《6》関係の背中を見る、とはどういうことですか?

今日の最も多く、難しいセラピーのテーマに「解離」と「トラウマ(心の傷つき)」があります。その2つは、ほとんどのケースにおいて連動しているのですが、「関係」への視座がないと、太刀打ちできません。セラピストが何でも見えていて、わかってくれるといったことは、ないからです。

解離とトラウマの取り組みにおいては、セラピストやカウンセラーも、しょっちゅう解離を起こします。特に、クライエントの解離に対して、解離で返してしまいます。この時、セラピストの解離的反応はあまりに自然なので、またセラピストの解離的反応と、クライエントのかつての親との関係(における解離)とは重なっているので、クライエントにとって「おかしい」と思えません。こうして、クライエントとセラピストの両方に、解離が生じ(場合によっては長く続き)ます。

それへの処方箋は、セラピストとクライエントとの協働作業です。セラピストは、クライエントがセラピーに能動的に加わるように誘います。それがなければ、「クライエントとセラピストからなる関係の背中」そして「クライエントの心の背中」つまり「解離」は見えません。