ケアの提供者にとって、切実で大事な問いです。ご一緒に考えましょう。

11)私たちはみな、生涯ケアを贈与されます。母胎にいるときにも、乳幼児期にも、また病気やけがを負ったとき、老いて介護が必要になったとき、そして死の床においても、さまざまなケアを体験します。この世界にケアを必要としない人、「弱者」に一度もならない人はいません。ケアは「お互いさまのもの」です。

クラインマンはケアを、私たちが「真に人間になる」上で、不可欠なものと考えます。ケアへのコミットメントは、私たちが真の人間として生まれ直す「第2の出産」のチャンスといいます。

12)クラインマンは、私たちは善行をするために存在し、良い人間になることを欲している、と述べます。ケアは、私たちの人間性、価値観、道徳、倫理を反映します。

あなたは、ケアを通じてあなたの善い/良い側面を開花させたいと、思いますか?

「心のある道(path with the heart)」を、カスタネダ、ユング派のJ. S. ボーレン、プロセスワークのA. ミンデルは大切にしました。私たちが人生の岐路に立つ時、心(heart)のあるなしが、進むべき道かどうかを決める羅針盤になるといいます。ケアの精神と実践は、「心のある道」の最良のあり方の1つです。

13)今日、セラピーとは癒し、成長、変化を促す作業と考えられ、そこにケア(care)のあったことが忘れられがちです。セミナーでは、セラピーに、セラピーの元来の意味であったケアを、取り戻すことから始めます。ケアは、良質なセラピーのための鍵であり、核心です。事例(ケース)を参照し、基本から学びましょう。

今回、ケアとセラピー、カウンセリング、コーチングとの違いに着目し、ケアの核心について考えます。ケアの精神と実践が身につくと、あなたはより良質で豊かなセラピー、カウンセリング、コーチングを提供でき、クライエントに喜んでいただけるでしょう。

14)ケアを金銭的価値ではなく、贈与的価値からとらえ、そこに「心のある道」を見出しましょう!

あなたは、あなたの良質で可能性に満ちた側面を開花させるケアに、ご関心がありますか?

15)セミナーでは、クラインマン、メイヤロフ、ノディングス、フェミニストのキャロル・ギリガンから「人間のケア」を、またトマス・ムーアから「魂のケア」を、学びます。ケアの考え方に基盤を提供するソクラテスの述べた「ケア」について、特に着目します。

あなたは、スピリチュアリティと異なる「ソウル(魂)」とのケア関係を育成できるでしょう。

16)今回のセミナーは、セラピスト、カウンセラー、コーチ、コンサルタント、またボディワーカー、医師、看護師、介護士、ケースワーカー、弁護士、税理士、教師、その他の対人支援職、ファミリービジネスの専門家にお勧めです。

このテーマにご関心のある一般の方、初心者の方のご参加も大歓迎です。

* * * * *

日時■ 2024年10月27日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申し込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子