「金持ちになりたい」という思いの背景に、かつて経験した「くやしさ、みじめさ、バカにされたことへの見返し」が、あったりします。
それは、ファイナンシャル・セラピーで、昭和の頃によく耳にした思いですが、平成そして令和になった今でも、まま聞く訴えです。その思いの背後には、2つのことがあります。1つは「物理的」に「実際」に、お金がなかったこと、もっとお金があってほしかったこと、2つは「心理的」に、自尊心が傷つき、忸怩(じくじ)たる思いをして、落ち込んだり、卑小感にさいなまれたりしたこと、です。
お金を稼いで、貯めて、投資して、金持ちになることは簡単ではないですが、可能です。しかし、それが、くやしさ、みじめさ、忸怩たる思い、自尊心の傷つき、卑小感を解消するか、といったら、そうとは限りません。
昭和の頃は、「物理的」にお金のないことと、「心理的」みじめさ、自尊心の傷つき、卑小感とが、一緒くたにさされて、一つのことと誤解されていました。物理的にお金のないことと、心理的みじめさ、自尊心の傷つき、卑小感とが、「分離」されていなかったからです。
そのため、お金を稼いで、貯めて、投資して、金持ちになることが、心理的みじめさ、自尊心の傷つき、卑小感、挫折感を解消する、と「何となく」妄信されてきました。妄信の背後には「なにクソッ、今にみていろ。金持ちになって、バカにした連中を見返してやる」という思いがあったりしました。
しかし、ファイナンシャル・セラピーは、言います。金持ち、いや大金持ちになっても、心理的みじめさ、自尊心の傷つき、卑小感、心の空っぽさの軽減されないケースがままあります。「先生、おかしいと思いませんか? 私は何十年と頑張って、大金持ちになったのに、みっともなさ、恥ずかしさ、屈辱感、卑小感はなくならず、今も苦しんでいます」といった訴えが、少なくありません。
心理的みじめさ、自尊心の傷つき、卑小感、みっともなさは、すべて、心理学的には「自己愛(ナルシシズム)」のテーマに関係しています。「お金持ちになりたい」や「お金がほしい」の裏側に、「自己愛の深い傷つき」「劣等感」「自己肯定感の低さ」などの『心』の課題の隠されている場合が、ままあります。
心のテーマに向き合わず、実際のお金儲けに邁進(まいしん)しても、心に有益でないことはよくあります。それどころか、お金持ちになりたいという思いや、お金持ちになるための行為が、心の自己愛の傷つき、劣等感、自己肯定感の低さ、屈辱感などを、見ないため、隠ぺいするための「防衛」になっているケースも多々あります。
ファイナンシャル・セラピーは、そうした「防衛」に、まっすぐに光を当てます。「自己愛」特に『隠れ』自己愛と呼ばれる見えにくい、しかし日本に暮らす人に多い自己愛のテーマに注視して、お金に関するあなたの訴えや悩みについて、ご一緒に考えさせていただいています。