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技法を超えた臨床の極意 ~コンテクスト(文脈)を見抜く実践力を養う~|2026/1/25(日)

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1)今月のセミナーは、「文脈(context)」に着目します。”文脈” についてよく理解すると、あなたはより納得のいく、成果の出るセラピーや対人援助の仕事をできるようになります。クライエントの訴えに、より貢献できます。現場での、あなたのセラピー力、コーチング力が向上します。セラピストでないあなたにも、文脈理解は、あなたの仕事実践、日々の生活、関係性を豊かにするうえで有益です。生きやすさが増します。『文脈力』を身につけましょう!

2)まず、次の例から考えてみましょう。「30歳代の女性が、朝起きてすぐに歯を磨き、顔を洗って何も食べずに、会社に向かい走り始めました」あなたはこの場面に、どのような印象を抱くでしょう?

たとえば・・・
・OLが寝坊をして、会社に遅れないように急いでいる。
・その女性は朝食を抜き、走ることでダイエットしようとしている。
・重要な会議がある日で、女性は緊張や不安にあおられ、食欲もなく急いで出社した。

3)私たちは “同じ場面” を、自分の思い込み(belief)によって、勝手に、多様に、解釈します。その解釈を、深層心理学は「投影(projection)」と呼びます。投影は、同じ場面を、主観的に解釈する「枠組み(frame)」あるいは「文脈(context)」です。

4)では、先ほどの場面が、次のような枠組みや文脈だったらどうでしょう。

たとえば、女性が起きたのが「ホテル」だったとしたら? 同じ内容の文章が、違って解釈されるのではないでしょうか。その女性はお泊りデートをして、朝急いでいるのだろうか、と。(注:これも投影です)

起きたのが、飛行機の中だったとしたらどうでしょう。エグゼクティブ女性が出張から帰国し、機中でさっと身支度を済ませて仕事に急ぐ様子が、想像されるかもしれません。(注:これも投影です)

あるいは、実家に帰省した翌朝だったらどうでしょう? 30代の女性が、久しぶりに会った両親と喧嘩になり、ムカついて実家をあとにしているのかもしれません。(注:もちろん、これも投影です)

5)投影と同様、その状況が置かれた『社会的文脈』も、中身を解釈するうえで、私たちに多大な影響を及ぼす枠組み(フレーム)になります。その場面が、ホテルか、機内か、実家なのか。それが社会的文脈の違いです。心理セラピーやコーチング、コンサルティングといった支援職には、たとえばそれを提供するのが病院なのか、学校なのか、あるいは企業内なのか、はたまた家族に対してなのか、といった、社会的文脈や枠組みが、必ずあります。私たちは、自らの置かれた「社会的文脈 / 枠組み」のルールや制度、契約やニーズに基づいて、それぞれの支援を実践しなければなりません。

6)心理療法には、精神分析、ユング心理学、認知行動療法、ソマティック心理学といった学派や流派の理論や、その流派に基づいた技術・技法が数多くあります。しかし私たちは、自らが学び身につけた流派の理論や技法を、セラピーの各現場(=社会的文脈)で、無自覚に用いることはできません。なぜなら「社会的文脈 / 枠組み」の制度やルールや契約が、セラピーや支援の中身を左右するからです。どういうことでしょうか。セミナーでじっくりと学んでいきましょう。信頼のおける臨床家になるための、極意です。

7)セラピーを左右する “文脈” は、複数あります。文脈の1つは、先ほど述べた「投影」です。2つは「社会的文脈」です。

8)社会的文脈とは、あなたがセラピーを病院やクリニックで行うのか、教育現場で実践するのか、司法領域、福祉の場面あるいは開業の場で行うのか、といった社会的「枠組み」や「構造」を指します。当然のことながら、異なる文脈には、それぞれに違うや制度やルール、特有の利害関係者のチーム構造があり、セラピストは、それらに則り、また従わなければなりません。そうでないと、そこで雇われたとしても、機能できないだけでなく、解雇されかねません。あるいはクライエントや同僚に不利益や損失を負わせかねません。

9)病院やクリニックなどの医療現場では、医師の指示を受けてセラピーを行います。セラピストは、彼 / 彼女の学んだセラピーを、自由に実践することはできません。

10)スクールカウンセリングなど教育場面や、大学の学生相談では、精神科で行われる精神病水準に向けたセラピーは、実践しません。もし児童・生徒や学生に精神病が疑われるような場合、精神科にリファー(照会)する必要があります。

11)教育現場ではまた、”個人” セラピーの技法を無自覚に用いることにはリスクが伴います。なぜなら個人セラピーは、学校現場で求められる “チームワーク” にそぐわない取り組みだからです。そこでは、個人セラピーよりも、チームワークを大事にする組織心理学やコミュニティ心理学の方が、よりふさわしい。

12)といった具合に、セラピーの実践は、社会的文脈に大きく規定され、左右されます。しかし、セラピスト、カウンセラー、コーチが、社会的文脈について学ぶ機会は、ほとんどなかったのではないでしょうか?社会的文脈を理解しないことで、他の専門職との間に不要な摩擦やトラブルを起こし、失敗してしまうセラピーケースは、少なくありません。でも大丈夫です。セミナーで、文脈の「読み方」の初歩から最先端までを、わかりやすくトレーニングするからです。あなたは、文脈に則った適切で有益なセラピーやコーチングを実践できるようになるでしょう。それは、現場に添った、地に足の着いた臨床実践になります。そんな「文脈力」を、セミナーで身につけませんか?

