心理療法の目的の1つは、「健康な主体(性)」の育成です。でも、「主体性」とは何でしょうか?
どうやって育成すればいいのでしょうか?
主体(性)は、西洋からの輸入物です。ですので、英語から考えてみましょう。主体は、英語で “subject” や “subjectivity” です。“subject” は、「主体、主観、自我」と訳されます。“subjectivity” は、「主観性、主体性」です。
主体性(の萌芽)は、カトリックの告解(こっかい)に、見出すことができます。
世間学の創始者で社会学者の阿部謹也氏は、それまで主体性の(明確で)なかった西欧人は、中世時代に、カトリックの告解を通じて、主体性/主観性を持ち始めた、と述べています。告解は、カトリック信者が、自分の心を振り返る(reflect)する作業ですが、それが、心に内面性や深みを生みました。内面性を持ったことが、主観性/主体性となっていった、と述べます。“reflect” は、「(鏡や水に)映す、映し出す」「(光や音を)反射する、反響する」「(物事を)深く考える、熟考する」と訳されます。
心に鏡を持って、そこに映し出された思い、気持ち、感情・・・について熟考する。それとの関係で、主体性が育ちます。
カトリックの告解においては、そこに神父という聞き手がいます。聞き手(=他者)がいなければ、心に鏡は生まれません。この聞き手となるのが、現代では、セラピストです。IPPでは、あなたの主体性を育成するセラピーを行っています。
なぜ、聞き手という他者がいないと、主体性は、育たないのでしょうか?
1人で行う瞑想や、1人で自分の内面と向き合うのでは、ダメなのでしょうか?
私たちは、セラピストという他者との関係で、健康で良質な主体性が育成され、開花すると考えます。その理由については、セラピーでお伝えします。
告解では、神父に加えて、「神」という他者とも、対話しています。“subject” には、「従属する」「服従する」という意味もあります。カトリックの文脈では、神に従属するや服従することが、主体性を育成するうえで欠かせません。中世までヨーロッパには、ローカルなさまざまな神々がいましたが、それらを否定し、カトリックの神だけに服従することが、求められたのです。主体性と、従属や服従とは、真逆で相いれないように思えます。が、主体性確立には、従属が求められます。
私たちは、キリスト教徒ではありません。しかし、人間を超えた「大いなるもの」に、服従することが、良質な主体性を築くうえで欠かせない、と考えます。大いなるものは、神、仏、神々、宇宙、大自然などです。が、それだけではありません。不条理、不確実、想定外偶然なども、含まれます。私たちは、人間の合理的理解を超えた、人間がコントロールできない「未知」や「非知」を、大いなるもの、と考えます。
セラピストという他者、大いなるものというもう1つの他者、その2人との関係の中で、心の鏡に映し出された思い、気持ち、感情・・・について深く考え、吟味する。この過程をコツコツ積み重ねることで、健康で良質な主体性が育っていきます。また、あなたの考えが深まり、情緒が磨かれていきます。
そのための支援を、IPPは提供しています。
IPPのセラピーやコーチングをご活用ください。