あなたは、お金の問題は「お金持ちになること」で解決できる、と思いますか?
数百万、数千万、いや数億、数十億円を手にすれば、お金の悩みはなくなると考えますか?
宝くじの高額当選者の多くが、なんと当選後数年以内に金融破綻をきたします。「お金持ちになること」で、お金の問題が解決されない場合が少なくありません。それどころか、「お金持ちになる」ことで、お金の状況の悪化することがままあるのです。
それに対して、ファイナンシャル・プランニングの考えによると、私たちにはファイナンシャル(金融)教育が必須です。2022年から、高校での金融教育が必修化されました。ファイナンシャル・プランニングは、お金の教育、情報、知識を獲得することで、お金の問題を解決しようとします。
しかし、合理的で最適化されたファイナンシャル・プランを提案しても、それを拒否する人が後を絶ちません。合理的理由があるからではなく、何となく嫌だから、怖いから、騙されそうだから、提案したファイナンシャル・プランナー(FP)が嫌いな父親に似ているから・・・といった非論理的な感情や思い込みのため、拒否したりします。
こうした非論理的感情、非合理的思い込みを前にして、FPは、無力な場合が少なくありません。FPとしては、クライエントのプラスになるように、合理的で最適な提案をしたのですが、それが拒否される。よくわからない理由で、提案が反故(ほご)にされる。FPは、合理的で最適化された提案をする以外に、どうすればいのでしょうか?
その状況は、FPにとっても、クライエントにとっても不幸です。アメリカでファイナンシャル・セラピーが必要とされた理由の1つは、クライエントの非論理的感情、非合理的思い込みを前にして、FPにできることがなくなり行き詰まったりしたためです。
そこで、非論理的感情や思い込みと取り組む専門家であるクリニカル・サイコセラピスト(臨床心理士)の支援が、必要になりました。ファイナンスの基礎知識を学んだ臨床心理士が、ファイナンシャル・セラピストとして、金融に関する「心の健康さ」をサポートしています。
お金についての心の健康さを身につけ、適切なファイナンシャル教育を受ける。こうしてこそ、私たちはお金の問題を解決する地平が切り開かれるのではないでしょうか?
ファイナンシャル・セラピーは、お金持ちになるためのものではありません。そうではなく、お金に関して内的に健康になること、そして心の健康と行動の健康とを結びつけ、お金との関係を真に良好にするサポートを行うものです。
それは、単にお金持ちになることよりもずっと、あなたを、あなたの人生を、あなたの日々の暮らしを、充足させ、手ごたえのあるもの、堅実なものにするでしょう。