13)文脈には、他にもいくつかあります。たとえば「価値観」「コンステレーション(布置 / 星座)」「関係性(転移&逆転移)」「愛着パターン」「病態水準」が、その一例です。セラピストおよびクライエントの価値観は、セラピーの背景に潜む文脈として、どんなふうにセラピー(の中身)に作用するでしょう?コンステレーション(constellation)は、因果関係のない、心の内側と外側の事象や出来事を、鏡合わせにして理解しようとする、ユング心理学的なとらえ方の枠組みです。それはセラピーを、どのように規定するでしょう?

14)文脈は「言語化されない、背景に潜む前提」です。ですので、各枠組みが言語化され、明文化されることは、まずありません。つまり「取説」、取扱説明書はないのです。各現場で働く専門職、たとえば医療現場の医師、看護師や、教育現場の教師、養護教諭、事務職などは、年単位の経験を通じて、その文脈に徐々になじんでいきます。

15)その点を理解しないセラピスト、カウンセラー、コーチに、文脈は見えません。見えないと、文脈は “無い” も同然となります。すると、現場の実態は無視され、チームワークは考慮されず、学んだセラピーの流派やその技法が、無自覚に用いられることになります。それでは、現場にフィットし機能する有益なセラピーは、行えません。

16)現場とセラピーの実践とが、乖離(かいり)し、敵対的関係になることも少なくありません。「この医療現場は、心理セラピーを理解していない」「この学校には、カウンセリング・マインドがない」といったセラピストやカウンセラーの嘆きを、何度も耳にしてきました。しかしそれは、”文脈的” には、セラピストやカウンセラーによる、現場を無視した自己愛的言説です。

17)セミナーでは、言語化されておらず、したがって見えない文脈の読み方、見抜き方を、いちから学びます。各現場で働く人が年単位を通じて身につける文脈理解を、”端的に” 見通す方法を、トレーニングします。それにあたって、「メタ認知」やサイコシンセシスの「脱同一化」についても、お伝えします。

18)文脈は “見抜く” だけでは、十分ではありません。見抜いた後、明らかになった文脈に添って、具体的に「切り分ける」「境界線」を引く “行動力” が求められます。たとえば、現場の文脈と、自分の学んだセラピー流派の間に境界線を引くこと、そのうえで、現場で求められているセラピー実践について工夫すること、その工夫に、自分が身につけた流派のやり方を活かせるか、活かすにはどうすればいいか、を熟考することです。

19)切り分けや境界線は、「役割」の混乱、混同を防ぎます。セラピストであるあなたは、教員でないにもかかわらず、教育現場で、気づいたら教員のように振舞っていた、という越権行為を回避できるでしょう。医療現場で、医療者のふりをしたくなる欲求を抑制できるでしょう。

20)また、文脈に添ったセラピーを、”徹底” できます。そのことで、スクールカウンセラーとして、保護者の面接で自己実現の応援をしなくなります。親の自己実現を応援するのは、スクールカウンセリングでなく、開業心理セラピーの文脈です。

21)文脈力が身につくと、私たちは、現場にフィットする「等身大」で「身の丈」にあったセラピーを実践するようになります。各現場で、何をやり、何をやるべきでないかが「明確」になり、セラピストとして、”自信” を持つことができます。セラピストという職種の限界を受け入れ、他の専門家との協力、協働を大事にする気持ちが、自然発生します。結果、あなたはチームワークやネットワークを尊重します。それは、クライエントの利益に直結します。

22) 文脈力は、「文脈理解」と、「仕切り/ 境界作り」「運営(マネージメント)」「指揮(リーダーシップ)」「ガバナンス」の総合からなります。これらの総合については、セミナーで詳しくお伝えします。

23)文脈理解は、臨床現場でのセラピー、カウンセリング、コーチング実践の基本です。これを学ぶことで、あなたはより機能し貢献する実践家になるでしょう。セラピーに限らず、どんな仕事(ビジネス)や、人間関係、ファミリーにも有益な視座であり、切り口です。

24)今回「技法を超えた臨床の極意 ~コンテクスト(文脈)を見抜く実践力を養う~」にご関心のあるセラピスト、カウンセラー、コーチ、教師、グリーフ・ケアワーカー、コンサルタント、ファミリービジネスの専門家、福祉や医療関係者のご参加を、お待ちしています。一般の方、初心者の方のご参加も大歓迎です!

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日時■ 2026年1月25日(日)10:00~17:00

会場■ zoomオンライン会議(お申し込みいただいた方に詳細をお伝えします)

費用■ メールマガジンにてご案内しております。

講師■ 富士見ユキオ・岸原千雅子